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最終更新日:2018.07.06 公開日:2018.07.06

【JNCAP2014~17予防安全】対クルマの自動ブレーキ性能・全37車種【後編】

 国土交通省と自動車事故対策機構(NASVA)が毎年発表している自動車アセスメント「JNCAP」。予防安全性能と衝突安全性能の2種類の評価試験が実施されている。

 事故を未然に防ぐためのハイテク機能「先進安全運転支援システム」を対象とした評価試験が予防安全だ。2014年から始まり、この4年間でテストを受けた車種は104車種に及ぶ(同一車種の別グレードや年式違いも1車種として集計)。

 ここでは、予防安全で行われる評価試験4項目のうち、14年から17年まで一貫して同一条件で行われている、対車両の衝突被害軽減ブレーキ(いわゆる自動ブレーキ)の性能評価で、32点満点をマークした車種を紹介する。

 満点をマークした車種は全37車種に及ぶため、前後編に分けた。後編ではスバル、スズキ、レクサス、三菱、メルセデス・ベンツの合計17車種をメーカー別に紹介。評価試験を受けた古い順に掲載した。

メーカーインデックス

【後編】
スバル(6車種)
スズキ(5種)
レクサス(4車種)
三菱(1車種)
メルセデス・ベンツ(1車種)

【前編】
トヨタ(8車種)
ホンダ(6車種)
日産(3車種)
マツダ(3車種)

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まずは「アイサイト」のスバルから!

スバルは6車種がラインナップ!

スバル「XV」。2代目「XV」までは「インプレッサ」の1グレードだったが、現在は独立した車種となっている。JNCAP2016後期発表会会場にて撮影。

 先進安全運転支援システムの代名詞的な存在といっていいスバルの「アイサイト」。その特徴は、ステレオカメラによる画像認識技術を用いていること。人の目と同じように2眼で立体視できるステレオカメラからの映像のみでクルマ、歩行者、自転車、障害物などを識別し、対象の形状や距離、移動速度などを検出している。

 他メーカーも歩行者とクルマの識別用に単眼カメラによる画像認識技術を用いているが、距離計測にはミリ波レーダーやレーザーレーダーなどを用いている。

 「アイサイト」は現在バージョン3まで進化しており、さらに2017年夏からは新機能を追加した「アイサイト・ツーリングアシスト」が登場した。「アイサイト・ツーリングアシスト」は、高速道路において時速0~120kmの車速域において、アクセル、ブレーキ、ステアリング操作をアシストする機能が追加されている。

インプレッサ XV(2代目)

発売:12年9月 試験実施年度:15年 試験を受けたグレード:2.0i-L EyeSight
スポーツセダン「インプレッサ」の派生型の都市型クロスオーバーSUVの2代目。15年10月のビッグマイナーチェンジで、スバルの先進安全装備「アドバンスドセイフティパッケージ」がアイサイト装着車にメーカーオプション設定された。

インプレッサ/XV(3代目)

発売:インプレッサ/16年10月 XV/17年5月 試験実施年度:16年。試験実施車種・グレード:インプレッサ 2.0i-L EyeSight
現行モデルの3代目から「インプレッサ」の名が取れて独立した車種となった「XV」。ただし、JNCAPにおいては予防安全が同一性能の兄弟車種として5代目「インプレッサ」と共に扱われている。

フォレスター

発売:12年11月 験実施年度:16年。試験を受けたグレード:2.0i-L EyeSight。
スバルを代表するSUVの4代目。15年10月のビッグマイナーチェンジで、「アドバンスドセイフティパッケージ」がアイサイト装着車にメーカーオプション設定された。18年夏にはフルモデルチェンジした5代目が発売予定試。

レヴォーグ(初代・2015年式)

発売:14年4月 試験実施年度:16年 試験を受けたグレード:1.6 GT-S Sport EyeSight
新型スポーツツアラー。15年4月のマイナーチェンジによって、「アドバンスドセイフティパッケージ」が国内初採用された(アイサイト装着車にメーカーオプション設定)。

レガシィ

発売:14年10月 試験実施年度:16年 試験を受けたグレード:アウトバック Limited
クロスオーバーSUV「アウトバック」とセダン「B4」の2タイプがある、スバルのフラッグシップモデル。15年9月のマイナーチェンジで「アドバンスドセイフティパッケージ」がアイサイト装着車にメーカーオプション設定された。

レヴォーグ(初代・2017年式)/WRX

発売:レヴォーグ/14年10月 WRX/14年8月 試験実施年度:17年 試験を受けた車種・グレード:レヴォーグ 1.6 STI Sport EyeSight
「インプレッサ」から派生したスバルのスポーツセダンの頂点である「WRX S4」(「WRX STI」を除く)と、「レヴォーグ」は、共に17年7月のビッグマイナーチェンジで、スバル車で初めて「アイサイト・ツーリングアシスト」が全グレードに標準設定された。それにより、同一の予防安全性能を持つ車種として、JNCAPではひとまとめで扱われている。

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スズキはこの2年ほどで一気に増加!

