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最終更新日:2018.08.30 公開日:2018.08.30

成田~ヒューストンをつなぐANA×JAXA「宇宙フライト2018」就航

JAXAが研究中の小型静粛超音速旅客機のイメージ(2014年発表)。JAXAは日本の宇宙開発および研究を行っている機関と思われているが、実は航空部門もある。こうした超音速旅客機の中には、一時的に大気圏外まで出て弾道軌道を描いて遠隔地まで短時間で移動するような機体も研究されている。いつかは実用化され、ANAでも就航することだろう。

 9月12日が「宇宙の日」であること、そして同月20日が「空の日」であることにちなみ、全日本空輸(ANA)は、以前から人的交流などがある国立研究開発法人 宇宙航空開発研究機構(JAXA)とコラボレーションを実施。9月12日(水)から20日(木)までの9日間限定で、ANAの国際便で1日に2便、「宇宙フライト2018」を実施すると発表した。

 「宇宙フライト2018」は、成田11時15分発→米テキサス州ヒューストン翌9時30分着のANA「174便」と、ヒューストン11時30分発→成田翌15時20分着のANA「173便」がスペシャルな内容のフライトになるというもの。まず機内では、宇宙日本食認証食品(ビーフカレー、ようかん(小倉)、キシリトールガム、緑茶)が提供される。旅客機といえば、現在、一般の人が最も宇宙に近づける乗り物。そこで、宇宙食を味わってもらうという狙いだそうだ。

 さらに、JAXA大西卓哉宇宙飛行士が出演するスペシャルビデオメッセージの放映、ANA×JAXAによるスペシャルビデオコンテンツの提供、搭乗証明書およびオリジナルステッカーの配付、エコノミークラスのみオリジナルミニカードの配付なども行われる。 

 ちなみになぜヒューストンとの間を往復するのかというと、同都市にはアメリカ航空宇宙局(NASA)のジョンソン宇宙センターなどがあることが理由だ。ヒューストンはアメリカの”宇宙への玄関”なのである。

大西卓哉宇宙飛行士も挨拶で成田空港に!

 また9月12日10時から10時20分までは、成田空港第1ターミナルANA174便搭乗口において、地上イベントも実施される予定だ。ANA代表に加え、大西宇宙飛行士の挨拶が行われ、搭乗者のみさきほど紹介した搭乗証明書とオリジナルステッカーの配布が行われる。宇宙日本食も展示される予定だ。

 さらに期間中は、成田空港第5サテライトANAラウンジにて、宇宙日本食と船外宇宙服の展示を行うと同時に、キシリトールガムの配付も行われる。

 ちなみに8月29日現在、成田発のANA174便もヒューストン発のANA173便も席はまだある。174便の料金はエコノミークラスの最も安価なヴァリューで8万9900円だ。一方、173便はすでにヴァリューがなく、その上のベーシックプラスで13万6110円。

EMU(Extravehicular Mobility Unit:船外活動ユニット)を着用した大西卓哉宇宙飛行士。NASAジョンソン宇宙センターにて、2011年6月に撮影されたもの。初日の9月12日には、大西宇宙飛行士の挨拶も成田空港で行われる。

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宇宙日本食とは何かに迫る!

宇宙日本食とはいったいどんな宇宙食?

 国際宇宙ステーション(ISS)やスペースシャトルなどで、宇宙飛行士たちが食事する場面を見た人も多いことだろう。実は、日本人宇宙飛行士が増えるに従って、近年は日本食の宇宙食も増えているのだ。宇宙日本食とは、食品メーカーまたは団体が製造する食品をJAXAが評価し、宇宙食としての基準を満たしている場合に認証されるものだ。

 なぜ日本宇宙食を開発しているのかというと、ISSに長期滞在する日本人宇宙飛行士に、日本食の味を楽しんでもらうため。長期滞在による精神的なストレスを和らげ、その結果として作業効率の維持や向上につながることを目的としたものだという。

 必ずしも伝統的な和食に限定せず、日本の家庭において一般的に食されている範囲を対象としており、2018年8月現在で16社が開発した32品目が宇宙日本食として認証されている。

 「宇宙フライト2018」で提供される宇宙食は、ビーフカレー、ねりようかん(小倉)、キシリトールガム、緑茶の4種類。それぞれの特徴を紹介しよう。

(1)ビーフカレー。(2)ねりようかん(小倉)。(3)キシリトールガム。(4)緑茶。

(1)ビーフカレー
 ハウス食品が開発し、2007年6月に認証された。無重力環境によって地上とは異なる味覚の変化に対応するため、ウコンを同社の通常商品の2倍強に増量するなどして、スパイシーで濃いめの味にしているという。そのほか、カルシウムも増量しているほか、ビタミンDや大豆イソフラボンも添加。同社商品内辛味順位は4(辛口)相当だそうである。

(2)ねりようかん(小倉)
 山崎製パンによるもの。ねりようかんはもとから保存性のよさが特徴だが、新技術も導入したという。さらに、原料の品質やねり条件(温度・時間)、充填条件などの厳格な管理を行うことで、より長期の保存期間を実現した。

(3)キシリトールガム(ライムミント味)
 開発したのはロッテ。ライムの香りのさわやかさと、ミントの清涼感によるスッキリとした味わいが特徴のチューインガム。宇宙空間でも気軽にかむことが可能で、無重力環境のせいで体内からカルシウムが失われやすい宇宙飛行士の歯を守ることを考えてキシリトールが配合されている。

(4)緑茶
 三井農林が開発。厳選された国産茶葉のコクに宇治抹茶の旨味を加え、スプレードライ製法でスッキリとした飲み心地に仕上げられている。お湯だけでなく水でもすぐに溶けるのが特徴で、ISS内でも安らぎと宇宙飛行士同士の団らんのひとときを手軽に楽しめるとしている。

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ANAの宇宙機に乗って宇宙ステーションに行く時代がもうすぐ来る!?

ANAが進める宇宙事業化プロジェクトとは

 ANAは2018年1月から「宇宙事業化プロジェクト」を立ち上げ、事業化に向けた活動を開始したことをご存じだろうか。この宇宙事業化プロジェクトは、同年2月に発表されたANAの2018-22年度グループ中期経営戦略の中では新領域に含まれる。実際に、宇宙旅行や高速輸送が検討されているのだ。

 具体的には、市場調査および予測、提携関係の構築、事業計画策定を目的として、現在は19人のメンバーが輸送チーム、社内活用チーム、事業基盤チームの3チームに分かれて活動しているという。

 輸送チームは、宇宙機を運航し、旅客および貨物輸送の事業化を検討することが目的だ。社内活用チームは、宇宙技術や宇宙発の資産をANAグループで活用し、オペレーション改革や新たなサービスを検討するというもの。そして事業基盤チームは、宇宙事業に必要なルール・ガイドラインなどの整備に向け、国や研究機関などと連携し、事業基盤を固めることとしている。

 航空会社がこうして実際に宇宙の事業化を検討することにより、宇宙が身近になっていく。やがて、ANAのような航空会社はそう遠くない将来に航空宇宙会社となり、そしてその宇宙機に乗って誰もが気軽に宇宙に行ける日が来るに違いない。それを楽しみに待ちたい。

ISS。地上から高度約400kmの衛星軌道を、約90分で地球を1周する速度で周回している。画像は、日本実験棟「きぼう」の組み立てが完了した後、2010年5月にスペースシャトル「アトランティス」から撮影されたもの。将来、こうした宇宙ステーションにANAの宇宙機で旅行やビジネスで出かける時代が来ることだろう。

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