なぜ新型フェラーリは元Appleのデザイン責任者が担当したのか? 電動スポーツカー「ルーチェ」のインテリアの一部を先行公開【新車ニュース】
2月9日、フェラーリは5月にイタリアでワールドプレミアを予定している新型電動スポーツカーの車名を「Luce(ルーチェ)」と発表。合わせてインテリアの一部をサンフランシスコで先行公開した。
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目次
「ルーチェ」とはイタリア語で「光」や「照らす」という意味
フェラーリ初となる量産電気自動車の車名が「Luce(ルーチェ)」に決まった。
イタリア語で「光」や「照らす」意味するこの車名は、フェラーリ・ラインナップにおける重要性を示す新しい命名戦略に基づき、未来に目を向ける同社の揺るぎない姿勢が表現された。同社は次のように説明している。
「『ルーチェ』は、単なる車名ではありません。ビジョンを表しています。フェラーリにとって『ルーチェ』は、ひとつの技術ではなく、哲学なのです。電動化は手段であって、目的ではありません。デザインとエンジニアリングと想像力が融合して、いまだかつてないものが誕生する新しい時代の到来です。シンプルでピュア、イメージを掻き立てる『ルーチェ』という車名は、明快さとインスピレーションのシンボルです。妥協のないビジョン、透明なデザイン、あらゆる部分から感じられる静かなエネルギー、機能から形作られたフォルム——、こうした革新へのフェラーリの姿勢を表現しています」
フェラーリの新しい命名戦略はこの「ルーチェ」の重要性を反映し、伝統と革新のシームレスな融合を象徴している。最先端のテクノロジーとユニークなデザイン、クラストップのドライビングの興奮を誇る「ルーチェ」は、フェラーリのレースヘリテージと、そのスポーツカーに宿るタイムレスな魂、そして進化を続ける現代のライフスタイルとを結びつけるモデル。未来を思い描き、果敢に挑戦して、人々の予想を超えようという、フェラーリの固い決意を証明している。先頭に立つ者は、その先の道を照らし出す存在——、そうした気概が「ルーチェ」という名で表現されたのである。
デザインは元アップル、ジョニー・アイブ率いるLoveFromとのコラボレーション
フェラーリ・ルーチェ|Ferrari Luce
このたびの発表では、車名とともにインテリアの一部が公開された。デザインはフラヴィオ・マンゾーニ氏率いるフェラーリ・スタイリング・センターと、「LoveFrom」のコラボレーションによるもの。
サンフランシスコとロンドンにスタジを構えるLoveFromは、Appleで最高デザイン責任者を務めた経緯を持つジョニー・アイブ氏と、オーストラリアのプロダクトデザイナーであるマーク・ニューソン氏が創設したクリエイティブ集団。この新モデルのデザインのあらゆる側面について、これまで5年にわたってフェラーリと協業を重ねてきた。
「ルーチェ」をLoveFrom とともに構想するという選択は、未来に対するフェラーリのビジョンを明確に示している。このモデルが伝説的なフェラーリのヘリテージを守りつつ、常識に挑み、素材や人間工学から、インターフェース、全体的なユーザーエクスペリエンスまで、あらゆるディテールを再構築するモデルだからとフェラーリは説明。LoveFrom は、プロジェクトのデザインの方向性をゼロから定義する創造的自由を与えられ、分野横断的な新しいデザイン要素を、紛れもないフェラーリ体験へと昇華させた。
ステアリングホイールは1950〜60年代のナルディ製を再解釈
フェラーリ・ルーチェ|Ferrari Luce
インテリアの主要コンポーネントは、革新とクラフトマンシップ、最先端デザインが融合。あらゆるソリューションが最もピュアな形となるよう完璧さを追求し、洗練させることに注力された。それは、もともと機能していたものを刷新するためではなく、慎重な熟慮のうえでフェラーリの新しい表現を生み出すためであり、交流の重要性がますます高まる世界に向けて構築するためだ。
キャビンは単一のクリーンな空間として構想。ドライビングに貢献するようフォルムのシンプル化・合理化が図られ、落ち着いた雰囲気で無駄のない広々とした環境となっている。ビナクル(メーターパネル)、コントロールパネル、センターコンソールといった重要な要素は自己完結型で、インプット(操作系)とアウトプット(ディスプレイ)に明確に整理された。
インターフェースでは、触覚、明快さ、直感的な意思疎通に、大きな重点が置かれた。デザインチームはドライバーと車両との強いつながりを作り出すため、触れて操作したくなる物理的スイッチ類を優先した。
電気自動車は大型のタッチスクリーンに埋めつくされているという常識を覆して、「ルーチェ」では多くのスイッチ類が機械式。あらゆる操作をよりシンプルかつダイレクトにして、直感的で心地のよい意思疎通となるよう緻密に開発されている。インターフェースはクラシックスポーツカーとF1マシンをインスピレーションに、わかりやすく整理され、重要な機能のみに絞り込まれている。
ステアリングホイールは、フェラーリの豊かなヘリテージにオマージュを捧げつつ、現代的な革新技術も装備している。シンプルな3本スポークスタイルは、1950〜60年代の名高いナルディのウッド製3本スポークを再解釈したもの。スポークのアルミニウム構造は意図的に露出させて強調し、素材の強度と仕上げを誇示している。
ステアリングホイール上のスイッチは、ふたつのアナログコントロールモジュールに整理され、機能性とわかりやすさを両立。この直感的な配置はF1マシンのレイアウトを踏襲したものだ。各ボタンは、機械的フィードバックと音によるフィードバックが最も調和するよう、フェラーリのテストドライバーによる評価テストを20回以上重ねて開発された。
