2018年交通死亡事故、死者の約半数は歩行者と自転車。
昨年発生した交通事故の死者3532人のうち、約半数が歩行中および自転車乗車中であることが警察庁の分析で分かった。交通事故による死は、クルマの乗車中だけではない。道路利用者すべての問題だ。
警察庁交通局は2月14日、2018年の交通死亡事故の特徴や発生状況を発表した。2018年の全国の交通事故死者数は3532人で、2017年の3694人と比較すると162人減少したことは関連記事(2018年の交通事故死者数は前年比162人減。さらなる減少のカギは高齢者が握る?)で紹介した通りだ。
今回は、歩行中および自転車乗車中の死亡事故について紹介する。
歩行中死者のうち約6割が法令違反
まず上グラフを見てみよう。昨年の歩行中死者は1258人と自動車乗車中よりも多い。交通事故というと、車同士がぶつかる事故が想起されがちだが、実は歩行中の死者が最も多いのである。
次に上グラフを見てみよう。昨年の歩行中死者のうち約7割にあたる882人が65歳以上の高齢者であり、オレンジで示した部分のように、そのうち58%が法令違反をしていることが分かる。
はたして、どんな法令違反をしているのだろう。上表を見ると、高齢者の歩行中死者の33%が横断違反をしていることがわかる。高齢者以外と比べると、圧倒的に横断違反が多い。警察庁によると、その中でも横断歩道以外の場所を横断したり、走行車両の直前直後を横断している人が多いという。
横断中の事故に遭わないよう、以下のことを守って欲しい。
・横断歩道が近くにあるところでは、横断歩道を横断する。
・道路を斜めに横断しない(横断距離と時間が長くなるため危険)。
※交差点などで道路標識等により、斜めに道路を横断できる場合を除く。
・進行中や停車中の車両の直前または直後を横断しない。
・歩行者の横断が禁止されている道路を横断しない。
また、夕暮れ時や夜間などは、歩行者は見えにくくなるので、さらに注意が必要。夜間に出かける際は、明るい色の服を着用し、反射材やライトを活用するなどして欲しい。
自転車乗車中の死者のうち7割以上が法令違反
自転車の場合はどうなのだろう。上グラフを見ると、昨年の自転車乗車中の死者のうち、約6割にあたる293人が高齢者であり、そのうち78%が法令違反をしていることが分かる。
次に上グラフを見てみよう。自転車乗車中の法令違反は、安全運転義務違反が多いことが分かる。その中でも安全不確認の割合が最も多い。警察庁によると、自転車対自動車の事故で最も多いのは、出会い頭衝突で、自転車側にも安全不確認、一時停止無視、信号無視などの法令違反が多く見られるという。
自転車乗車中は、つい歩行者と同じ感覚になりがちだが、自転車は道交法上、軽車両である。自動車と同じ信号を守ること。わき道から優先道路への合流など、一時停止線のある場所では、しっかりと停止し、安全を確認することが必要だ。
歩行中や自転車乗車中に法令違反をしても、自動車のように減点されることはなく、多くの場合が注意で済むかもしれない。しかし、万が一事故に遭ってしまっては元も子もない。法令を遵守することは、自分の身を守る術だと思って心掛けて欲しい。