スズキは16~17年に一気に5車種が登場!

スズキのコンパクト・スポーツカー「スイフト」。JNCAP2017後期発表会場にて撮影。

 スズキの先進安全運転支援システムは、「スズキ セーフティ サポート」と呼ばれる。「スズキ セーフティ サポート」の中核をなすセンサーは車種によって構成が異なり、2種類ある。

 ひとつは、ステレオカメラによる画像認識システムだ。同システムを利用した自動ブレーキは、「デュアルカメラブレーキサポート」と呼ばれる。

 このステレオカメラを用いた技術は、スバルの「アイサイト」の中核技術が用いられている。現在では、スバルと「アイサイト」を共同開発した日立が同技術を管理しており、スバル以外でも採用できるようになった。

 もうひとつは、画像認識用の単眼カメラと測距用のLIDAR(レーザーレーダー)の併用を採用したシステムだ。この場合の自動ブレーキシステムは「デュアルセンサーブレーキサポート」と呼ばれる。

 そのほか「スズキ セーフティ サポート」には、車線逸脱警報、誤発進抑制、先行車発進告知などの機能も備わっている。

イグニス

発売:16年1月 試験実施年度:16年 試験を受けたグレード:HYBRID MX
小型車とSUVを融合させた新ジャンル”コンパクト・クロスオーバー”。センサーはステレオカメラ方式を採用。自動ブレーキ「デュアルカメラブレーキサポート」などを備える。

ハスラー

発売:14年1月 試験実施年度:16年 試験を受けたグレード:Xターボ
軽ワゴンとSUVを融合させた軽クロスオーバーSUV。15年12月のマイナーチェンジで「スズキ セーフティ サポート」を標準装備とした。センサーはステレオカメラ方式。

クロスビー

発売:17年12月 試験実施年度:17年 試験を受けたグレード:HYBRID MX
ワゴンとSUVを融合させた新コンセプトの小型クロスオーバーワゴン。センサーは単眼カメラとLIDARの併用方式を採用しており、自動ブレーキ「デュアルセンサーブレーキサポート」などを備える。また後退時の自動ブレーキをスズキ車で初めて搭載した。

スイフト

発売:17年1月 試験実施年度:16年、17年 試験を受けたグレード:(2年とも)HYBRID RS
スズキを代表するコンパクト・スポーツカー。センサーは単眼カメラとLIDARの併用方式。16年と17年の2年度連続で予防安全性能評価試験を受けたが、機能的な差はなかったため、同じ点数だった。

ワゴンR/ワゴンR スティングレー

発売:17年2月 試験実施年度:16年、17年 試験を受けたグレード:(2年とも)HYBRID FX
スズキの人気軽ワゴン。センサーは単眼カメラとLIDARの併用方式を採用。16年と17年の2年度連続で試験を受けた。ただし予防安全性能が若干異なり、16年度に試験を受けた車種ははみ出し警報は0点だったが、17年の同試験を強化した車線逸脱抑制で8点を獲得した。

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トヨタとはまた別コンセプトの予防安全を追求するレクサス!

レクサスは4車種が満点を獲得!

ラグジュアリーSUV「LX570」。レクサスブランドのSUVのフラッグシップモデルで、車両価格はジャスト1100万円(税込)。

 レクサスでは、交通事故による死傷者を減らすため、「車両への追突」、「歩行者」、「走路逸脱」、「出会い頭」の4大事故形態を視野に入れ、先進技術の開発と普及技術の展開という2本柱での研究開発が進められている。

 先進安全運転支援システムの普及技術が「LEXUS SAFETY SYSTEM +(レクサス・セーフティ・システム・プラス)」と呼ばれる。このベーシックな技術に加え、さらに先進的な予防安全技術を加えたものが「LEXUS SAFETY SYSTEM +A(レクサス・セーフティ・システム・プラスエー)」だ。以下の6つのシーン・シチュエーションに合わせて開発されている。

1.駐車場:駐車場誤発進抑制や後退時自動ブレーキなど
2.街中:歩行者検知と、自動ブレーキおよび自動操舵による衝突回避など
3.交差点:死角から接近する車両の検知と注意喚起など
4.高速道路:長距離運転時のドライバーへの負担の軽減など
5.夜間:ハイ/ロービーム自動切り替えによる歩行者検知(夜間視認性の向上)など
6.緊急事態:ドライバーの体調急変時の車線内自動停止と救命要請など

