2000万円以上の超高級車が売れている理由とは。
近年、日本に限らず世界的に2000万円以上の「超高級車」の販売が好調である。日本自動車輸入組合(JAIA)によると、2018年に日本国内で販売された2000万円以上の車(新車)は、2013年の約3.1倍で3539台。これは、JAIAが統計を開始した1995年以来、過去最高の販売台数であるという。売れている車と、その理由を探ってみた。
ランボ、マクラーレン、アストンが絶好調
最も人気な超高級車は、スーパーカーの代名詞ともいえる「ランボルギーニ」。昨年には、前年比114.3%となる543台を販売した。次に人気なのは、英国の「マクラーレン」。2012年に日本で販売を開始して以来、毎年販売台数を増やし続けている。昨年は、前年比135.4%の222台が販売されている。ちなみに、アストンマーチンやポルシェ、フェラーリも好調をキープしている。
これらの超高級車のなかで、筆者が特に注目したいのはマクラーレンである。2011年にロードカーメーカーとしての道を歩き始めたマクラーレンは、世界的に人気で好調ぶりが凄まじい。2018年の世界販売台数は前年比プラス43.9%となる4806台を記録している。世界の超高級車人気をけん引しているといっても良いだろう。
スーパーカーの専門家はどう考える?
このような超高級車人気を、専門家はどう考えているのだろう? 長年の業界経験を持つスーパーカーアドバイザーの伊藤隆利氏に聞いてみた。
伊藤氏は「国内の景気が良くなっていることは確かだと思います。法人格で事業を行っている方たちは、特に景気が良くなっています。以前より銀行からもお金を借りやすくなっているようです。また、近年、日本国内ではランボルギーニの人気が高まっています。リセールバリューはランボが1番、次がフェラーリといったところでしょう、フェラーリの新車保証の長さ(7年)も人気の理由の1つです」とコメント。超高級車が売れている理由は、まず日本の景気の好調であると言えそうだ。また、超高級車ゆえの保証の長さにより、リセールを視野に入れることができるため、財布のヒモが緩むのだろう。
筆者も、新車のフェラーリについてくる7年間の純正メンテナンスプログラム(新車保証)はホントに素晴らしいと思う。油脂類などの消耗品や交換部品などがすべてこの保証に含まれている。そして、オーナーが代わってもこの保証は引き継がれるのだ。
手厚いアフターフォローとディーラーシップの充実も理由
さて、超高級車が飛ぶように売れたバブル時代。筆者は、正規輸入車を紹介する公式ガイドブックの編集部で新人編集記者だった。当時も超高級車の販売が好調だったが、今に比べて並行輸入車が多く、少しアンダーグラウンドな雰囲気だったと感じる。価格も一定ではなかったし、アフターフォローも業者によってさまざまだった。それに比べて、正規輸入車が主流の現代は、明朗会計だ。ディーラーもユーザーも雰囲気が明るい。この30年でディーラーシップもきちんと整備され、アフターフォローも手厚くなった。この辺の分かりやすさも、超高級車の販売が好調な理由なのだろう。
もちろん、車そのものの性能も素晴らしく向上している。当時だったら乗り手を選ぶような、専門性の高い車だったスーパーカーも、現在は、特別な知識や運転技術がなくても(お金さえあれば)所有できるようになったと言える。いうなれば、スーパーカーが我々ユーザーに歩み寄ってきた30年間だった。
さあ、あとは我々が2000万円を持ってディーラーに行くだけだ。無理だけど。