2019年12月03日 14:40 掲載

交通安全・防災 クルマは水に弱い! 冠水路の水面の高さ別に発生するクルマのトラブルと危険性をまとめてみた


神林 良輔

水面の高さがドア下端を超えた場合はドアを開けるのが困難に

画像6。点線が水面の高さを表し、ドア下端を超えた場合。

画像6。水面の高さがドアの下端を超えた場合。

 水深がドアの下端を超えた場合(画像6)は、切迫した状況となっていることを理解する必要がある。さらに水かさが増すようであれば、クルマを脱出しないと命に関わる危険性も出てくる。

【ドア】
車外の水面の高さがドアの下端を超えてきて、車内がそれよりも低いときは、ドアを内側から開けるのが徐々に困難となっていく。水圧が外からかかるためで、車内外の水面の高さの差が大きいほど、かかる水圧も強くなる。スライドドアも最初に外側へ若干ながら開くため、開けるのが困難になるのは同じだ。

 このような事態になったときは、車内外の水面の高さが同じになるまで待つ必要がある。同じになると水圧がかからなくなるので、ドアを開けられるようになるからだ。

 ただし「クルマが流されている」、「冬期のために長時間水に浸かっていると低体温症の危険性がある」など、車内外の水面の高さが同じになるまで待てないほど切迫した状態のときもあることだろう。そのときは、ドアガラスやリアウインドーを割って脱出する必要がある。その詳細については、のちほど説明する。

水面の高さがタイヤ上端を超えた場合はクルマが浮き出す可能性も

画像7。点線が水面を表し、タイヤの上端を超えたところ。

画像7。水面がタイヤの上端を超えたところ。

 水面の高さがタイヤの上端を超えると(画像7)、クルマが浮き出す可能性が出てくる。タイヤにはいうまでもなく空気や窒素などの気体が詰められており、いわば浮き袋のようなもの。そのため、水中では浮力が発生する。また、キャビンやトランクなどへの浸水量が少ないとボディ自体にも浮力が働く。こうなるとタイヤがきちんと接地しなくなるため、移動が困難になってしまう。どこへ流されるかわからないため、いち早くクルマから脱出することが必要だ。

水面の高さがドアの半分ほどに達した場合は非常に危険!

画像8。点線が水面の高さを表す。ドアの半分ほどの高さに達した場合。

画像8。水面の高さがドアの半分ほどに達した場合。

 車外の水面の高さがドアの半分ほどになってしまうと(画像8)、ドアの開閉がほぼ不可能となるため、もはや脱出方法はドアガラスなどを割るしか残されていない。脱出の仕方は以下の通りだ。

【ドアガラスやリアウインドーを割っての脱出の仕方】
多くのクルマがフロントエンジンのため、リアが軽くて浮くことが多い。そのため、割るべきは水面より上にあるドアガラスもしくはリアウインドーだ。

 ただし、注意したいのはエンジンをミッドシップもしくはリアに搭載しているクルマ、そしてエンジンのないEVの場合。もしフロント側が浮いてしまった場合、フロントウインドーを割りたいところだが、クルマは合わせガラスのため、脱出用ハンマーなどを使っても、脱出できるような穴をあけるのは難しい。もしフロントが浮いた場合は、運転席のドアガラスを割って脱出しよう。

 さらに注意すべきは、近年の一部のクルマは、フロントウインドーだけでなくドアガラスにも合わせガラスを使っている車種があるということ。あらかじめディーラーに確認しておくことが無難だ。

【シートベルトカッター兼脱出用ハンマーを車載しておくこと】
 ドアガラスやリアウインドーを素手で割るのは困難だ。そんなときのため、脱出用ハンマー兼シートベルトカッター(画像9)を運転席の手の届く範囲に備え付けておこう。最近はコンパクトな作りで、用意されている両面テープで場所を選ばず容易に設置できる製品も多い。

画像9。シートベルトカッター兼脱出用ハンマーは手の届くところに。

画像9。シートベルトカッター兼脱出ハンマーは手の届くところに設置しよう(ナビモニターの下の黄色のもの)。

水の流れがある場合はさらに注意が必要

 冠水路については水深とは別に、もうひとつ注意すべき点がある。水の流れがある場合だ。その場合、クルマが低所へと流される危険性があり、最悪、高所からの転落や河川へ流れ出てしまうことなども考えられ、クルマは諦めていち早く脱出する必要がある。

 水深が深くなればなるほど同じ速度の流れでも流れやすくなる。特に水面の高さがフロアを超えてくると、ボディの広い面積で水圧を受けるようになるため注意が必要だ。

水が引いた後は、外見だけで判断してエンジンをかけないこと

 水が引いてクルマが無事だったとしても、いきなりエンジンをかけてはならない。一度電装系が冠水していると、どのような故障が発生しているかわからないからだ。さらに、そのままにしておくと発火する危険性もある。バッテリーのマイナス端子を外しておこう。ただし同じバッテリーでも、EVやPHEV、HVの高電圧バッテリーには絶対に触れないこと。感電すると非常に危険だ。

 また、もし冠水後に知らずにエンジンをかけてしまい、問題なくかかったとしても、油断は禁物。たまたま症状が目立たないだけで、電装系が損傷している可能性があるからだ。

 こうした点から、愛車が冠水した場合はディーラーや自動車整備工場できちんと点検整備を受けるようにしよう。


画像10。冠水したアンダーパス(荒川河川敷のサイクリングロード)。

画像10。冠水路の一例(一般道ではなく、荒川河川敷のサイクリングロード)。冠水路は濁り水で深度や路面の様子を見通せないことも多く、無理な侵入は危険だ。

 無理な冠水路の通行はクルマの故障を招き、さらには命に関わるような事態に至ることもある。迂回路が遠くても、冠水路を無理に通行するのは避けるよう肝に銘じたい。

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