2023年03月05日 17:20 掲載
交通安全・防災 追突事故が起きやすい、施設への左折!|長山先生の「危険予知」よもやま話 第15回
「思い違い」「判断の誤り」が事故要因に!
編集部:具体的にはどんな事例ですか?
長山先生:たとえば深夜や早朝は交通量が減りますよね? 特に住宅街などは滅多に車は通りません。そんなとき、一時停止をしないで出会い頭事故を起こすケースが少なくありません。ドライバーは「この時間帯は車も人も来ない」と思い込んでしまうことから、私はこれを【時間帯の錯誤】と名付けています。
編集部:なるほど。【時間帯】以外にも錯誤を引き起こすものはありそうですね。
長山先生:【過去経験の錯誤】や【空間の錯誤】などがあります。たとえば、「この路地からは車も人も一度も出て来たことはなかった」という過去の経験から、「今回も出てこない」と思い込んだり、狭い路地の存在や渋滞車列の間の隙間など、車が出てくる空間そのものがない、と思い違いをするケースです。他にも滅多に対向車が来ない山道で、続けて対向車が来たような場合、「まさか、2台続けて来るとは」という【確率の錯誤】などがあります。
編集部:いろいろな錯誤があるのですね。判断の誤りについては、どんなケースがあるのでしょうか?
長山先生:分かりやすいものとして、対向車の速度を遅いと判断してしまい、先に右折して事故を起こすケースがあります。
編集部:対向車がバイクの場合によくあるケースですね。
長山先生:そうです。速度以外に車間距離に対する判断の誤りもあります。いつもと同じように減速できると思ったら、雨が降っていたり、荷物をたくさん載せていたために「停止距離が延びて、追突しそうになった」というケースです。また、相手のパッシングなども判断を誤る原因になることがあります。
編集部:パッシングですか? よく道を譲るような場合に使う合図ですよね。
長山先生:おっしゃるとおり、譲るときに使うことが少なくありませんが、「止まれ」とか「出てくるな」という警告の意味で使うケースもあるので注意が必要です。
編集部:たしかにビカビカーッと、相手をハイビームで威嚇するような使い方もありますね。
長山先生:クラクションもそうですが、譲る場合は「ピッ」と軽く短い音で鳴らしますが、警告する場合は「ビーッ!」と強く長い音で鳴らすように、同じものでも使い方によってまったく意味が違うことがあるので注意しないといけません。
編集部:「思い違い」や「判断の誤り」が事故につながることは分かりましたけど、今回のように「前車が交差点で曲がるもの」と思い込まないようにするには、どうしたらいいのでしょう?
長山先生:前に話したように、交差点手前に駐車場や路地があった場合にそういった危険があることを覚えておくのに加えて、相手の動静をゆっくり間違いなく確認することもポイントになります。
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交通安全・防災