2022年07月22日 20:00 掲載

交通安全・防災 深夜の首都高トンネル、年に一度の点検作業を密着取材!


タグ:

文・写真=会田 肇

極めて重要なトンネル入口の警報版と信号機の存在

避難通路へ続くスライド式ドアの非常口

避難通路へ続く非常口はスライド式ドアで、地上出口がどこか分かるよう住所も表記されていた

 設備の見学を一通り終えた後は、非常時の避難通路の体験へと移った。首都高速によれば、非常時には地上へ出られるよう、非常口が350m以内ごとに設置されているそうだ。トンネル内には、最寄りの避難通路までの距離が表示されているので、それに従って移動すれば、最寄りの通路から避難することができる。ただし、地上出口までの距離は場所によってさまざまだという。新都心トンネルは、地上までの距離が比較的短い方だというが、それでも階段を出口付近まで上った時には息切れしそうになった。

 そうして、地上出口までたどり着いたわけだが、そこは鉄製の扉で塞がれていた。扉は壁面に設置されているレバーを押し下げると、およそ20秒ほどで完全に開くという仕組みだった。扉を抜ければ、外はもう地上だ。地上出口について首都高速に話を聞いたところ、新都心トンネルでは階段で上がる仕組みだが、横浜北西線トンネルのようにすべり台で降りる方法を採用しているトンネルもあるそうだ。

電源を必要としない重り式で開く地上出口扉

電源を必要としない重り式で開く地上出口扉。アナウンスと共に20秒ほどで開いた

 最後は、トンネル入口側の警報版と信号機を見学した。この二つの設備は、トンネル内の状況をドライバーに知らせる重要な役割を持っている。例えば、トンネル内で事故や火災が発生した場合には、警報版を用いて直ちに非常事態の告知がされる。そして、赤信号を表示することで、危険な現場に利用者が進入することを防ぐのだ。ところが、高速道路には信号がないと信じ込んでいる人が結構多いようで、非常時に赤信号を表示してもなかなか停止してくれないのが現実なのだそうだ。実際、過去にはこの表示があったにもかかわらず、車両がトンネル内に進入してしまい、痛ましい事故につながった例もあるそうだ。自分の身を守るためにも、今一度、これらの表示への意識を改め、重要性を認識しておきたい。

トンネル内の信号。赤になっているときはトンネル内には入らないよう、周囲を確認しつつ停止することが求められる

トンネル手前に設置されている信号機。赤になっている時は、トンネル内には入らないよう、周囲を確認しつつ停止することが求められる

 非常時の警報については、拡声スピーカーでの告知も体験できた。拡声スピーカーは、非常時に音声を使ってトンネル内の異常を知らせるもので、スピーカーは約200m間隔で設置されているという。かなりの音圧レベルで流されるため、見学の際には、トンネルから出た位置からの体験となった。トンネルの外からでもスピーカーから発生される音はかなり明瞭で、しっかりと聞き取れたので車内にいても十分に内容を把握することができそうだ。

 一方で、このスピーカー音は、周囲の住宅にとっては "迷惑" になる側面をはらんでもいる。個人的には、非常時であれば仕方がないのではないことだとも思えるが、首都高速では今後、非常時以外の運用も考えているのだとか。そのため、スピーカー音がトンネル内では確実に伝わりながら、外へは漏れない方法を試行錯誤して探している最中なのだという。この日も、そのための実験が行われていたが、思うような結果は得られていない様子だった。

 とはいえ、こうした点検作業や改善へのトライアルなどの積み上げが、より安心安全な首都高速の提供につながっているのは間違いない。今回はそのスケールの大きさを改めて実感する取材となった。

ライターお勧めの関連記事はこちら