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最終更新日:2019.10.08 公開日:2019.10.08

ラジコンカーの今をチェック!第59回 全日本模型ホビーショー(1)

2019年で59回目の開催となった、全日本模型ホビーショー。ラジコン、模型、ミニチュアカー、ミニ四駆など、ホビーの世界でもクルマ人気は常に高い。そして、年々ホビーも進化しており、ラジコンもその例にも漏れない。

プロが製作したカウルを被せたランボルギーニ「ウラカン・ペルフォマンテ」のラジコンカー。ショートコースでデモンストレーション走行が行われ、あえて滑りやすい床面にしてあり、ドリフトしながら走っていた。双葉電子工業のデモカー。

 クルマの魅力のひとつといえば、走らせる楽しさ。ラジコンは、そのクルマを走らせる楽しさを取り出したホビーといえるだろう。最近は入門用の小型タイプなら5000~6000円から始められ、もう少し大きなタイプでも1万円台半ばから3万円弱ぐらいで一式を揃えられる。その一方で、突き詰めていくと1台完成させるのに数十万円を要するガソリンエンジンタイプなどの本格派もある。チューニングやドレスアップなども実車同様に楽しめて奥の深い、大人もハマるホビーなのである。

「GRスープラ」や往年の「タイレルP34」などを出展したタミヤ

 1946年創業の老舗ホビーメーカー・タミヤが初めてラジコンカーを手がけたのは1976年のこと。現在ではビギナーからハイエンドまで多彩なラインナップを取り揃えており、市販車やレーシングカーなどの実車を題材にしたモデルも充実する。それらはユーザー自らが本体の塗装・組み立てを行うキットなら1万円台前半からとなっており、コントローラーやバッテリーの充電器などもセットにした完成品タイプだと2万円台後半からとなっている。

11月に発売予定の完成品シリーズの新作「1/10RC XB トヨタ GR スープラ(TT-02シャーシ)レッド」。実車の「GR スープラ」はFRだが、TT-02シャーシが4WD仕様のため、ラジコン「GR スープラ」は4WDとなっている。

 今回展示されていたのは11月以降の新製品。まず目についたのが、「1/10RC XB トヨタ GR スープラ(TT-02シャーシ)レッド」だ(※1)。17年ぶりの復活が話題となった通算5代目となる「GR スープラ」のラジコン。そして「XB」シリーズは1/10スケールの塗装済み完成品で、「GR スープラ」の全長は457mm。コントローラーやバッテリー充電器などを同梱したセットで、価格は2万8380円(税込)、11月30日頃の発売予定だ。また、ユーザーが自分で無色透明なポリカーボネート製のボディを塗装し、「TT-02シャーシ」に組み付けを行う組み立てキットも用意。こちらの方が半月以上早く11月9日頃の発売予定で、価格1万3200円(税込)。

※1 TT-02シャーシ:パーツの組み替えなどにより、ホイールベース、車高、トレッドをそれぞれ2タイプから選択できることから、多彩なボディを装着可能なシャーシ。縦置きのモーター1基でシャフトを介して全輪を駆動する4WD機構を採用。さらに、ロール時の路面との干渉を減らす舟形底面を採用したバスタブタイプのメインシャーシ、フリクションダンパーを装備したダブルウィッシュボーンサスペンション(前後共)など、さまざまな機構を備える。

タミヤ製ラジコンカー「1/10 メルセデス・ベンツ G500 塗装済みブライトガンメタルボディ」。平面構成の角張ったボディをポリカーボネートで再現し、塗装済み。あとはデカールを貼るだけ。製品は全長455×全幅196×全高207mm。

 市販車を題材にしたニューモデルはもう1車種。メルセデス・ベンツの4WDクロスカントリー車Gクラスの1車種で、2018年にフルモデルチェンジした「G500」を題材にした「メルセデス・ベンツ G500 塗装済みブライトガンメタルボディ」だ。従来の4WDクロカンシリーズには、不整地踏破能力を重視して開発された「CC-01シャーシ」が使用されてきたが、今回はフルモデルチェンジを実施。同ラジコンが「CC-02シャーシ」(※2)を採用する第1号となる。CC-02シャーシはオフロード走行だけでなく、繊細なコントロールが要求されるロックセッションでの走りを楽しめるという。価格は2万5300円(税込)で、2020年の発売を予定している。

