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クルマ最終更新日:2019.12.13 公開日:2019.12.13

寒いのはつらいよ。冬こそ楽しい、南国・奄美大島の旅

寒い時期に暖かい地へ出掛けたくなるのは当たり前かもしれない。では、なぜ奄美大島なのか。海あり山あり、ドライブ好きにこそオススメしたい、大自然に癒やされる南国ロードトリップの魅力をお届けする。

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奄美群島のひとつである加計呂麻島。実久(さねく)ビーチは、島内でも屈指の透明度を誇る

一人旅に行ってきます

「こんな暑い夏はもう嫌だ。冬よ、早く来い」とついこの前まで話していたと思ったら、今度は「こんな寒い冬はもう嫌だ。夏よ、早く来い」と言う。そんな天の邪鬼な人は結構多い。残念なことに私もその面倒な人の内のひとりなのだが、とにかく適温と感じる範囲が狭い。

 思い起こせば10か月前、今年の2月も寒かった。東京は積雪するほどに寒かった。耐えきれなくなった私は、ちょっとした休暇を手にいれ、東京の寒さから逃げるように奄美大島、そして加計呂麻島へと旅立つことにした。

 鹿児島から380kmほど南下した場所にある奄美大島の2月は、暑すぎず寒すぎず。ほんのり暖かい風と、肌に軽くまとわる適度な湿度が心地よい。そう、この感じはまさに初夏ではないか! 羽田では必需品だったはずのダウンジャケットが一瞬で邪魔になった。

 レンタカー屋で一番安いクルマを借りて、荷物を詰め込み、一路、加計呂麻島を目指す。結論から先に言えば、奄美大島と加計呂麻島で過ごした3日間は、生きてる内にもう一度訪れたい思えるほど、誠に美しいロードトリップだった。

 エンジンをスタートさせ、ラジオを地元のチャンネルに設定し、窓を全開にして走り出す。海を眺めながら渋滞知らずのワインディングを駆け抜ければ、誰だって笑顔にならないわけがない。

標高326mの加計呂麻島。起伏に富む形状で高台からは、美しい景色を眺めることができる

加計呂麻ブルーを独り占め

  目的地の加計呂麻島は、奄美大島の南端のすぐ先に浮かぶ人口約1300人の小さな島だ。約2時間半、飛行場近くで借りたレンタカー屋から80kmの距離をクルマで走り、最寄りの港町である瀬戸内町に到着する。そこから先はカーフェリーで上陸。乗船時間はわずか15分ほどだ。

 加計呂麻島は島全体がリアス式海岸になっているおかげで、小さな島でありながらコーナーリングありアップダウンありと、ドライブ好きを飽きさせない。高台からの眺めは、まさに絶景だ。青々とした緑はまるで夏の景色かのよう。

「加計呂麻ブルー」とも呼ばれる加計呂麻島の海は、抜群の透明度を誇るビーチがいくつもある。特に冬の海は、海水温が下がりプランクトンの数が減って濁りが少なることで、その透明度がさらに際立つのだそうだ。

 誰もいない白い砂浜。その先には青い海、そして連なる緑の山々。もし天国があるのなら、こんな場所であって欲しい。島の北西部に位置する実久(さねく)ビーチは、島内でも屈指の透明度を誇る。2月の海水温はさすがに冷たかったが、足を浸すだけでも十分に楽しめる。

旅の途中で出会った島の猫くん。決めポーズでパチリ

 2月はオフシーズンということもあって、港を離れると島中人っ子一人見当たらない。なんせ加計呂麻島は、コンビニはおろかスーパーすらない秘境の地。ザァー、ザァーっと波の音だけが聞こえる。海岸を散策していると、島猫が近寄ってきた。冬の時期の旅人は珍しいのだろうか?

