2022年01月12日 20:10 掲載

次世代技術 ソニーは本気でEVメーカーを目指すのか? 試作車第2弾「VISION-S 02」に込められた真の目的とは


文・会田 肇 写真=SONY

グローバルで大きく変化する自動車市場がソニーを動かした

ソニーとしてEVの販売を検討する新会社「ソニーモビリティ」(ソニーが100%出資)を2022年春に設立する(写真提供=SONY)ソニーとしてEVの販売を検討する新会社「ソニーモビリティ」(ソニーが100%出資)を2022年春に設立する(写真提供=SONY)

 本来なら、この後でぶら下がり取材をするところなのだが、残念ながらオンライン取材ではそれが叶わない。ここからはこれまで取材した内容を踏まえ、新会社『ソニーモビリティ』での今後の展開と可能性について解説していきたい。

 カンファレンスでは公道走行試験や遠隔操作による自動運転走行などが映像を通して披露され、ソニーがモビリティ事業に対して着々と準備を進めている様子が伝えられた。これらを紹介した上で、プロトタイプの第2弾を発表し、その上で新会社設立の話まで出てくれば誰もがEVの量産化を狙っていると思うに違いない。ただ、見逃していけないのは、ソニーがEVを販売する具体的な話は何ひとつ出ていないことだ。

 話が盛り上がっているところに水を差すようで恐縮だが、私はソニーが自らEVの販売を行うことは当面ないと思っている。吉田社長がカンファレンスで強調したのは「ソニーモビリティはAI・ロボティックス技術を最大限に活用し、モビリティの可能性をさらに追求する。我々の知見を活かし、多用かつ革新的なソリューションを世界に提供していく」ということ。この"ソリューションを世界提供"することが今後の重要なキーワードではないかと思うのだ。
 ソニーは既にこれらの分野で多くの技術を開発済みで、実際に車両への採用実績も着実に高まりつつある。

ソニーがCES 2022で発表した「VISION-S 02」(左)とセダンタイプの「VISION-S 01 」(写真提供=SONY)ソニーがCES 2022で発表した「VISION-S 02」(左)とセダンタイプの「VISION-S 01 」(写真提供=SONY)

 ただ、自動車のサプライヤーとして入り込むにはソニーにとって今もなおハードルは高い。ソニーはイメージセンサー全体では60%近いシェアを持つが、車載用だけに絞ると数%にまで落ちてしまう。ソニーとしては車載用としての信頼性を高めるため、自ら車両を開発して試験走行を繰り返すことで高い信頼性を訴えていくことが必須だった。また、ソニーが得意とするエンターテイメントについても具体的なものがあって初めて注目される。そうした認知を高めることがそもそもVISION-Sの役割だった。

 ところが公開してみると、VISION-Sがあまりに具体的で仕上がりが良く「ソニー製EV」への関心がにわかに高まってしまった。さらに自動車に対するトレンドがグローバルで大きく変化していることも大きい。欧州委員会が進める脱炭素社会への行動は、世界中を環境対策車の強化へと突き動かしており、これまで対応が遅いとやり玉に挙がってきたトヨタに「2030年までにEVの年間350万台体制」を発表させるに至らせたほど。つまり、こうした市場の変化がソニーとして、EVの事業化を考えさせるきっかけとなったのではないかと推測する。

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