2018年10月19日 00:10 掲載

ニュース・プラス 東レが開発した“しなやかなカーボン”を多用してみたら車重850kgに! 超軽量EVコンセプトカー「I toP」に迫る


くるくら編集部 日高 保

軽量化が実現する温室効果ガスの削減効果

 持続可能社会の実現に向けたプロセスシステム工学とライフサイクル工学を研究する、東京大学 大学院工学系研究科システム工学専攻/工学部化学システム工学科の平尾雅彦教授により、「I toP」の温室効果ガス(GHG)の削減効果が分析された。製造時点と10万km走行後のGHG排出量の合計が、従来の同サイズのエンジン車に対し13.7%、金属やガラスなどの従来素材で製造した「I toP」に対して11.4%低減できる可能性が示されたという。

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東京大学の平尾教授による、今回の樹脂製「I toP」、従来素材で製造した「I toP」、従来の同サイズのエンジン車のGHG排出量のグラフ。左はトータルの排出量のバーグラフで、右は製造時の排出量からスタートして使用時の排出量の増え方を表したグラフ。「I toP」はEVなのでクルマ自体からはGHGを排出しなくても、電気を生み出すのに発電所でCO2が発生するため、使用時のCO2排出量がゼロとはならない。画像提供:JST/東レ・カーボンマジック

自動車分野以外への応用の可能性と今後の展開

 「I toP」の開発により、"しなやかなカーボン"などの特質・特徴を把握できたとし、クルマ以外の応用も模索していくとする。例えば、優れた強靱性・耐疲労特性を活かし、競技用義足ブレードに適用した結果、目標通りの性能向上が見られた上に、折れてしまっても細かな断片に分裂しにくい性質も確認されたという。このことから、衝突事故などでの細かな破片の飛散が起こりにくいことが期待できるとした。

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破断した競技用の義足ブレード。左の"しなやかなカーボン"製は、右の従来のCFRP製のように完全に分断してしまうことがない。環動ポリマー分子が命綱的に破断した破片同士の間をつなぐものと思われる。画像提供:JST/東レ・カーボンマジック

 現在、スポーツ用途としては、繰り返しボールからの衝撃を受けるホッケースティックへ適用を試験的にスタート。台上試験・実地試験における評価が行われているところだ。

 最後に、「I toP」のスペックも掲載しておく。

【スペック】
全長×全幅×全高:4280×1930×1350mm
ホイールベース:3000mm
トレッド(前/後):1660/1670mm
最低地上高:140mm
前面面積:1.994平方m
乗車定員:3名
空車重量:850kg
重量配分:前43%/後57%
駆動形式:インホイールモーター、後2輪駆動
定格出力:15kW
定格/最大出力:24/45kW
定格/最大トルク:150/570N・m
定格電圧:DC300V
バッテリー形式:リチウムイオン二次電池
充電方式:単相100/200V
タイヤ/ホイール:155/70R19、5.0J-19"