※2 CC-02シャーシ:フロントアクスル部にモーターを縦置きし、プロペラシャフトで前後に駆動力を伝達する方式を採用した、ラダーフレーム形状の4WD仕様シャーシ。強度と剛性アップのため、一部に金属パーツを採用している。またサスペンションは前後共に、強度の高い樹脂製アクスルハウジングをオイルダンパーと4本のリンクで位置決めを行う4リンクリジッドを採用。路面ギャップとの干渉が少なく、オフロード走行に適している。

「XB タイレル P34 1976 日本GP(RCメカレスタイプ)」。ジョディ・シェクターがドライブした3号車を再現している。ラジコンカーにすることも可能なディスプレイモデルという製品で、後付けで各種メカを追加することで走らせられる。

 レーシングカー系では、F1で唯一の6輪マシンを題材とした「XB タイレル P34 1976 日本GP(RCメカレスタイプ)」も展示。1976年、日本で初めてF1GPが行われた際に参戦した日本GP仕様の「タイレルP34」を再現しており、ひらがなで数か所に「たいれる」のチーム名やドライバー名の「しぇくたあ」と入っている。ディスプレイモデルとしても通用するようディテールに力を入れた製品で、ラジコン用の各種メカは後付け仕様。シャーシは2WDの「F103シャーシ」を6輪用に改造した特別タイプを採用している。11月23日頃発売予定で、価格は3万4980円(税込)。

京商は『頭文字D』とその続編『MF GHOST』の製品をプッシュ

 クルマに加え、バイク、飛行機、ヘリ、ボート、サーファーの乗ったサーフィンボードなど、陸海空の多彩なラジコンをラインナップする京商も、50年以上の歴史を持つ老舗ホビーメーカーだ。同車もビギナー向けに力を入れており、単四乾電池8本で始められる、手のひらサイズの小型ラジコン『MINI-Z』(ミニッツ)シリーズが人気となっている。

京商は、『MF GHOST』の主人公・片桐夏向が駆るトヨタ「86」86号車を『MINI-Z』RWDシリーズとして製品化。同コミックは、公道を舞台にした架空のモータースポーツ「MFG」が舞台。多くのライバルがフェラーリやランボルギーニ、ポルシェなどのスーパーカーで参戦する中、主人公である日英ハーフの青年・夏向はマシンスペックで大きく劣るスポーツカー「86」(グレードはGT)を駆り、圧倒的なテクニックで戦い続けていく。

 『MINI-Z』シリーズの今年のイチオシは、しげの秀一原作の大ヒットコミック・アニメ『頭文字D』の続編『MF GHOST(エムエフ・ゴースト)』。同作品の主人公である片桐夏向(かたぎり・かなた)が操る、トヨタの現行スポーツカー「86」のラジコンカー『TOYOTA 86 MF GHOST』がブースで大きくアピールされていた。

 『TOYOTA 86 MF GHOST』は『MINI-Z』の後輪駆動仕様「RWD」シリーズにラインナップされており、シャーシは、高い評価を受けているスポーツタイプ「MR-03」(※3)を使用。価格は、ラジコンカー本体と、操作性をアップさせた新開発のコントローラー「Syncro KT-531P」がセットになった『レディセット TOYOTA 86 MF GHOST』が2万3980円(税込)で、「86」単体の『TOYOTA 86 MF GHOST』が6050円(税込)。発売日は2019年10月予定だ。

