2020年06月03日 17:00 掲載

旧車 吉田 匠の
『スポーツ&クラシックカー研究所』
Vol.03
ヨーロッパを魅了した最初の
日本製スポーツカー「ホンダSシリーズ」。


文・吉田 匠

国内販売仕様の最終モデルとなったS800M。前輪ディスクブレーキとラジアルタイヤが標準装備されるなど近代化され、価格は75万円。

国内販売仕様の最終モデルとなったS800M。前輪ディスクブレーキとラジアルタイヤが標準装備されるなど近代化され、価格は75万円だった。

スポーツカーの本場ヨーロッパでも人気に

 ホンダSが600から800へと発展していく時期は、ホンダがF1に初挑戦して、ヨーロッパやアメリカで極東の日本から来た初の強力なチャレンジャーとして名声を獲得していく時期と重なっている。持ち前の魅力的なルックスと高度なスペックに象徴される高性能に、そういうバックグラウンドが加わって、S600やS800はスポーツカーの本場ヨーロッパで著名なカーマニアやセレブにその魅力が認められた初の日本車になった。

 例えばモナコ公国レーニエ大公の御妃、グレース王妃がモナコのディーラーで数か月待ちの末にS800を購入、自らステアリングを握ってコートダジュールを走る姿が見られたという逸話からも、その人気ぶりが理解できるのではないだろうか!

S800Mはフェンンダー前後に輸出仕様と同様のリフレクターが備えられた。ソフトトップは脱着が用意で対候性も良好、オプションでハードトップも用意された。

S800Mはフェンンダー前後に輸出仕様と同様のリフレクターが備えられた。ソフトトップは脱着が用意で耐候性も良好、オプションでハードトップも用意された。

S800Mのエンジン。基本構成は360やS500から変わらず、オールアルミ製DOHC4気筒で、4基のCVキャブレターを備える。791cc、70ps/8000rpm。

S800Mのエンジン。基本構成は360S500から変わらず、オールアルミ製DOHC4気筒で、4基のCVキャブレターを備える。791cc70ps/8000rpm

S800Mのメーターパネル。タコメーターは8500rpmからレッドゾーンだが、筆者が乗っていたS800エンジンはサーキットでは10000rpm+まで問題なく回った!

S800Mのメーターパネル。タコメーターは8500rpmからレッドゾーンだが、筆者が乗っていたS800エンジンはサーキットでは10000rpm超まで問題なく回った!

 輸出用S800の後期型には前輪ディスクブレーキが標準装備されていたが、国内でも1968年に登場したS800Mになって、初めて前輪ディスクブレーキとラジアルタイヤが装着された。やがて1970年、埼玉県狭山工場における生産を終了する。しかしその後もSは世界中のエンスージアスト=熱狂的なクルマ好きに愛され続け、今も日本のみならずヨーロッパやアメリカでも、多くのSマニアを魅了し続けている。

 実をいうと筆者もそんなSマニアだったひとりで、15歳だった1962年の東京ショーで360と500のプロトタイプを目にしてひとめでファンになり、1970年代から80年代に掛けて、2台のS800Mと1台のレース用クーペを所有していたのだった。

かつて筆者が乗っていた1969年S800M。ホイールは他社製品だが、FRPハードトップは純正品。現在は他のオーナーの下にある。

かつて筆者が乗っていた1969S800M。ホイールは他社製品だが、FRPハードトップは純正品。現在は他の愛好家の下にある。

1980年前半に筑波サーキットのヒストリックカーレースを筆者のドライビングで走る、レース仕様に仕立てた1967年S800クーペ。総合優勝経験もあり。

1980年前半に筑波サーキットのヒストリックカーレースを筆者のドライビングで走る、レース仕様に仕立てた1967S800クーペ。総合優勝経験もあり。

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