フェラーリ・ルーチェ|Ferrari Luce
始動は、剌激的なドライビングエクスペリエンスを生み出すフェラーリの伝統を反映して、記憶に残るドラマチックなものとなるようデザイン。この儀式はユニークな手触りのキーに触れるところから始まる。
キーにはコーニング・フュージョン5ガラスが用いられた。これは、優れた耐久性と耐傷性を備え、光学性能でも卓越したものとなるよう開発された初の自動車用ガラスで、特別に開発された「Eインク」ディスプレイが備わっている。双安定性を利用して、色が変わるときだけ電力を消費する「Eインク」ディスプレイが自動車に採用されるのは初めてだ。
センターコンソールにあるドックにキーを挿入すると、緻密に連動するシークエンスが始まる。キーは黄色から黒に色を変え、センターコンソールのガラス表面と一体化。すると、コントロールパネルとビナクルが同時に点灯して、車両が“静”から“動”に切り替わったことを伝えてくる。
フェラーリ・ルーチェ|Ferrari Luce
ビナクルはステアリングホイールと連動し、ドライバーから計器類が最も見やすい状態を維持する。ステアリングコラムにインストルメントクラスターが搭載されるのはフェラーリ車では初めて。重なり合った2個の有機ELディスプレイを備え、明瞭なグラフィック、鮮明な色、無限のコントラストによって、前例のない視認性を実現している。
このデジタルとアナログの要素が調和した自己完結型のユニットはステアリングコラムに取り付けられており、ステアリングの角度に合わせて動いて、シームレスな意思疎通を可能にする。デザイナーが細部にも徹底的に拘った結果、ビナクルでは、サムソン・ディスプレイのエンジニアの協力を得る必要があった。こうして、世界で初めて3カ所に大きなカットアウトを設けた超軽量・超薄型の有機ELパネルが誕生した。そこに、上部パネル裏の第2のディスプレイの情報を戦略的に表示して、目を捕らえる興味深い視覚的奥行きを作り出している。それぞれの開口部は、透明なガラスレンズで保護されており、立体感がさらに強調された。また、開口部を取り囲むアルマイト処理されたアルミニウム製リングによって絶妙なバランスとなり、それがビナクル全体を包む構造フレームのスタイルと調和している。
ディスプレイはアナログのメーターに似たデザインで、手で触れられる慣れ親しんだ感覚を呼び起こすが、内部は完全なデジタル。その結果、コックピットはモダンでありながらクラシックな印象となった。
ビナクルのグラフィックは、明快で優美な文字盤を持つかつてのメーター、とりわけ1950〜60年代のヴェリアとイェーガーのメーターにインスピレーションを受けている。時計デザインで積み重ねられた数十年におよぶ経験をもとに、チームは腕時計のような読み取りやすさを目指して、文字盤の可読性を高めるモダンでクリーンなレイアウトを生み出した。
フェラーリ・ルーチェ|Ferrari Luce
コントロールパネルは、ボールソケット形ジョイントで取り付けられているため、画面をドライバーにもパッセンジャーにも向けられる。パネル操作のためのハンドレストが設けられ、ユーザーは目を向けなくても無理なく直感的に操作可能だ。
中央のディスプレイに組み込まれたマルチグラフは、マイクロエンジニアリングの傑作と言える。精密さと革新のシンボルであるマルチグラフは特許取得のムーブメントを備え、独立した3個のモーターが針を自律的に駆動する。3本の針は、アルマイト処理されたアルミニウム製で、コーニング・フュージョン5ガラスで保護されたミニマルな文字盤の上を動く。マルチグラフは高度な電子制御システムによって、時計、クロノグラフ、コンパス、ローンチコントロールの4種類のモードに切り替わり、移行アニメーションは最高級クロノグラフを思わせる。時計製造の芸術性とテクノロジーを融合させたマルチグラフは、フェラーリの伝統に敬意を表するとともに、乗車体験を書き換え、フェラーリブランドの情熱と卓越性を表現する装備といえる。
シフトセレクターもコーニング・フュージョン5ガラスによるもの。機能的かつ強靱でエレガントなこの装備は、これまでクルマのインテリアデザインには採用されたことのない、他に例のないガラス製造工程で作られている。フェラーリの求める精度を達成するためにレーザーが用いられ、人間の毛髪の半分の幅の微小な穴をガラスに開けて、そこにグラフィック用インクを落とすことで、完璧に均一な仕上がりを実現した。フュージョン5は、一般的なガラスに比べて表面の耐久性が高く、耐衝撃性、耐傷性にも優れており、先に触れたとおり、コントロールパネルやビナクル、センターコンソールの表面にも使われている。
4モーター総合で1000ps以上を発揮
フェラーリ・ルーチェ|Ferrari Luce
フェラーリの新型電気自動車に関する発表は今回が初めてではない。昨年10月には、車両の主要コンポーネントがすでに公表されている。
2960mmのホイールベースを持つ車体構造は短いオーバーハング、フロントアクスルに近い先進的なドライビングポジション、そしてフロア全面に統合されたバッテリー構造を特徴としている。バッテリーモジュールは前後アクスル間に配置され、その85%が車体の最も低い位置に搭載されることで、重心を大幅に低下させ、優れたドライビングダイナミクスを実現する。
前後アクスルにはそれぞれ2基のモーターを搭載。システム総合で最高出力1000ps以上を発揮し、約2300kgのボディを停止からわずか2.5秒で100km/hに到達させる。最高速は310km/hに届く。バッテリー総容量は122kWhで、一充電航続距離は530km以上と発表された。
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