※3 MR-03シャーシ:2013年発売(現行製品はアップデートが行われ、制御プログラムを一新してステアリングフィールの向上が図られている)。先代モデルから踏襲した電池配置を考慮した低重心が特徴。また、各種パーツを交換することでナロー/ワイドの両トレッドに対応し、車種に合わせてホイールベースも変更可能だ。フロントサスペンションは、ストロークに応じて最適なキャンバー変化を引き出す「VCS(ヴァリアブル・キャンバー・サスペンション)」機構を採用。さらにオプションでジャイロユニットを搭載することができ、ステアリング/スロットルサーボを自動補正して走行をアシストしてくれるなど、初心者向けの機能も装備することができる。

『Fist MINI-Z』シリーズは、『頭文字D』が題材。左から、主人公・藤原拓海のハチロク、その最大のライバルであり第2部ではチームメイトとなる高橋啓介のマツダ「RX-7」(3代目FD型)、その実兄で主人公たちを自らのプロジェクトに誘う超頭脳派の天才的な走り屋・高橋涼介の「RX-7」(2代目FC型)。

 そして『MINI-Z』シリーズの中でもさらに入門用として、家庭で気軽に遊べるように開発されたのが、小型ラジコン『Fist MINI-Z』(ファースト・ミニッツ)シリーズ。こちらは『頭文字D』の主人公・藤原拓海のハチロク(上画像左、トヨタ「スプリンター トレノ」AE86型)など、劇中の人気車種3台を約1/28スケールで再現し、そしてコントローラーもワンセットで5478円(税込)で発売している。

『1/20スケール 電動 R/C建機 CAT 300D L Hydraulic Excavator』。全長520×全幅178×全高182~480mmというサイズで、ダイキャスト製なので重量は5.6kgとヘビー級。

 京商は建機ラジコンも手がけており、上画像はCATブランドで知られる世界最大手の米キャタピラー社の30トンクラス油圧ショベルを扱った『1/20スケール 電動 R/C建機 CAT 300D L Hydraulic Excavator』。最大の特徴はボディがダイキャスト製であること。それにディスプレイモデルとして鑑賞に堪えられる精密さを実現しただけでなく、ヘビー級の重量感を出すことにも成功している。実際、重量は同サイズのラジコンカーにはない約5.6kgもあるのだ。左右の無限軌道、運転席などを含む上部旋回体、ブームおよびアーム、バケットなどを付属のコントローラーで操作することが可能だ。価格は12万1000円(税込)で、絶賛発売中。

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続いては旧車ラジコンが登場!

ラジコンも1960~90年代の旧車ブーム!? ABCホビー

 大阪に本社を構えるABCホビーは、ラジコンカーやラジコンボートを手がけるホビーメーカー。自社製1/10スケールのシャーシだけでなく、タミヤやアトラスなどの他社製シャーシに搭載できる多数のクリアボディ(カウル)を販売していることが特徴だ。

ズラリと並べられたABCホビーの旧車シリーズ。中にはスバル「BRZ」のように現行車種もある。40代以上の、かつてその実車に乗っていた、もしくは憧れていたという年代のユーザーに人気だという。

 クリアボディで特に力を入れられているのが、1960~90年代の旧車。上画像の手前左の日産S30型「フェアレディZ」(初代・1969年誕生)を筆頭に、トヨタ「カローラ レビン」(初代TE27型・1972年誕生)、日産の「スカイライン」(3~6代目)、ホンダ「シティ ターボII」(FA型・1983年誕生)、マツダFD3S型「RX-7」(3代目・1991年誕生)、などなど、人気の高い旧車はほぼラインナップされている。

 車種数は、1/10ツーリング&ドリフト用で30車種以上、1/10ミニシャーシ用で30車種以上。価格は税込み4000~6500円ほど。そのほか、それら旧車に大型オーバーフェンダーを装着した『バリバリCUSTOM!!』シリーズも25車種以上が用意されている。こちらクリアボディとパーツのセットで税込み7000~1万5000円ほどだ。

右手前がトヨタ「カローラ レビン」(初代・TE27型1972年に誕生)、左手奥がホンダ「シティ ターボII」(FA型・1983年誕生)。

マツダ「RX-7」(3代目FD3S型・1991年誕生)をベースに、日本のカスタムショップヴェイルサイドが大幅に外装に手を加えてまるで別のクルマのように仕立てた「フォーチュンモデル RX-7」。奥に見える白いクルマは、日産「シルビア」(6代目S14型・1993年誕生)。

