オーナーが語るオープンカーのススメ!
筆者の愛車「フェラーリ・カリフォルニア」。真っ赤なボディのオープンカーである。
近年はレンタカーやカーシェアリングの利用が広く普及し、自家用車を持たない人が増えていたり、コンパクトカーやミニバンなど利便性を求めた車種が人気。オープンカーや高級車に乗り、運転そのものを楽しむという人は少なくなっているように感じる。
しかし、今回はあえて人生で初めて購入したクルマがオープンカーという筆者が、オープンカーの魅力を紹介する。みなさんはオープンカーに乗ったことがあるだろうか。もしかすると、1度も乗らずに一生を過ごす人の方が多いのかもしれない。しかし、乗ってみればクルマに対する価値観がきっと変わるだろう。
感覚を刺激する魅力
愛車でサーキットを走行。ダイレクトに風を受けて走る感覚が魅力的。
オープンカー好きにその魅力を尋ねると、多くの人は「解放感が魅力」だと答えるだろう。しかし、解放感と一口に言ってもそこには多くの感覚的な魅力が含まれている。
1つ目の魅力は、屋根を開けると真っ先に感じる「風」。私がオープンカーに初めて乗った時、時速60㎞で受ける風の非日常的な感覚に衝撃を覚えた。オープンカー好きは、この風を感じる愉しさを求めて、クルマを走らせているのではないだろうか。
2つ目の魅力は、風と共に伝わってくる「匂い」。海沿いを走れば潮の香り、山を走れば木々の香りというように、走っている場所の匂いをダイレクトに感じることができる。
3つ目の魅力は、遮るものなく聞こえてくる「エンジン音」。普段聞こえるエンジン音とは全く違い、風を切って伝わってくる音には迫力がある。
4つ目の魅力は、真上に広がる「景色」。昼間の青空はもちろん、夜になれば星を眺めることもできる。これはオープンカーならではの楽しみであり、クローズドボディでは味わえない。
「オープンカーの魅力は乗ってみなければわからない」と言われるゆえんは、オープンカーが筆舌に尽くし難いほど感覚的な乗り物だからである。
オープンカーの季節
夜のお台場でドライブ。夜風も気持ち良い。
蒸し蒸しとした夏が終わり、過ごしやすい気候になる秋は、オープンカーにとって最高の季節であると感じる。オープンカーの魅力を満喫したい人には、カラッとした秋晴れの日がオススメだ。
多くの人がオープンカーと聞いて想像するのは、夏の太陽が燦燦と照らす中で海沿いを颯爽と駆け抜ける風景ではないだろうか。しかし、筆者が実際に乗ってみると、オープンカーは夏の乗物ではないと感じた。なぜかというと、夏は直射日光が強く、エアコンをつけてもすぐに冷気が外に逃げてしまうため涼を得ることができないのだ。一般的なイメージとはかけ離れた、熱気と汗との戦いが繰り広げられることになる。
一方で、冬もエアコンの暖気が外に逃げてしまうのかというと、実はそうでもない。オープンカーは、フロントガラスがあるため直風を受けることはなく、オートバイのように身を切るような寒さはない。暖房やシートヒーターをつければ頭寒足熱で快適に走ることができる。イメージとしては、まるで露天風呂のように身体は暖かく、頭だけ外気に触れる心地よさになる。
また、冬は乾季で雨天が少ないため、突然の雨に見舞われる心配も少ない。極端な話をすれば、真夏に乗るよりも真冬に乗った方がオープンカーを楽しめるという訳である。
場所で変わる楽しみ方
桜並木がライトアップされる道をドライブ。
山道ドライブに行く途中の駐車場で撮影。
筆者がオープンカーを走らせていて最も気持ち良いと感じるのは、山や森など自然の中だ。春は桜のピンク色、夏は木々の青々としたミドリ色、秋は紅葉のオレンジ色など、季節の移ろいを色で感じることができるのがオープンカーの醍醐味であると思うからだ。
また、街乗りでもオープンカーの魅力は十分にある。例えば、ふと停車した瞬間に下から見上げた信号機。「こんなに近かったんだ」「こんな質感だったんだ」と普段見慣れている光景も、見る角度によって新しい発見をすることができるのだ。
このように、乗っていて全く飽きないというのもオープンカーの魅力の一つだろう。
クルマに対する価値観の変化
多くの人はクルマに利便性を求めるが、オープンカーは決して便利な乗物ではない。ホロはクルマのボディよりも劣化が早いし、電動格納式のハードトップはトランクスペースを削るので収納が少ない。
しかし、オープンカーは利便性の代わりに人をワクワクさせる多くの魅力を備えている。昨今、世の中は効率や利便性を追求したモノで溢れている。そんな時代だからこそ、心を満たす道具としてオープンカーの需要は高まるのではないだろうか。
ちなみに、そんな魅力を手軽に味わえる方法をご存じだろうか。実は、レンタカーやカーシェアリングでもオープンカーを借りることができる。もちろん車種は限られてはいるが、ポルシェやベンツ、BMWなどの高級オープンカーの魅力を楽しむことができる。
秋の行楽シーズン真っ盛り、いつもとは違う感覚を楽しむために、オープンカーを借りて出かけるのもいいだろう。
2018年10月04日(雨輝・山里 真元)