2023年01月23日 19:30 掲載

次世代技術 ソニーとホンダの新EVブランド「AFEELA」を徹底解説。2025年の先行受注に向けた試作車がついに登場!


文と写真=会田 肇

ドアオープナーを装備せず、
ドアは顔認証システムで自動的に開く

ダッシュボードの左右いっぱいにインストールされたディスプレイ。左右端には電子ミラー用モニターが備わる

ダッシュボードの左右いっぱいにインストールされたディスプレイ。左右端には電子ミラー用モニターが備わる

 そして、この試作車を見て気付くのがドアを開くオープナーがまったくないことだ。これはBピラーにあるカメラがその役割を果たす。つまり、カメラがドライバーなど乗員を顔認証し、ドアロックを解錠してドアを開く機能が備わっているのだ。「現時点では認証されない人が乗車する時にどう対応するかなど、使い勝手の詰めはこれから」(説明員)ということだが、車両に45個のセンサーを搭載した試作車ならではの一つの活用方法がここに具体化したと言える。

 車内に入り込むと、VISION-Sと同様のディスプレイがダッシュボードにビルトインされている。左右には電子ミラー用モニターも配置され、高い視認性はそのまま引き継がれていた。ただ、よく見ると運転席側と助手席側とでディスプレイを明確に分離させ、助手席側は一枚の大型パネルとした点にVISION-Sとの大きな違いがある。これにより、左右にいっぱいに広げた臨場感あふれる映像として映し出すことも可能となったほか、VISION-Sのように機能別の分割表示はもちろん、その表示を左右で入れ替えにも対応する。

超ワイドディスプレイを助手席側に採用することで、分割表示や左右入れ替えなど多彩な映像表現を可能にした

超ワイドディスプレイを助手席側に採用することで、分割表示や左右入れ替えなど多彩な映像表現を可能にした超ワイドディスプレイを助手席側に採用することで、分割表示や左右入れ替えなど多彩な映像表現を可能にした

超ワイドディスプレイを助手席側に採用することで、分割表示や左右入れ替えなど多彩な映像表現を可能にした

車内ではPlayStationのゲームが楽しめるだけでなく、サーバーとつながることでその続きを自宅などで楽しむことができる

車内ではPlayStationのゲームが楽しめるだけでなく、サーバーとつながることでその続きを自宅などで楽しむことができる

 また、前席には左右とも「360 Reality Audio」が組み込まれた。これはVISION-Sからの継承されたものだが、音の広がりを左右だけでなく上下にまで拡大しているのが特徴で、より立体感のあるサウンドが楽しめる。自動運転下でコントロールされる時、その車内でエンタテイメントを存分に楽しむための機能が隅々まで行き届いているのだ。

 さらに運転席のステアリングは、自動運転を想定した車両によく見られる「ヨーク型」とした。これにより、運転席前のディスプレイもステアリングで邪魔されることなく視認することが可能となった。これを採用するのであれば、ステアリングはシャフトを介さず、電気信号でタイヤ角を変えるステア・バイ・ワイヤとなる可能性は高い。車内のエンタテイメントを存分に楽しむために、ソニーが考える形を徹底して具現化されたのがこの試作車とみていいだろう。

自動運転での利用も想定し、ステアリングは上半分がなくディスプレイ視認を邪魔しない

自動運転での利用も想定し、ステアリングは上半分がなくディスプレイ視認を邪魔しない"ヨーク型"とした

45個のセンサーからの信号を高速処理する
クアルコム製EV向けチップセット搭載

 こうしたスペックを常に最新のものにする技術も盛り込まれた。5Gをも想定したOTA(Over the Air)により、外部との接続でリアルタイム性を持たせ、スマートフォンのように継続的にソフトウェアをアップデートさせていくのだ。これは前出のMedia Barにも当然活かされる。ただ、一部に自動運転にまでこの機能が活かされるとも伝えられるが、これは安全面にも関わる重要な項目であり、安易にアップデートで対応するのは難しいとみられる。当面はインフォテイメント系やエンタテイメント系のアップデートに留まるだろう。

 そして、試作車には安心安全の実現に向けて計45個のセンサーが車内外に搭載されたが、そのうち23個はソニーがもっとも得意とするイメージセンサーを使うカメラとなっている。カメラはコストの割に多くの情報を得られる特徴を持つが、その一方でそれを処理する高い能力が必要となる。この処理に大きな役割を果たすのが米クアルコムの存在だ。試作車には800TOPSという圧倒的な演算能力を持つ、クアルコムのEV向けチップセットプラットフォーム「Snapdragon Digital Chassis」が採用されている。

プレスカンファレンスにはクアルコムのCEOであるクリスティアーノ・アモン氏が登壇した。左はソニーグループCEOの吉田憲一郎氏

プレスカンファレンスにはクアルコムのCEOであるクリスティアーノ・アモン氏が登壇した。左はソニーグループCEOの吉田憲一郎氏

 このことがいかに重大なことだったのかは、このソニーグループが実施したプレスカンファレンスにクアルコムのCEOであるクリスティアーノ・アモン氏が登壇したことからも推察できる。実は例年ならクアルコム自身もプレスカンファレンスを開催してきたが、今年はそれを取りやめた。それにも関わらずソニーグループのプレスカンファレンスに出席したのだ。両社はすでにロボットやドローンといった幅広い分野で協力関係にあり、この新たなチップセットの搭載により、両社はEVの分野でも関係性をさらに深めようとしている表れとも言えるだろう。

スマホからモビリティへの転換。
ホンダとの協業は自動運転下での"安全"

 3年前のCES2020でソニーグループの吉田憲一郎社長は「モバイル端末の次に来るメガトレンドはモビリティだ」と発言したが、コモデティ化が進み、今後の収益性に限界が見えるスマートフォンからの転換は多くのIT家電メーカーが目指すところでもある。ソニーがあえてEVへ進出する背景にはこうした時代の変遷があったのは間違いない。

 とはいえ、自動車という人の命が関わる分野への進出は、ソニー自身も未知の領域でもある。この領域で経験値が高いホンダとの協業は、ソニーにとっても大きなプラスとなるはずだ。安心安全の走行を実現する中で、多彩なコンテンツを楽しめるEVとしてSHMがどんな姿を我々の前に見せてくれるのか、2025年の登場を今から楽しみに待ちたいと思う。

CES2023会期中は、AFEELA目当てに会場を訪れる人が後を絶たなかった

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