2023年01月18日 06:00 掲載

交通安全・防災 バイクに乗ると、視線は路面中心になる?|長山先生の「危険予知」よもやま話 第13回


話・長山泰久(大阪大学名誉教授)

右折矢印信号には"落とし穴"がいっぱい

編集部:本誌で説明していた「直進車線からの進路変更」や「歩行者の横断」ですね? でも、右折矢印信号が出た際、交差側の歩行者が信号が変わったと勘違いして渡るようなケースは、本当にあるのですか?

長山先生:実際に自転車に乗った高校生が渡り始めて右折車にはねられた事例(下図)などがあります。1人でなく友人と話ながら渡って事故に遭うケースが多いようです。

長山先生の「危険予知」よもやま話 第13回|事故事例|くるくら

編集部:なるほど。1人だと信号や右折車を自分で確認して渡りますが、友人といっしょだと話に夢中になって安全確認がおろそかになりそうですね。

長山先生:このケースで問題なのは、自転車だけでなく、右折するドライバーの安全確認もおろそかになる点です。先ほど話したように、右折矢印信号が出ている間は対向直進車や歩行者など他の交通は規制されているので、右折するドライバーは横断歩道を渡る自転車や歩行者があるとは思いもしません。予想していないので確認もせず、注意は信号だけに向いて、自転車の発見はぶつかる直前だったようです。

編集部:どちらかでも安全確認をしていれば、事故は回避できた可能性がありますが、両者の安全確認がまったく機能しなかったのですね。

長山先生:そうです。自転車などへの注意をまったくしていないうえに、右折矢印信号が出ているときに曲がろうとすると、「矢印信号が変わらないうちに」と考えるので信号ばかりに注意が向いて、速度も上げてしまいがちです。事故事例を数多く分析した結果、前方に同じ右折車がいる場合は比較的問題がありませんが、前の車と離れていたり、単独で右折車線を進む場合は、前車に遅れないように急いだり、信号ばかり気にしてしまうので、より注意が必要です。また、前方に同じ右折車がいる場合、途中で信号が赤に変わって前車が停止した際、止まりきれずに追突する危険性もあるので注意しましょう。

『JAFMate』誌 2015年12月号掲載の「危険予知」を元にした
「よもやま話」です


【長山泰久(大阪大学名誉教授)】
1960年大阪大学大学院文学研究科博士課程修了後、旧西ドイツ・ハイデルブルグ大学に留学。追手門学院大学、大阪大学人間科学部教授を歴任。専門は交通心理学。1991年4月から2022年7月まで、『JAF Mate』誌およびJAFメイトオンラインの危険予知コーナーの監修を務める。2022年8月逝去(享年90歳)。

もっと【長山先生の「危険予知」よもやま話】を読む