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クルマ最終更新日:2018.07.06 公開日:2018.07.06

初代から4代目までトヨタ「カローラ」を紹介

1966(昭和41)年11月の発売以来52年、12代にわたって日本だけでなく世界中で多くの人々に愛用されているトヨタ「カローラ」。ここでは初代から4代目までのカローラを紹介する。

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初代「カローラ」のモノクロ画像。スタイリングは日本人デザイナーによるもの。「カローラ」というとファミリーカーのイメージが強いが、初代は高速性能をイメージさせるため、ヘッドランプ周辺のデザインを工夫し、豹の目のような精悍さを表現したそうである。

 1950年代後半から1960年代半ばにかけて、当時のトヨタが一般向けにラインナップしたのは2車種。タクシー業界からの要請などもあって、1957(昭和32)年に発売した排気量1400ccクラスの小型セダン「コロナ」と、通商産業省(現・経済産業省)の「国民車構想」に沿って開発し、1961(昭和36)年に発売した排気量700ccクラスのコンパクトカー「パブリカ」である。

 初代「カローラ」は、この2車種の間を埋めることを目的に開発され、1966(昭和41)年11月に発売された。その名は英語で「花の冠」という意味であり、「人目を引く、美しいスタイルのコンパクトカー」をイメージして命名されたそうである。

日本のモータリゼーションを加速させた初代(1966年11月~)

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初代「カローラ(KE10型)」。全長×全幅×全高:3845×1485×1380mm、ホイールベース:2285mm、トレッド:(前)1230/(後)1220mm、車重690~710kg。乗車定員5名。水冷直列4気筒OHVエンジン「K型」、排気量:1077cc、最高出力:60ps/6000rpm、最大トルク:8.5kg・m/3800rpm、トランスミッション:4速MT、最高速度:時速140km、燃費22km/L。サスペンション:(前)独立懸架型マクファーソン・ストラット式横置き2枚リーフおよびコイル・スプリング/(後)半浮動・非対称半だ円リーフ・スプリング(吸振リーフ付き)。ブレーキ:(前)ツー・リーディング式/(後)リーディング・トレーリング式。ボディー構造:ユニ・フレーム。画像は、トヨタ博物館所蔵の初代「カローラ」1966年式(2ドアセダン)。

 初代「カローラ」は、日産「ダットサン サニー1000」と共に、”日本に本格的なモータリゼーションをもたらした”といわれるほどの人気車種となる。発売から3年5か月で100万台をラインオフし、当時の国内におけるミリオンセラー最短記録を打ち立てた。さらにモデル末期の1970年3月には、輸出も含めて5万3000台という販売台数を記録している。

 それを実現するための反面教師となったのが、実は「パブリカ」だった。あまりにも質素に作りすぎてしまい、発売当初は販売台数が伸び悩んだ「パブリカ」に学び、当時の「マイカー」の購入希望者層が持つクルマに対する”憧れ”や”夢”に応えることでアピールしていったのである。より「高級なクルマを買いたい」という欲求に応えていったことが、成功の秘訣だったという。

 価格は、3種類あるグレードのうち、「デラックス(KE10-D)」が49万5000円、「スペシャル(当時は”スペシアル”と表記、KE10-B)」が47万2000円、「スタンダード(KE10)」が43万2000円(東京地区)。

 生産は現在の本社工場である挙母(ころも)工場と、1969年からは関東自動車工業(2012年トヨタ自動車東日本として、トヨタにより完全子会社化)も担当。販売は、トヨタパブリカ店(現・トヨタカローラ店)だった。

 初代「カローラ」のグレードは、まず2ドアセダンでスタート。1967(昭和42)年5月に4ドアセダンと、商用の2ドアバンが追加設定された。同時に、「トヨグライド」と呼ばれる2速AT車も追加された。1969(昭和44)年9月には、排気量1166ccにアップした「K-3型」エンジンに切り替わった。

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初代「カローラ」を後方から。初代「カローラ」はスポーティな要素が加えられていた点も特徴のひとつ。リアのセミ・ファストバックスタイル、同クラスの他車の平均よりも100ccほど多い排気量(「プラス100ccの余裕」として大きな反響を得た)、当時主流だったベンチシートと3速コラムシフトの組み合わせではなく、セパレートシートと4速フロアシフトの組み合わせを採用した点などだ。走りに関する性能は、0→400m(ゼロヨン)のタイムが19.7秒と、当時のトヨタ販売拡張部広報課発行のニュースリリースに記載されている。

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2代目はボディやエンジンのバリエーションが一気に増加!