液晶が装備されてコントローラーもハイテク化が進行中! 双葉電子工業

 ラジコンの世界ではFutaba(フタバ)のブランド名で知られる双葉電子工業。戦後間もない1948年に真空管の製造・販売を手がける企業として創業し、ラジオの受信機の技術などを活かして1962年にラジコン分野にも進出した。現在はラジコンに関しては産業用とホビー用の両方を手がけ、ラジコン用コントローラーを中心に、電動ラジコンカー用のモーターやエンジンカー用の2ストロークエンジンなど、各種パーツも開発している。

 同社の製品で特筆すべきは、ハイテク化が進むラジコン用コントローラーだ。現在では主に航空機ラジコン用として使用されるプロポ(ダブルスティック型)も、ラジコンカー向けのガングリップ型もハイエンドモデルは液晶ディスプレイを装備。しかも、ラジコンに各種センサーを搭載してテレメトリーシステムを構築すれば、リアルタイムに複数のデータを手元で確認することが可能だ。これにより各種セッティングもしやすくなるし、競技中にそのデータに対応した操縦もしやすくなるという、まるで実車並みのことができるのである。

液晶ディスプレイをふたつ備えた、フタバの航空機ラジコン用プロポのハイエンド向け最新モデル「32MZ」。プロポといえば、数十年前はラジコンカーのコントローラーとしても主流だったが、現在では主に飛行機やヘリなどの航空機ラジコンに用いられている。

 航空機用のプロポ「32MZ(18ch-2.4GHzFASSTestモデル)」は、液晶ディスプレイを2面備えるのが特徴。上部のサブディスプレイにはラップタイムなどを表示し、下側のメインモニターには各種テレメトリーデータを表示できるようになっている。「32MZ」はGPS、非接触ポテンショメータ、高利得アンテナ、軽量リチウムポリマーバッテリーなど搭載し、マイクロUSBによる充電も可能。操縦とテレメトリー用で送受信に最大18チャンネルを利用することが可能だ。価格は32万4500円(税込)。

現在ではラジコンカー用はガングリップタイプが主流。人差し指をトリガー型のアクセル/ブレーキにかけ、ホイールでステアリングを操作することで、プロポよりも感覚的に実車の操縦に近い。

 ガングリップ型のハイエンド向け秋の最新モデル「7PXR」は、タッチパネル式の4.3インチフルカラー液晶ディスプレイを初めて採用した「7PX」の改良型だ。アルミビスやチタンビスを使用するなどして、ヘッド部の軽量化でバランスの適正化が行われた。そのほかステアリングハウジングなどを強化するためにCFRPを採用し、HOMEボタンの大型化による操作性の向上も図られている。操縦とテレメトリー用に最大7チャンネルを利用可能で、テレメトリー化してあれば、多数の情報を取得し、競技会などでも操作台にいながらラジコンカーの状況を手元で把握でき、運転に活かすことが可能だ。価格は8万6900~9万3500円(税込)。

フタバはラジコン用2ストロークガソリンエンジンなども手がける。上画像は、1/8オンロードラジコン用の「O.S.SPEED R2140」。排気量3.49cc、最高出力2.8ps/3万5000rpm、実用回転数4000~4万5000rpm、重量340g。F1エンジンの2倍も回る超高回転型エンジンだ。左がエンジン単体で価格は5万9950円(税込)、右はマフラーも装備したコンプリートセットで6万9300円税込み。


 ラジコンもこのように年々ハイテク化が進んでおり、1/10~30スケールという小さなボディに実に多くの技術が詰め込まれている。それにも関わらず、特にビギナー用などは手頃な価格を維持しており、こうした部分でも日本のモノづくりの技術力の確かさや各メーカーの企業努力を感じられる。まだ2か月以上先だが、お子さんやお孫さん、そして自分自身にクリスマスプレゼントとしてラジコンというのもありなのではないだろうか。

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