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最終更新日:2018.04.09 公開日:2018.04.09

【横浜】2018/3/24~6/24 英テート所蔵のヌードの傑作が集結した挑戦的展覧会「ヌード」

アンリ・マティス《布をまとう裸婦》1936年 Tate: Purchased 1959 image © Tate,London 2017

 世界屈指の西洋近現代美術コレクションを誇る英国のミュージアム「テート」。テートの所蔵作品の中からヌードをテーマにした作品を取り上げることで、200 年におよぶ裸体表現の変遷をたどる展覧会「ヌード NUDE-英国テート・コレクションより」が、6月24日まで横浜美術館で開催されている。

テート・コレクションが横浜にやってくる!

 テート(TATE)とは、大英博物館、ナショナル・ギャラリーと並ぶ、英国を代表する国立美術館のひとつである。ヨーロッパではテートといえば、ヘルツォーク&ド・ムーロン設計によるテート・モダンの建築や、斬新な切り口の企画展で話題を呼んでいる。そのテートが今回、挑戦的なテーマに取り組んだ。最も身近であり、個人的でもあり、人間そのものの存在を象徴する普遍的でもある「ヌード」。このテーマを取り上げた、大規模な展覧会は前例がないという。

フレデリック・レイトン 《プシュケの水浴》1890年発表 Tate: Presented by the Trustees of theChantrey Bequest 1890 image © Tate,London 2017

 本展覧会では、理想的な美の象徴として、愛の表現として、社会的・政治的なメッセージとして、西洋の芸術家たちが向き合い、挑み続けてきたヌードを8章のテーマ別に考察する。日本初公開となるロダンの大理石彫刻《接吻》をはじめ、あまり知られていないターナーが描いたヌード作品や、マティス、ピカソ、ホックニー、シンディ・シャーマンなど19世後半から現代まで。絵画、彫刻、版画、写真134点にわたるテートの所蔵品のなかでも最も重要で、愛されているヌードの傑作が集結した。
 シドニー、オークランド、ソウルへと巡回し、多くの話題を呼んだ本展覧会は、日本では横浜美術館のみでの公開となる。

エロティック・ヌード

オーギュスト・ロダン 《接吻》(部分)1901-4年 Purchased with assistance from the ArtFund and public contributions 1953 image© Tate, London 2017

 「ヌード=裸体」という言葉から人は何を想起するだろう? 「エロティック・ヌード」の章では、愛の行為に迫る芸術家たちの取り組みがみてとれる。
 オーギュスト・ロダンの傑作《接吻》は、男女の性愛を扱った芸術作品として、とりわけ重要なイメージを作り出した。情熱的に抱き合うふたりの姿には、高まる男女の感情が官能的に表現されている。実はふたりはダンテの『神曲』に登場する妻とその夫の弟という不義の恋仲。20世紀初頭に、この作品がはじめて展示されたとき、若者たちには刺激が強すぎるとシーツで覆い隠されたという。

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ターナーの貴重なヌード作品

風景画家ターナーがエロチックなスケッチを!?

ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー 《ベッドに横たわるスイス人の裸の少女とその相手》「スイス人物」スケッチブックより 1802年 Tate: Accepted by the nation as part ofthe Turner Bequest 1856 image © Tate,London 2017

 風景画家として知られるターナーは、観察と妄想に基づいたエロティックなスケッチも残している。《ベッドに横たわるスイス人の裸の少女とその相手》など、ターナーが海外で制作したスケッチブックは、彼が海外旅行で売春宿を訪れたことを示唆している。こうしたスケッチの多くはターナーの名声を守るため、焼却されたそうだ。
 《寝室:空のベッド》は、性行為の直後を連想させる乱れた空っぽのベッドを描くことで、人の想像力を刺激する。また暗い絵の具で描かれ、モチーフが不明瞭な《カーテンのひかれたベッド、性行為中の裸の男女》は、作品を覗き込むビジターを「覗き見の共犯者」にしてしまう。ターナーがそこまで意識していたのか、またこういった習作が世にさらされることを考えていたのかどうかは分からないが、結果としてはエロスと想像世界の関係性を浮き彫りにする。

デイヴィッド・ホックニー 《23, 4歳のふたりの男子》C.P. カヴァフィスの14編の詩のための挿絵より 1966年 Tate: Purchased 1992 ⓒ David Hockney

 エロティシズムは、男性が女性を「見る」視点が男性優位主義だと批判の対象になってきた。しかし、20世紀終わりには、デヴィッド・ホックニーが同性愛の場面を描いたり、ルイーズ・ブルジョアが、性行為において男性にさまざまなポーズを取らせることで、女性の優位性を表現するなど、性愛の多様性が芸術の分野でも台頭した。

 「ヌードは、人間とは何かということへの理解へと誘うのです」と本展覧会の監修を務めたテートのキュレーターは言っている。どの章のどの作品に注目するかで、自身の興味や嗜好、政治意識などが鏡のように映し出されるという点ではそう言えるであろう。批判性を内に秘めた、テートらしい斬新な展覧会である。

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招待券プレゼントのお知らせ

ヌード NUDE-英国テート・コレクションより

【会期】
2018年3月24日(土)~6月24日(日)
【開館時間】
10:00~18:00 ただし、5月11日(金)、6月8日(金)は20:30まで(入館は17:30分まで)
【休館日】
毎週木曜日 5月7日(月)※ただし5月3日(木・祝)は開館
【会場】
横浜美術館(横浜市西区みなとみらい3-4-1)
【入館料】
一般1600円 他 ※詳細は展覧会HPでご確認ください
【アクセス】
みなとみらい線(東急東横線直通)「みなとみらい駅」3番出口から徒歩3分 他
【展覧会HP】
https://artexhibition.jp/nude2018/

本稿で紹介した「ヌード展」のご招待券プレゼント応募は終了しました。
賞品は抽選の上、2018年5月1日に発送しました。
たくさんのご応募ありがとうございました。

2018年4月9日(JAFメディアワークス IT Media部 荒井 剛)

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