LS

発売:12年10月 試験実施年度:14年 試験を受けたグレード:460 F SPORT
レクサス「LS」シリーズは、国内ではかつて「セルシオ」としてトヨタから販売されていた車種。06年9月発売の4代目から国内でもレクサスブランドとなった。12年10月にマイナーチェンジで自動ブレーキなど先進安全運転支援システムを搭載し、試験を受けたグレードの「460 F SPORT」はそのときに追加設定された。

LX

発売:15年9月 試験実施年度:15年 試験を受けたグレード:570
海外のレクサスでは、1996年に同ブランド初のSUVとして登場した「LX」。3列シートやラグジュアリーさが特徴の同ブランドのフラッグシップSUVだ。「LEXUS SAFETY SYSTEM +」を国内で初めて搭載した。

GS

発売:13年10月 試験実施年度:16年 試験を受けたグレード:300h
国内でレクサスブランドが立ち上がった05年7月からラインナップされていたGTセダン。15年11月のマイナーチェンジで「LEXUS SAFETY SYSTEM +」が搭載された。試験を受けたグレードのハイブリッドモデル「300h」は、13年10月に追加設定された。

RX

発売:15年10月 試験実施年度:16年 試験を受けたグレード:RX450h
09年1月に初代が登場した「プレミアム・クロスオーバー」と銘打たれたSUV。15年10月にフルモデルチェンジして2代目となったときに「LEXUS SAFETY SYSTEM +」が搭載された。

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最後は三菱とメルセデス・ベンツを1車種ずつ

三菱は1車種が32点満点を獲得!

三菱のミッドサイズSUVで、プラグインハイブリッド車の「アウトランダーPHEV」。予防安全性能は、「アウトランダーPHEV」もガソリン車「アウトランダー」も変わらない。ジャパンEVラリー白馬2017にて撮影。

 三菱の先進安全運転支援システム「e-Assist(イーアシスト)」は、センサーとしてミリ波レーダーと、雨滴感応オートワイパー用のレインライトセンサー機能も内蔵した単眼カメラの併用方式となっている。12年10月にモデルチェンジして2代目となった「アウトランダー」および「アウトランダーPHEV」に初搭載された。

 そのときは、自動ブレーキ、車線逸脱警報、レーダークルーズコントロールなどの機能を備えていたが、後に赤外線レーザーレーダー、超音波センサーが追加され、前後の誤発進抑制、低車速域用の自動ブレーキといった機能も備えるようになり、ほかの三菱車にも搭載されるようになっていった。

アウトランダーPHEV/アウトランダー

発売:12年12月 試験実施年度:17年。試験を受けた車種・グレード:アウトランダーPHEV G Navi Package
ミッドサイズSUV。12年12月にフルモデルチェンジして2代目となり、その際に三菱車として初めて同社の先進安全運転支援システム「e-Assist」が搭載された。また、試験を受けたプラグインハイブリッド車「アウトランダーPHEV」は、そのときに登場した。

唯一の輸入車としてメルセデス・ベンツから1車種

メルセデス・ベンツ「C200 アバンギャルド」。Cクラスの中で中間クラスのやや下ぐらいの位置付けの1台。

 JNCAPは国産車限定というわけではないが、販売台数の多い人気車種が選ばれるため、必然的にその多くが国産車となる。それ故、評価試験を受ける輸入車自体が少ないのだが、この4年間の中では、メルセデス・ベンツの「Cクラス」が唯一の輸入車として、対車両の自動ブレーキで32点満点をマークした。

 メルセデス・ベンツの先進安全運転支援システムは「レーダーセーフティパッケージ」という。センサーはミリ波レーダーと単眼カメラの併用方式だ。自動ブレーキは「アクティブブレーキアシスト(歩行者検知機能付き)」と呼ばれる(発表当時は、「ブレーキ・アシスト・システム・プラス」という名称だった)。

 そのほか、衝突時に乗員のダメージを最小限に抑えるセーフティ機構「PRE-SAFE(プレ・セーフ)」、後方から追突されたときの衝突被害を軽減する「被害軽減ブレーキ付き後方衝突警告システム」、「アクティブレーンキーピングアシスト」などを備えている。

Cクラス

発売:07年 試験実施年度:15年 試験を受けた車種・グレード:C200 アバンギャルド
07年に発表され、11年5月に2000か所の変更というビッグマイナーチェンジを経て後期型となり、13年7月のマイナーチェンジで先進安全運転支援システム「レーダーセーフティーパッケージ」を標準装備とした(下位グレード「C180」はオプション設定)。

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