「ラ・セード」や「BUBUクラシックSSK」など、魅力的なミツオカのクルマたち!【第8回クラシックカー・スポーツカー in 科学館】
千葉県立現代産業科学館(市川市)にて3月10日に開催された、「第8回クラシックカー・スポーツカー in 科学館」。1950年代から2000年代までのヒストリックカーや旧車、スーパーカーなど、50台ほどが集結した。レポート第4弾はミツオカ特集として、1980年代から2000年代までの5車種を紹介する。
ミツオカは、スーパーカー「オロチ」や、和風のネーミングをしたネオ・クラシックなデザインのクルマたちで知られている。1台1台職人が手作りしており、それがまた人気の一因となっている。
同社の創業は1968年で、株式会社として光岡自動車が設立されたのは1979年のことだ。1982年からオリジナルのクルマを開発するようになり、1987年からは他社製の車両をベースにして外見を大幅に改造してクラシックなレプリカ車(カスタムカー)を製作するようにもなった。そして、1996年にオリジナルの「Zero1」で型式認定車となり、日本で10番目の自動車メーカーとなったのである。今回は、そんなオリジナル車とレプリカ車、合わせて5車種が集合。発表された順に紹介しよう。
排気量50ccのクラシックカー!?「BUBU50」シリーズの1台「505-C」(1985年式)
ミツオカ最初のオリジナル車は、排気量50ccのエンジンを搭載した”ゼロハンカー”と呼ばれたバブルカー/ミニカーの「BUBU(ブーブ)50」シリーズ。1982年から1985年まで8車種が生産された。
最初の1台であるBUBUシャトル50などはバブルカー(マイクロカー)スタイルだったが、1985年に登場した、上写真の「BUBU505-C」はクラシックスタイルである点が特徴だ。ちなみに1985年までは、4輪車であっても排気量が50ccまでなら2輪免許でも運転できた時代。「BUBU50」シリーズはその手軽さも好評だったという。
現行車種をクラシックスタイルに大幅に改造した「BUBUクラシックSSK」1989年式
ミツオカのクラシカルなレプリカ車の第1号が、上写真の「BUBUクラシックSSK」。「BUBU」シリーズの名を受け継いでいるが、コンセプトは別物だ。
「BUBUクラシックSSK」は、1920年代のメルセデス・ベンツ・SSKのレプリカ車だ。まるで一から作られたように見えるが、ベース車両がフォルクスワーゲン・ビートル(タイプI)。ビートルがベース車両とはわからないほど大幅な改造が特徴である。
マイクロカーシリーズのキットカー「K-2」はメッサーシュミット風!(1998年式)
1998年、「BUBU」シリーズの後継モデルとして、ミツオカが発表した排気量50ccのマイクロカーシリーズ。完成車モデルのMC-1と、それをユーザーが自分で組み立てられる”キットカー”のK-1、そして同じキットカーだがまったく外見の異なるスタイルを持っていたのが、上写真の「K-2」だ。
「K-2」は、戦後間もない時期に西ドイツ(当時)でメッサーシュミットがヒットさせたキャビンスクーター(バブルカー)のKRシリーズ(※1)を模したデザインを採用しており、シングルシーターのオープンカーとなっている。ちなみに1987年以降は、排気量が50ccしかなくても、4輪車の運転には普通自動車免許が必要となった。
初代は限定500台が4日間で完売!「ニュー・ラ・セード」(2006年式)
「ラ・セード」は、1930年代のアメリカン・クラシックスタイルを再現したレプリカ車だ。車名は、ライフ・セカンド・ドリームからの造語で、その意味は”第二の人生を、そして飽くなき夢を追い求め、自由を味わいながら長い人生を謳歌する”というもの。
初代「ラ・セード」は1990年に発表され、限定500台がわずか4日で完売したという記録が残されている。初代のベース車両は、デートカーとして若者に人気を博した日産の5代目・S13型シルビア。シルビアのホイールベースを延長し、ゴージャスなアメリカン・クラシックスタイル調のFRP製ボディを架装。そうして「ラ・セード」は誕生した。
上写真の2代目「ニュー・ラ・セード」は、7代目のS15型シルビアをベースとして、2000年に限定100台で生産された。「ラ・セード」は、フロントウインドウやドアなどのキャビン部分はベース車両のままのため、よく見るとシルビアらしさが残っているのがわかる。しかし、そう説明されないと気がつかないほど、まったく別のクルマになっている。
ミツオカの夢の結晶のスーパースポーツ! その限定5台特別モデル「オロチカブト」(2009年式)
東京モーターショーにミツオカが初出展したのは、2001年の第35回のこと。その際に展示されたコンセプトカーが「オロチ(大蛇)」だ。そのときは、ホンダの初代NSXのパワートレーンを搭載していた。非常に反響が大きかったことから、5年以上の歳月をかけて2006年10月に市販モデルを発表、2007年4月より発売を開始。市販モデルのエンジンには、排気量3311ccのトヨタ製V型6気筒エンジン「3MZ-FE」が搭載された。
「オロチ」は、1996年のZero1以来となる、同社で2車種目の型式認定車。そして上写真は、カーボン製エアロパーツを装着した「オロチカブト」だ。限定5台で生産されたスペシャルモデルである。
ミツオカのクルマ、中でもクラシックスタイルのレプリカ車は、ベース車両があるとは思えないほど、デザイン的にしっくりと収まっているのが大きな魅力だ。今回紹介した「BUBUクラシックSSK」や「ラ・セード」は、説明されて初めてわかるベース車両があることがわかるクォリティだろう。
こうしたミツオカの高いクォリティは職人の手によって1台1台が作られていることで実現している。量産車をベースとしつつも、ハンドメイドの工芸品にまで昇華しているといっていい。その結果、現代のクルマならではの性能、運転のしやすさや快適さ、そしてメンテナンスのしやすさなども確保しつつも、個性が際立っているのだ。