レトロスタイルが最高にカッコいい ヴィンテージ風電動アシスト自転車と電動バイクが今ブーム
ポルシェ356のデザインを取り入れた電動バイク。© Vintage Electric Bike
電動アシスト自転車と電動バイクの人気が高まっている。
自転車産業振興協会の報告によると、2017年1~3月の電動アシスト自転車の国内生産台数は自転車全体の79%を占める。
この傾向は海外でも同じである。自転車大国オランダでも、電動アシスト自転車は年々増加の傾向にあり、2016年には自転車全体の約3割に上った。またドイツでも、2016年の電動アシスト自転車と電動バイクの販売台数は前年比 13.1%増の 60.5 万台となり、自転車全般の国内出荷台数が減少に転じた中でも、2 ケタの増加率を見せている。
クラシックモーターサイクルのデザインを取り入れて
今欧米で、ヴィンテージ風電動アシスト自転車と電動バイクの静かなブームが起きている(静かと形容したのは、これらの商品が大量生産品ではないからである)。ドイツの電動バイク専門誌「ElekroBike(エレクトロバイク)」では、ヴィンテージ風電動バイクの特集を組んで紹介しているほどだ。
クラシックモーターサイクルのデザインを取り入れた電動アシスト自転車や電動バイクは、ほとんどが小さいメーカーにより自社工場で1台1台手作りされているハンドメイド品である。一部のファンに熱狂的人気の2社を紹介してみたい。
アメリカの伝統的なビーチクルーザーが元になった電動バイク
ビーチクルーザーを原型とした「Cafe」。コンパクトなバッテリーボックスは取り出して充電が可能だ。© Vintage Electric Bike
カリフォルニアに拠点を置く「Vintage Electric Bike(ヴィンテージ・エレクトリック・バイク)社」は、名前のとおりヴィンテージ・テイストの電動バイクの製造を専門とするメーカーだ。昔の職人のように1台1台が自社工場で真心をこめて手作りされている。
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ヴィンテージ・ポルシェにインスパイアされた電動バイク!
ヴィンテージ・エレクトリック・バイク社の製品の特徴は、カリフォルニアの伝統的な自転車であるビーチクルーザーをベースにしたデザインにある。ビーチ用に考えられた太いタイヤ、古き良きアメリカを思い出させる色でペイントが施されたフレーム、本皮のサドルにいたるまで、ヴィンテージにこだわる美意識で貫かれている。
レーシングバイクを彷彿させる「スクランブラー」。© Vintage Electric Bike
もうひとつの特徴は、フレームに設置されたアルミのバッテリーボックスである。昔のオートバイエンジンのようにデザインされたバッテリーボックスは工業的な雰囲気も与えている。「Café」に装備されたコンパクトなバッテリーボックスは取り外せて、家の中で充電できるよう設計されている。オートバイでおなじみのフォークとワイドハンドルの「Tracker(トラッカー)」や、ダートバイクのようなアップアップライトなハンドルとブロックタイヤが特徴的な「Scramber(スクランブラー)」など全部で5機種をそろえるが、中でもスタイリッシュさでひときわ目を引くのが「Outlaw(アウトロー)」だ。
取り外し可能なCafeのバッテリーボックス。© Vintage Electric Bike
ポルシェ356からインスパイアされた「アウトロー」
アウトローは、クラシックスポーツカーのレース用カスタマイズを行うメーカー「Emory Motorsports(エモリー・モータースポーツ)」とコラボレートして生まれた特別限定製品で、1959年式ポルシェ356アウトロー・クーペをモデルにデザインされている。
© Vintage Electric Bike
シルバーのフレーム、ライト、レザーサドルにいたるまで子供の頃に憧れたポルシェのイメージを投影したかのようなデザインで、夢のクルマをいつも手元に置きたい、電動バイクとして日常でも使いたいという男のロマンを具現化した作品である。
© Vintage Electric Bike
サドルやハンドグリップはBrooks、ディスクブレーキはShimano、タイヤはSchwalbeといった一流メーカーのパーツを使っており、バッテリーは52v 702Wh、2時間の充電時間でチャージでき約56km走行可能だ。
ヴィンテージ・エレクトリック・バイクの電動バイクは、日本では電動バイクの扱いとなるため、公道を走る場合は、バイクと同じように、ナンバー登録、自賠責保険、ヘルメット、原付免許が必要である。
エモリー・モータースポーツとのコラボで生まれたアウトローの動画
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バルセロナ発、最高にカッコいいヴィンテージ電動アシスト自転車
ヴィンテージバイク?いえ電気アシスト自転車です
スペイン・バルセロナをベースにしている「Oto Cycles(オト・サイクルス)社」も、ヴィンテージデザインの電動アシスト自転車の作りに情熱を注ぐ小さな会社である。
ミリタリータッチの配色に仕上げられた「OtoR」。© Oto Cycles
オト・サイクルス社の電動アシスト自転車は、一見するとバイクにしかみえない。ワイドなバーハンドル、テレスコピック式フロントフォーク、丸目一灯ヘッドライト、フォーエルタンクのようなバッテリーボックス、そして重厚な皮製サドルなど本格的なモーターサイクル風の各ディテール装備にメーカーのこだわりが光る。
© Oto Cycles
オト・サイクルス社の製品は、他とは違うモノを愛するトレンドセッターや個人主義者のために考案された自転車で、色、タイヤ、サドル、グリップを選ぶことができ、バッテリーボックスにネームを入れるなどカスタマイズオーダーも可能である。量産よりもクオリティーにこだわり、ひとつひとつ丁寧に手作りされている。
電動アシスト自転車OtoRのスペック
全長:210cm
全高:85cm
重量:27kg
ブレーキ:Shimano
サドル:Brooks
電動駆動機能が備わった自転車の普及と共に、デザイン的にも魅力的なアイテムが出てきているのは嬉しいことだ。ヴィンテージ・エレクトリック・バイク社もオト・サイクルス社も現在のところ日本での発売はされておらず、メーカーから直接オーダーすることで入手が可能だということだ。
© Oto Cycles
2017年6月30日(JAFメディアワークス IT Media部 荒井 剛)