ボディやエンジンの種類が豊富になった2代目(1970年5月~)

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2代目「カローラ(KE20型)」。全長×全幅×全高:3945×1505×1375mm、ホイールベース:2335mm、トレッド:(前)1255/(後)1245mm、車重730~785kg。乗車定員5名。水冷直列4気筒OHVエンジン「K-3型」、排気量:1166cc、最高出力:68~77ps/6000~6600rpm、最大トルク:9.5~9.6kg・m/3800~4600rpm、トランスミッション:4速MT/2速AT、最高速度:時速145~160km、燃費20~21km/L。サスペンション:(前)独立懸架型マクファーソン・ストラット式コイル・スプリング/(後)半浮動・非対称半だ円リーフ・スプリング(吸振リーフ付き)。ブレーキ:(前)シングル・シリンダーディスク式またはツー・リーディング式/(後)リーディング・トレーリング式。画像は、トヨタ博物館所蔵の2代目「カローラ」1970年式。

 1970年5月にフルモデルチェンジして2代目となった「カローラ(KE20型)」。全高は5mmほどアップしただけだが、全長が3845→3945mm、全幅は1485→1505mmと、ボディの大型化がなされた。安全性、居住性、高速連続走行性能、豪華さを追求する形で開発された結果である。

 デザイン面では、前席サイドウインドー前部の三角窓が廃止となったこと、フロントグリルとリアコンビネーションランプの周囲に樹脂を用いた意匠が採用されたことなどが初代から大きく目立った変更点。また座席に関しては、前席にヘッドレスト一体型のハイバックシートが採用された。

 エンジンに関しては、初代のモデル末期に投入された排気量1166ccの水冷直列4気筒OHVエンジン「K-3型」が引き続き採用された。後にT系と呼ばれる3種類のエンジン(OHV1407cc、OHV1588cc、DOHC1588cc)が追加設定され、最終的には1166cc、1407cc、1588ccと排気量で3種類、2種類の仕様ということで、6種類のエンジンがラインナップされた。

 ボディバリエーションはセダン(2/4ドア)、クーペ(2ドア)、バン(2/4ドア)の5種類。グレードはセダンが4種類(ノーマル、デラックス、ハイデラックス、SL)、クーペが2種類(デラックス、SL)、バンが2種類(ノーマル、デラックス)。

 初代が販売中の1968年5月に追加設定されたグレードの「カローラ スプリンター」は、この2代目へのフルモデルチェンジの際に「スプリンター」として「カローラ」から独立させる運びとなり、「カローラ クーペ」はその「スプリンター」のクーペとボディーを共有する形で新設されたのである。

 価格(東京地区)は、セダンのノーマル(2ドア)「KE20」型が43万8500円。クーペの上位グレード「SL(KE25-S型)」は59万4000円。このほか、4ドアはそれらに2万5000円プラスとなり、オートマ車「トヨグライド」搭載車は3万8000円プラスだった。販売は現在のネッツ店につながるトヨタオート店が手がけた。

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2代目「カローラ」を後方から。4ドアセダンは初代から継承する形でセミ・ファストバックスタイルだが、クーペはフル・ファストバックスタイルとなった。生産はトヨタ高岡工場となり、関東自動車工業も引き続き担当した。走行性能として0→400mが、グレード「SL」と「クーペSL」で17.7秒、「ハイデラックス」で18.5秒、「デラックス」と「スタンダード」で18.6秒となっている。

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「カローラ」人気は止まらない!

車名別生産台数世界一となった3代目(1974年4月~)

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3代目「カローラ(TE30/KE30型)」。画像のグレード「SL」。全長×全幅×全高:3995×1570×1375mm、ホイールベース:2370mm、トレッド:(前)1300/(後)1285mm、車重795~915kg。乗車定員5名。水冷直列4気筒OHVエンジン「2T-BR型」(ツインキャブレター)など6種類、排気量:1166/1407/1588cc、最高出力:71~100ps/6000rpm、最大トルク:9.7~13.9kg・m/3800~4200rpm、トランスミッション:MT(4・5速)/AT(2・3速)、最高速度:時速140~175km、燃費17.5~22km/L。サスペンション:(前)独立懸架型マクファーソン・ストラット式コイル・スプリング/(後)非対称半だ円リーフ・スプリング。ブレーキ:(前)ディスク/(後)リーディングトレーリング。画像は、トヨタ博物館所蔵の3代目「カローラ」1974年式。

 通称「30(さんまる)シリーズ」と呼ばれる3代目「カローラ(TE30/KE30型)」は1974年4月に登場した。実はこの3代目が登場して以降も、廉価モデルとして2代目(20シリーズ)がしばらく並行生産されており、区別をするため通称が用いられたのだった。ちなみに、この3代目の販売期間中に「カローラ」は車名別生産台数の世界一を達成した。

