その10 / 自動運転EXPO 自動追従機能付き台車と かわいい宅配ロボット
宅配ロボット「CarriRo Delivery」(c) 2018 ZMP Inc.
展示会・見本市の中でひっそりと咲く、専門性という不思議さが心をくすぐるモノを紹介する本企画です。
オートモーティブワールドに自動運転EXPOが参入!
クルマの技術開発に自動運転はもはや切り離せないものとなっていますが、「オートモーティブ ワールド2018」に、自動運転の専門展がついに誕生! ということで、本日は東京ビッグサイトで1/17~19に開催された、業界関係者のための商談展「第1回 自動運転 EXPO」を視察してきました。
この見本市では記者が最初から目をつけていた製品があります。それはZMP社の「CarriRo Delivery(キャリロ・デリバリー)」です。同社は自律走行の技術を使って社会問題の解決に取り組んでいます。
そのひとつに過疎地の高齢者の足となる自動運転タクシーの開発を行っています。 そして、このCarriRo Deliveryは物流の問題を解決すべく開発中の自動運転による「宅配ロボット」なのです。
物流の問題と言えば、近年、宅配便が大量に増えて人手が足りないという事態が発生していますし、お店が遠くてクルマがないと買い物にいけない”買い物弱者”の方々もいます。
例えば、自分が病床にいて、薬局から薬が届いたり、食べ物をデリバリーできたりしたら嬉しいな~と思います。それに高齢者へのサポートはいろいろあるに越したことないですよね。
歩道をス~っと走る宅配ロボット
CarriRo Deliveryの機能についてです。箱型の自動運転ロボットには、宅配便を入れるボックスが収納されていて、ある程度の段差を上ったり旋回したりできるよう6つのタイヤがついています。注文を受けると宅配便を積んで自動運転によりカメラやレザーセンサーで周囲環境を360度認識しながら歩道を最高速度6km/hで移動し、目的地まで届けます。
最高速度6km/hというのが実はミソで、電動車椅子やシニアカーなどのように歩道を走るための規定のひとつだそうです。個人的に車道ではなく、歩道を使うという発想が面白いと思います。CarriRo Deliveryが歩道を移動している動画がありますが、こういった自動運転ロボットが人と一緒に移動している様子はまるで未来社会のようではありませんか。そういった社会がすぐそこまで来ているんでしょうね。
CarriRo Delivery紹介動画。(c) 2018 ZMP Inc.
注文や受け取り、宅配ボックスの解錠などはスマートフォンで行います。宅配時間のお知らせもスマホで受け取れ、CarriRo Deliveryが今どこにいるのか、何を積んでいるかを確認できます。緊急時には停止させ、手動運転に切り替えることも可能です。
ボディのセンサーにスマホをかざすとボックスの解錠ができたり、受け取りをお知らせできるようです。(c) JAF Media Works
解錠後に荷物を取り出します。(c) 2018 ZMP Inc.
正面から見ると電車の車両のようにも見えるかわいい形をしていますよね。デザインは「街の中で安心感を与える、可愛いと思ってもらえる、子ども達も含めて街の人気者になるように」というコンセプトのもと考案。歩道を自動走行する物体に対して怖いイメージを受けないように親しみやすさを表現したそうです。なるほど~。ロボットを筆頭とする自動で動くモノがファンシーなデザインなのはなぜかと思っていましたが、そういった理由があるんですね。
(c) JAF Media Works
CarriRo Deliveryは量産前モデルを2018年秋にリリースする予定で、実証実験を行い、2019年後半に量産化が見込まれています。近い将来、宅配ロボットとして活躍する日が来るのでしょうか。楽しみです。
実はCarriRo Deliverが開発されるに至ったのには、2015年に製品化された前身ともいうべき物流支援ロボット「CarriRo(キャリロ)」の存在がありました。
「CarriRo」(c) 2018 ZMP Inc.
CarriRoは自動追従機能を搭載した台車型ロボットで、倉庫など物流・製造の現場で荷物を運ぶ時の負担を軽減します。
カルガモモードで3台ついてくる
ジョイスティックを操作するとCarriRoが前後左右に走行し、力を使うことなく荷物を運べる「ドライブモード」。そして、センサーを持っている人に反応し、作業者に追従する「カルガモモード」があり、一度に3つまでCarriRoが連なりついて来るため、倉庫での作業が楽ちんに!
CarriRoの説明動画。(c) 2018 ZMP Inc.
CarriRoはZMP社のスタッフが、真夏の倉庫で汗だくになりながら作業をしている様子を見て、開発のアイデアが閃いたといいます。やはり実用から生まれる道具や技術は説得力がありますね。
また、あれもこれも機能を詰め込まないで、倉庫の運搬、宅配といったように、ひとつのことに特化した製品であるという点も記者の心をくすぐりますです。
2018年1月26日(JAFメディアワークス IT Media部 荒井 剛)