 ところで加計呂麻島は、実は映画「男はつらいよ」ファンにとって、聖地だったりする。というのも、シリーズ最終作の舞台がまさにこの島なのだ。島内のあちこちにメモリアルスポットが用意され、ファンを楽しませてくれる。寅さんの恋人、リリーの家に宿泊することも可能だ。今年は22年ぶりにシリーズ50作目となる『男はつらいよ お帰り寅さん』が上映されるが、ふたりのその後はどう描かれているのだろうか。

加計呂麻島は、映画「男はつらいよ」のシリーズ最終作『寅次郎紅の花』の舞台にもなった

 徳浜は、有孔虫の殻である星の砂があるビーチとして有名な場所。私も星の砂をゲットすべく小一時間ほど探し歩いたが、まったく見つけられなかった。ちなみにここは、同じく映画「男はつらいよ」の最終作で、満男(吉岡秀隆)と泉(後藤久美子)が再会し、愛を告白する感動の場所でもある(しつこくてスイマセン)。

武名集落にそそり立つ「武名のガジュマル」は神が宿ると言われるパワースポット。縦横無尽に根や枝が広がる

タカテルポイントからの眺め

 ドライブの締めくくりは、高台から眺めるサンセットだ。夕日の名所として知られるタカテルポイントは、大字花富から大字西阿室(にしあむろ)に向かう林道の途中にある。岬の遠い先に沈みゆく太陽の光と押し寄せる波の音。地球のダイナミクスさを体感できる。

奄美大島で1300年前から受け継がれる伝統技法「泥染め」を体験できる金井工芸

唯一無二、奄美大島の「泥染め」を体験

 加計呂麻島の旅を終え、再びカーフェリーで奄美大島へ。実は旅の最後に、どうしても寄りたい場所があった。それが金井工芸だ。ここでは「泥染め」と呼ばれる奄美大島に伝わる天然の染色方法を、いまも大事に守っている。

「泥染め」は奄美大島の伝統工芸である大島紬に用いられる手法として有名だ。泥染めによる染色の仕組みは、島内に自生する「テーチ木」を煮出した赤い汁に含まれるタンニン色素と、奄美大島の泥に含まれる鉄分による”化学反応”なのだが、最高級の大島紬ともなると、染色する回数はゆうに100回近くにもなるという。何度も何度も繰り返すことで、深く光沢のある渋い黒色が表現できるのだそうだ。

「最近は、東京だけでなく海外のアパレル関係者も泥染めに興味を持ってくれているようで、多くの方に見学に来ていただいています。奄美から世界に発信できる伝統工芸があることは誇らしくもあり、同時に先人たちの偉大さに改めて気付かされます」と金井さんは語ってくれた。

テーチ木の原木。煮るときはチップ状に砕く(奥)

巨大な釜でテーチ木を煮出した赤い汁

 金井工芸では、持参した衣類を染色できるワークショップも開催されており、当日、私は真っ白のTシャツとワイシャツを持ち込んだ。さすがに100回とはいかないが、わずか4、5回ほど染色を繰り返すだけで、ほどよく渋みのある灰色に仕上げることができた。ゴム手袋にエプロン姿、そして工房のツンと鼻を突く匂いといい、巨大な釜といい、まさに科学実験場だ。

金井工芸では泥染めのほかに、藍染の体験もできる

4~5回の染色でこんな感じの色合いに。左の2着が泥染めによるもの。右の2着が藍染だ。藍で染めた後に泥染めすると、さらに深みのある濃紺を表現できるそうだ

「ひさ倉」の鶏飯

奄美大島のおいしいもの

 奄美大島の名物といえば、鶏飯(けいはん)だ。おひつに入った熱々のご飯をお茶碗に盛り、鶏肉、錦糸卵、ネギ、刻み海苔などの具材を自由にのせて、丸鶏を煮込んだ特製スープをかけていただく。何杯も食べられるくらい、さっぱりとした味わいで美味しい。訪れた際は、ぜひとも試してほしい一杯だ。

  旅の終わり、海岸線をちょっと寄り道して奄美大島に別れを告げる。今日もほどよく暖かい。

 羽田空港で手荷物を受け取ると、「奄美へまたいらしてください☻」とメッセージ付きの素敵なタグがかかっていた。次はいつ行けるだろう。到着ロビーを出ると、3日ぶりの東京はやっぱり寒かった。

素敵な旅の思い出

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