2023年04月23日 18:00 掲載
交通安全・防災 青信号に従っていても起きる交差点事故|長山先生の「危険予知」よもやま話 第17回
ドライバーのミスを補う"防衛歩行"も重要?
長山先生:そうですね。特に免許を持っていない人の場合、そのような死角があることを知っている人はほとんどいないでしょう。でも、それを知っておき、自分が見落とされている可能性があることを考えておくことが重要です。
編集部:たしかに「ドライバーも見てくれているだろう」と、まったく注意せずに渡るのと、「もしかして見落とされているかも?」と注意しながら渡るのでは、だいぶ違いますね。
長山先生:そうです。今回の問題を見た人の中には「ドライバー側が注意すべきことで、歩行者が注意することではないし、注意しようもない」と思う人もいるかもしれませんが、ドライバーも人間で、ミスを犯すこともあります。また、歩行者や自転車が横断歩道に急に走り込んでくるような場合、ドライバーが注意していても発見や対応が遅れるケースもあるでしょう。ドライバーが交通弱者である歩行者に注意すべき点は間違いありませんが、防衛運転と同じで、状況によっては歩行者側がちょっと注意するだけで相手のミスを補い、結果として事故を減らすことも可能になるので、歩行者の人もその点を意識してほしいものです。
編集部:ドライバー側に"防衛運転"が必要なように、歩行者側にも"防衛歩行"が重要になるのですね。本誌の「危険予知」では何度もピラーの死角を取り上げていますが、日頃あまり運転していない人の中には、ピラーの死角をあまり意識していない人が多いのではないでしょうか?
長山先生:昔、左折する車の内輪差による巻き込み事故が問題になり、車社会全体が左折時の危険を重要視して教習所などで教えることで左折事故が大幅に減少しましたが、ピラーの死角については具体的に教わる機会は少ないでしょう。どのような場面で危険が生じるのか、いつも注意していて、具体的な事例を数多く知ることが大切です。私は右折時の右側はもちろん、左折するときの左側のAピラーの死角、右カーブが長く続くとき、右側のAピラーの死角で対向車が隠れてしまうことが気になります。
編集部:ピラーの死角もそうですが、先ほど先生が例に挙げた「交差点に走り込む危険な行動」は、その危険性を知る機会がない、運転免許を持っていない人に多いのでしょうか?
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交通安全・防災