日産はセレナのコンセプトモデルなどを展示:第46回国際福祉機器展(2)
2019年で第46回を迎えた、数々の福祉機器が出展される国際福祉機器展。日産は、福祉車両ライフビークルの「セレナ」にベッドキットを搭載したコンセプトモデルなどの展示を行った。
日産の福祉車両は「ライフケアビークル」と呼ばれており、軽商用車「NV100 クリッパー リオ」からマイクロバス「シビリアン」まで、13車種が用意されている。
福祉車両の種類としては、自動で足元にステップが出て乗り降りがしやすくなるタイプ、シートが手動でドア側に回転して乗り降りがしやすくなるタイプ、シートが車外まで出てきて車いすとの移乗をしやすいタイプ、車いすのまま乗り込めるタイプ、施設や団体などで送迎用途が想定されたタイプなどがある。
初出展のコンセプトモデル「セレナ アドベンチャー ログ キャビン」
今回は、コンセプトモデル「セレナ アドベンチャー ログ キャビン(セレナ X CONCEPT MODEL)」が披露された。ベースは、助手席にスライドアップシートを備えたミニバン「セレナ 助手席スライドアップシート」。その2~3列目のシートを折りたたむことでフラットにできるベッドキット仕様を組み込んだものだ。
ライフケアビークルは「出かける喜びを、一人でも多くの方へ」というテーマで開発されているが、そこに「どんなところへも気軽にクルマでお出かけをしよう」という思いを加えて具現化したという。製品化は、国際福祉機器展などに出展し、来場者の反応を見て参考にするとしている。
電動リフター装備の「NV350 キャラバン チェアキャブ」
利用者が乗った状態の車いすを押して、スロープを登ってクルマに乗るのはとても労力がいる。電動リフターの方が安全で確実である。
ライフケアビークルで電動リフターを装備できるのは、上画像のワンボックス大型商用車「NV350キャラバン」と、上述した「セレナ」、マイクロバス「シビリアン」の3車種だ。「NV350キャラバン」に装備されている電動リフターのプラットフォーム部分のサイズは全長1205mm×全幅765mmで、昇降能力(耐荷重)は200kgとなっている。
ライフケアビークル「NV350 キャラバン」の車内レイアウトは複数用意されており、車いすに乗ったまま最大で4名まで乗り込むことが可能。またストレッチャー利用者も1名まで乗車できる。
ライフケアビークルはすべて乗降アシスト装置を装備
車いすの利用者が車いすに座ったままクルマに乗り込むには、リフター以外ではスロープが一般的だ。ライフケアビークルでは、リフター装備車も含めて車いすの利用者が座ったまま乗り込めるタイプを「チェアキャブ」と呼ぶ。スロープタイプは「NV100 クリッパー リオ」、「NV200 バネット」、「キューブ」、「セレナ」の4車種が用意されている。スロープの耐荷重は200kg。
スロープの角度は車種によって異なる。最も浅いのが「セレナ」の10度で、「NV200 バネット」と「キューブ」は11度、「NV100 クリッパー リオ」は14度だ。14度になると利用者の座った車いすを手で押して登るには相当力のいる角度だが、もちろん心配ない。4車種とも、昇降(牽引)能力は120kgの乗降アシスト装置(電動ウインチ)が装備されているので、介護者は脱輪したり転落したりすることがないよう支えるだけでスロープを登っていけるのだ。
「ノート e-POWER」もライフケアビークルにラインナップ
エンジンで効率よく発電してモーターで駆動する「ノート e-POWER」も、ライフケアビークルにラインナップされている1車種。助手席のシートは2種類から選べ、上画像はシンプルな手動式の回転シートだ。回転角度は65度(「ノート」(ガソリン車)は55度)だ。助手席側のドアにある手動ストラップを引くと助手席が回転してくれるので、座ったらグリップなどを使って正面に向き直すのである。
また「ノート e-POWER」には、コンセプトモデル「セレナ アドベンチャー ログ キャビン」で紹介した助手席スライドアップシートも用意されている。
冒頭で紹介したコンセプトモデル「セレナ アドベンチャー ログ キャビン」は、フルフラットにできる特徴から、キャンピング用途としても楽しそうだ。福祉車両だからといって堅苦しくある必要はなく、クルマで出かける楽しさをコンセプトとした福祉車両がもっとあってもいい。今後も、車で外出したくなるような福祉車両の提案に期待したい。