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道路・交通最終更新日:2020.06.25 公開日:2020.06.25

雨天の交通事故は約4倍。施設接触事故や夜間の事故が増加。

首都高速道路株式会社の統計から、雨天時の交通事故件数は晴天時に比べると約4倍も多いことが分かった。雨天時には、スリップによる施設接触事故や、視界不良による夜間の事故が増加する傾向があるという。雨天時に事故を起こさないために必要な運転のポイントについて紹介しよう。

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雨天|交通事故|首都高速|施設接触|高速道路|スリップ|雨天の高速道路のイメージ

©naka – stock.adobe.com

雨天時の事故は約4倍

雨天|交通事故|首都高速|施設接触|高速道路|スリップ|首都高速における交通事故の発生件数

※1mm以上の降雨の場合を雨天。1mm以下の降雨を晴天とする。 出典:首都高速道路株式会社 ドライバーズサイト「雨の日に事故が多発しています」

 首都高速道路株式会社によると、首都高速道路における2019年度の雨天時の交通事故は1,769件で前年より230件増加。晴天時の交通事故は7,818件で前年より583件減少した。全体の事故件数は年々減少傾向にあるが、雨天時の事故が占める割合はほぼ横ばいであることがわかる。

 また、一見すると晴天時の事故のほうが多く発生しているように感じるが、晴天と雨天の時間を考慮すると、その実態が見えてくる。

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1時間あたりの事故件数で比較すると雨天時は約4倍事故が発生しやすい。 出典:首都高速の資料をもとに編集部で作成

 東京管区気象台の発表によると、2019年度の晴天の時間は全体の約94%(8230時間)。雨天の時間は全体の約6%(530時間)と1年間のほとんどが晴天であったという。そこで、晴天、雨天別に1時間あたりの事故件数を調べてみると、晴天時は0.95件、雨天時は3.34件となり、雨天時は晴天時の約4倍も交通事故が起こりやすくなっていることがわかる。

雨天時は施設接触事故が増加!

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雨天時は接触事故の割合が大幅に増加する。 出典:首都高速の資料をもとに編集部で作成

 雨天時には一体どんな事故が多くなっているのだろうか。

 首都高によると、雨天時の事故で最も多いのは側壁や中央分離帯などに衝突する自損事故「施設接触事故」で41.5%だという。一方、晴天時の施設接触事故は14.1%であり、雨天時の方が圧倒的に割合が高くなっていることがわかる。先ほどのように雨天・晴天の時間を考慮すると、1時間あたりの施設接触事故件数は晴天時で0.13件。雨天時では1.38件。なんと晴天時の約10倍も施設接触事故が起こりやすいのだ。
 
 首都高によると、雨天時の施設接触事故の約6割が時速60km以上の走行中に発生。カーブ区間での速度超過が原因の場合が多いという。雨天時は路面が滑りやすいので、速度を出したままカーブに進入するしたことが施設接触事故の一因であるといえそうだ。

雨天時は夜間の死亡事故が増加

 雨天時にはもう一つ注意すべき事故の傾向がある。それは、夕方~深夜にかけての死亡事故件数の多さだ。先ほどは首都高に限ったデータであるが、今度は交通事故総合分析センター(ITARDA)の統計データを紹介しよう。

雨天|交通事故|ITARDA|雨天時の夜間の事故

時間帯別該当時間あたりの死亡事故件数。 出典:交通事故総合分析センター「イタルダインフォメーションNo.34」

 ITARDAの統計によると、雨天時の死亡事故が最も多い時間帯は深夜1~2時の間であること。また、17時以降の時間帯も雨天時の方が死亡事故が多いことがわかる。つまり雨天の暗い時間帯は死亡事故が起こりやすいのだ。

 ITARDAの分析によると、雨の夜間に発生した事故では、右折時に横断歩道の暗がりにいた歩行者の存在に気づくのが遅れて事故となるケースが多いという。これは、雨天時に使用するワイパーが左から右に水をかくことが一因となっている。右側Aピラー周辺に水がたまり、その水膜によって普段よりも死角が増えるのだ。また、路面が濡れることによって反射が増え、明暗差で暗がりが見づらくなることもある。

雨天時の安全運転のポイント

雨天|交通事故|首都高速|施設接触|高速道路|スリップ|スリップサインのチェック

赤枠で示した小さな三角形のマークのマーク延長線上にはスリップサインがある。

 このように、雨天時には大きく分けて「スリップによる事故」と「視界不良による事故」の2パターンの事故が多く発生していることがわかった。そこで雨の日に特に注意したい運転のポイントを紹介しよう。

【スリップによる事故】

・事前の点検ポイント「スリップサインのチェック」
 タイヤの溝は、1.6mm以下になると滑りやすくなるだけでなく道路交通法違反となる。また、タイヤの溝の深さが半分以下になるとウェット性能が格段に低下すると言われている。残溝の深さが半分以下(通常のタイヤでは約4mm)になったら早めに交換する。

・走行中のポイント「速度をいつもより抑える」
 「急ブレーキ」「急ハンドル」「急発進」など「急」のつく運転は避ける。雨天時は制動距離が長くなるので、普段より車間距離を長めにとり、早めのブレーキを心がける。

【視界不良による事故】

・事前の点検ポイント「ワイパーゴムの劣化をチェックする」
 ワイパーゴムが劣化していると、水滴をしっかりと除去できず視界が悪くなる。走行前にワイパーゴムがひび割れたり、切れたりしていないかなど、状態をチェックする。一般的にワイパーゴムの交換の目安は約1年といわれている。梅雨時期など、雨が多くなる前に毎年チェックをする習慣をつける。

・事前の点検ポイント「フロントガラスの曇りに注意」
 フロントガラスの内側が汚れていると曇りが生じやすくなるため、綺麗にしておく。フロントガラスが曇ってきたときは、エアコンのデフロスタースイッチ(※)を作動させて曇りを消す。

※デフロスタースイッチとは、エアコンの風をフロントウィンドウに送り、ウィンドウの曇りを取り除く機能。

・走行中のポイント「ライトの活用で見落としを防ぐ」
 雨天時は薄暗く、フロントガラスについた水滴や濡れた路面からの反射により視界が悪くなるため、歩行者や自転車などを発見しにくくなる。夜間以外でもヘッドライトを積極的に点灯する。ハイビームを活用するなど、歩行者や自転車の見落としを防止する。

 雨で路面が濡れていると、反射によって道路標示が見えにくくなったり、水滴でフロントガラスの視界が悪くなったりするので注意深く周囲の確認をすることが必要だ。また、スリップを防ぐためカーブにはしっかりと減速してから進入したい。雨天時には、これらのことに注意して普段より一層慎重な運転を心がけたい。

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