レンタルバイク利用者のデータから見えた新しいライダー像
ヤマハ発動機販売は、開始から1年が経過したバイクレンタル事業の利用者の平均年齢が約40歳であることを発表した。また排気量126~400ccクラスでは、レンタル利用者の約6割が20~30歳代だったという。そのデータから新しいライダー像が見えてきた。
レンタルバイク利用者の平均年齢は40歳だが
2017年の自動車工業会の調べでは、バイク購入者の平均年齢が50歳代で、その年代がライダー人口の6割を占めていた。10~20歳代の割合は10%以下。バイクは中年のもの、といわれる根拠がこのデータである。
※原付、普通二輪運転免許の受験資格は16歳以上、大型二輪は18歳以上
一方でヤマハ発動機販売は、同社のレンタルバイク利用者の平均年齢が約40歳と発表した。利用者の年齢分布のおおよそは、60歳代以上が約10%、50歳代が約30%、40歳が25%、30歳代が15%、20歳代が20%となっている。購入者と同じ50歳代が一番多く、それに40歳代が続くのだが、20歳代が20%で3番目の割合を占めている。
※ヤマハ レンタルバイクの利用者は20歳以上に限る
またレンタルされるバイクの台数を排気量別にわけると、おおよそで50ccが1%、51cc~125ccが15%、126cc~400ccが59%、401cc~749ccが20%、750cc以上が5%となっている。
普通自動二輪免許で運転できる排気量126~400ccの利用が圧倒的だ。この126cc~400ccの利用者の約60%を、20歳代と30歳代が占めているとのこと。購入とは異なる世代に「レンタル」というバイクの楽しみ方が浸透したようだ。
レンタルバイク事業を開始する前には、新車販売に影響するという声が同社内に少なからずあったそう。貸し出し拠点がバイク販売店だったことが理由の1つだった。購入からレンタルへと客が移行するかもしれないという懸念だ。
しかしレンタル利用者の多くは、販売店との接点がなかった人たちだった。その利用者の92%が「また利用したい」と答えており、レンタルは購入の客を奪うのではなく、新たな見込み客を販売店へと向かわせるツールにもなっている。
「保管場所」を気にせずバイクを楽しむ
そもそもバイクを所有するとなると保管場所の問題がある。自動車ほど月極駐車場の数がないのだ。家の前の路肩に停めることは違反になるし、盗難のリスクがある。マンションなどの集合住宅の駐輪場はバイク禁止というところもある。安心して保管できる場所を確保するには労力やコストがかかるのだ。購入者の平均年齢である50歳代ともなれば保管場所を確保する経済的な余裕もあるだろうが、20~30歳代には少々ハードルが高いことかもしれない。
レンタルバイク利用時間のデータからも、それが読み取れそうだ。8割のレンタル期間は、24時間以内であり、最も多いのは8時間までのプランであるという。保管場所の心配をせずに、バイクをちょっと楽しむ、というスタイルが垣間見える。
現在、「所有」するバイクライフを楽しむにはクリアーすべきことが多くある。レンタルは、そのいくつかを考慮せずに楽しめる。そのことが20歳代のレンタル利用者を増やした要因の1つだろう。
バイク販売会社であるヤマハ発動機販売は、レンタル事業「ヤマハ バイクレンタル」を2018年10月に開始。レンタルバイクは、原付スクーターから大型ロードスポーツまであり、さまざまなタイプを揃えている。約300台のバイクを39の拠点で貸し出している。2019年内には会員が1万人を超える見込み。※2019年10月現在