「西部警察軍団」の4台。左手前の2台は日産の5代目C210型「スカイラインターボ」1981年式をベースにした劇中車のスーパーパトカー「マシンX」仕様、左から3台目は日産の5代目430型「セドリック」1982年式後期型セダンをベースにした劇中車の覆面パトカー仕様。画面奥の救急車は日産「キャラバン」ベースの救急車。同救急車のオーナーは、パトカー仕様の劇中車も保有しているとのことだった。
「クラシックカーフェスティバル in ところざわ」は、ところざわ自動車学校のコースを用いて実施されているのが大きな特徴だ。同教習所は、西武鉄道池袋線・狭山ヶ丘駅の東口より徒歩わずか2分という立地の良さを誇る。池袋駅から急行で30分強であり、都内からもアクセスがいい関東圏の旧車イベントのひとつだ。
参加できるのは1979年以前に生産された車両(同型車であれば1980年以降の年式でも参加可能)。輸入車や軽自動車も多く集まっていた。
VIDEO
会場の様子を撮影したダイジェスト動画。再生時間2分1秒。マツダ「キャロル」、プリンス「グロリア」、スバル「360」なども接写。動画制作=SUTDIO・OGATA
集まったのは、美しい1960~70年代の国産の名車たち
同フェスティバルには、国内外の名車たちが数多く出展されていた。1960年代に誕生した車種にも関わらず、行き届いた整備によりまるで最近購入した現行車種のように美しいボディのクルマも多かった。
ベレット1600 GT Type R(いすゞ)
いすゞはかつて乗用車も生産しており、1964年に「ベレット」シリーズに追加された「1600GT」は国産初のグランツーリスモ(グランドツーリングカー)を名乗った。上画像は、中でも走行性能を高めた「ベレット1600GT Type R」。排気量1584cc・水冷直列4気筒DOHCエンジンを積む。”GT Type R”は略されて”GTR”ともいわれている。
コンテッサ900(日野)
日野は、1950年代当時に技術提携を結んでいたルノー公団(当時)の「4CV」をノックダウン生産し、乗用車市場に参入。それによって得た技術をもって上画像の「コンテッサ900」を独自開発し、1961年から64年にかけて販売した。893ccの直列4気筒OHVエンジンを積む。上画像は「コンテッサ900デラックス」で、年式は未確認。
2代目グロリア スーパー6(プリンス)
プリンス・モータリスト・クラブ所属のオーナーが展示したプリンス「グロリア スーパー6」1966年式。後に日産に吸収合併されることになるプリンスが、大型高級セダンの2代目「グロリア」(1962年登場)の中に追加した最上位モデル(1963年登場)。国産初となる6気筒エンジン(排気量1988cc)を搭載した。
初代セドリック スペシャル(日産)
1960年に登場した日産の大型高級セダンの初代「セドリック」に追加された最上位モデル「セドリック スペシャル」(年式未確認)。通常の「セドリック」は88馬力・排気量1883cc・直列4気筒OHVエンジンを搭載するが、この「セドリック スペシャル」は115馬力・排気量2825cc・直列6気筒OHVエンジン「K型」を搭載。通常モデルより全長で345mm、ホールベースで205mm長い大型のボディも特徴だ。プリンスが日産に吸収合併されたあとは、「セドリック」と「グロリア」は兄弟車となる。
3代目コロナ・マークII後期型(トヨタ)
トヨタの3代目「コロナ マークII」の後期モデルの1980年式。3代目「コロナ マークII」は発売当初、「トヨペット コロナ マークII」と名乗っていたが、1978年のビッグマイナーチェンジで「コロナ マークII」と変更された。1980年にフルモデルチェンジして登場した4代目も「コロナ マークII」を名乗り、1984年登場の5代目から「マークII」を名乗るようになる。
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まだまだ走れる! 往年のスポーツカーたち
続いては、スポーツカーなど走りを追求したモデルをピックアップ。
3代目300ZX北米日産50周年記念モデル(日産)
日産の3代目のZ31型「フェアレディZ」の北米仕様左ハンドル車「300ZX」1984年式。その5000台限定で販売された北米日産50周年記念モデルで、国内では非常に希少な車種。3代目は、初代S30型からのロングノーズ・ショートデッキのスタイリングを引き継ぎながら、空気抵抗係数(Cd値)0.31という空力特性がポイント。北米日産50周年記念モデルは、ボンネット助手席側にエアインテークなどが設けられている。
3代目カローラ クーペ 1600GT レビン-S(トヨタ)
トヨタの3代目TE71型「カローラ クーペ 1600GT レビン-S」1982年式。3代目の時点では「カローラ クーペ」の最上位グレードに与えられた名が「レビン」だった(4代目以降になると、「レビン」は「カローラ」のクーペモデル全体を指す名となった)。「レビン-S」はモータースポーツ用ベース車両としてモデル後期に追加されたグレードで、スーパーハードサスペンションなどを備え、軽量化も図られている。
初代ランサー1600GSR(三菱)
三菱の初代「ランサー」(1973年誕生)の中の走りを追求したグレード「1600GSR」(年式は未確認)。1970年代の車種だが、現在もラリーに参戦しているという。しかも、かつて三菱のエースとしてダカールラリーで日本人初優勝を獲得した篠塚健次郎が、最近このクルマでラリーを走ったそうで、ドライバー名はその時のままにしてある。
ランサー セレステ(三菱)
4ドアセダンと2ドアハードトップがラインナップされた初代「ランサー」のクーペバージョンという位置付けとして、1975年に誕生したのがこの「ランサー セレステ」。”セレステ”とは、ラテン語で「青い空」を意味している。また、三菱の2代目スペシャリティカー「ギャランクーペFTO」の後継モデルでもあった。上画像の「ランサー セレステ」は1978年にオーナーが新車で購入し、41年間乗り続けているという1台。
ちょっと変わった特徴のクルマたちも!
続いては、少々変わった特徴を持った3台を紹介。
初代セリカGTV(改) シザーズドア仕様
トヨタの初代「セリカGTV」1973年式。シザーズドアに大改造し、ボディはターコイズブルーメタリックにリペイント。内装もボディカラーに合わせてオールブルーに張り替えてある。オーナーは新車で購入して46年間乗り続けているという1台。
アクティ トラック(改) 6輪仕様(ホンダ)
ホンダ「アクティ トラック」(年式未確認)の6輪仕様改造車。かつて、「アクティ トラック」には降雪地帯向けに前輪駆動かつ、後輪がクローラーとなっているタイプが販売されていたそうで、それを改造したとのこと。ただし6輪駆動ではなく、中間の2輪は駆動しない。公道走行も可能だ。
K360(マツダ)
マツダの小型3輪車「K360」。小型3輪車は当時、国内で複数のメーカーが手がけており、マツダもそのひとつだった。マツダや「ミゼット」などを手がけていたダイハツは、3輪車から軽自動車で4輪市場に進出し、現在では大企業となっているが、撤退していったメーカーもとても多い。
まずは、国内往年の名車やスポーツカー、そして改造が施されたクルマたちを紹介した。このほか、軽自動車、はたらくクルマ、アメ車なども多数集まっており、第2弾以降で紹介する。また今回は、プロカメラマンによる選び抜いたクルマをじっくりと動画での撮影も実施。こちらも後ほど公開する予定なので、期待していただきたい。