 この時期は、排出ガス規制や衝突安全規制への対応がクルマに求められた。トヨタは、2代目よりもさらに大型化が進むのを理解した上で、ホイールベースを35mm、トレッドを前後共に40mm拡大することでエンジンルームやボディに必要なスペースを確保し、そこに必要な機器を搭載したり構造を採用したりすることで対応したのである。

 排出ガス規制については、まず昭和50年排出ガス規制に適合して発売された。最終的には当時、世界で最も厳しいとされた「昭和53(1978)年規制」にも適合している。

 一方、衝突安全規制は輸出先の米国を考慮しており、衝撃吸収バンパー、ボディサイド保護モールディング、緊急時にベルトをロックして緩まないようにするELR(emergency locking retractor)付きシートベルトなどが、一部のグレードを除いて採用された。

 ボディバリエーションはセダン(2/4ドア)、ハードトップ、バン(2/4ドア)の5種類。クーペは遅れてのフルモデルチェンジとなり、1977年1月に新型が登場した。

 グレードはエンジンの排気量別に、1166ccが4種類(スタンダード、デラックス、ハイデラックス、SL)、1407ccが3種類(デラックス、ハイデラックス、SL)、1588ccが2種類(GSL、ハイデラックス)となっている。

 価格(東京地区)は、セダンの2ドア・排気量1166ccのスタンダード「KE30-KR」型が58万1000円。ハードトップの2ドア・1588cc・5速MT「SR(TE37型)」は、86万1000円。販売は3代目からはトヨタカローラ店の担当となり、現代まで続いている。

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3代目「カローラ」を後方から。基本的なセミ・ファストバックスタイルなどは引き続き踏襲された。生産はトヨタの高岡工場に加え、関東自動車工業、そして1975年12月から1978年6月まではダイハツも担当した。

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4代目ではさらなる大記録を達成!

累計生産台数1000万台を突破した4代目(1979年3月~)

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4代目「カローラ(TE70/KE70型)」。全長×全幅×全高:4050×1610×1385mm、ホイールベース:2400mm、トレッド:(前)1320/(後)1335mm、車重790~850kg。乗車定員5名。水冷直列4気筒DOHCエンジン「2T-GEU型」など3種類、排気量:1290/1452/1588cc、最高出力:72~115ps/5600~6000rpm、最大トルク:10.5~15.4kg・m/3600~4800rpm、トランスミッション:MT(4・5速)/2速AT、燃費20~24km/L。サスペンション:(前)マクファーソン・ストラット式コイル・スプリング/(後)ラテラルロッド付き4リンク式コイル・スプリング。ブレーキ:(前)(ブースター付き)ディスク/(後)リーディングトレーリングもしくは(ブースター付き)ディスク。最高速度は4代目からカタログに記載されなくなった。画像は、トヨタ博物館所蔵の4代目「カローラ」。

 1979(昭和54)年3月登場の4代目「カローラ」はさらに大型化が進み、いよいよ全長は4m台に突入。ホイールベースは30mm、トレッドもフロントが25mm、リアが50mm拡大された。

 4代目の特徴は「カローラ」史上最もボディバリエーションが多いこと。セダン(2/4ドア)、ハードトップ、クーペ、リフトバック、バン(2/4ドア)と7種類を数えた(4代目では同時にクーペもフルモデルチェンジが実施された)。

 デザイン面の特徴は、「カローラ」らしさを残しつつも、3代目よりもさらに直線基調が強くなったこと。また、高級車で一般的だった丸型4灯式ヘッドランプが、セダンおよびバンにも採用された。一方でクーペ系は、角形2灯式となっている。1981(昭和56)年8月のマイナーチェンジでは、バンを除いた車種でヘッドランプが異形角型に変更された。

 また、最上位グレードの「1600GT」と、「カローラ クーペ」の最上位グレードである「レビン」には、大型の衝撃吸収ウレタンバンパーが装着され、フロント部分に迫力を持たせることで下位グレードとの差別化が図られた。

 エンジンは、1290ccの「4k-U」、1452ccの「3A-U」、そして1588ccのDOHC「2T-GEU」の3種類をラインナップ。1979(昭和54)年8月には1770ccの「13-TU」、1982(昭和57)年2月には1839ccのディーゼルエンジン「1C」も追加されている。

 また1983(昭和58)年3月には、累計生産台数が1000万台突破という、大記録を達成した。

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4代目「カローラ」を後方から。3代目と比較したときの機構的な面における違いは、リアサスペンションを初代から踏襲されてきた非対称半だ円リーフ・スプリングをやめ、ラテラルロッド付き4リンク式コイル・スプリングに変更したことが大きい。これにより操縦性が増した。

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