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クルマ最終更新日:2018.09.01 公開日:2018.09.01

「ポーランドから走ってきたよ!」リーフで大陸横断1万6000km、東京へ。極地探検家を支えたリーフの実力とは

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 日産は8月30日、ポーランドの探検家マレック・カミンスキ氏(写真上)が、100%EVの「リーフ」でポーランドから日本への大陸横断プロジェクトを達成したと発表した。

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 南北両極の制覇経験があるカミンスキ氏は、ポーランドのザコパネを出発しリトアニア、ベラルーシ、ロシア、モンゴル、中国、韓国を経て東京に至る1万6000kmを60日間かけて走破した。この間、一度の故障も電気切れもなかったという。

 「No Trace Expedition(痕跡を残さない冒険)」と名づけられたこのプロジェクトは、カミンスキ氏が以前、南極と北極を探検したときに思いついた。「極地に立った時、自分の足跡しかなく汚染されていない透き通った真っ白な世界を目の当たりにしました。その時に、生態系への影響を最小限に抑えた旅行計画のアイディアが浮かんだのです」。

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 カミンスキ氏がその旅のパートナーにリーフを選んだのは、ゼロ・エミッション車のなかで最も販売台数が多く、その台数こそが車の信頼性の高さを物語っているから、という理由だった。このリーフだが、カミンスキ氏は長い旅を可能にするため車に工夫を凝らした。ラゲッジとたたんだリアシート上にベッドを設え、多数のライトやコンセントを用意した。「必要な物はすべて揃っていたので、一日中車から出なくても運転することができた」という。

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気になる充電はどうやって?

EV「リーフ」での大陸横断を可能にしたその秘訣とは?

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 EVでもっとも気になるのが充電だが、カミンスキ氏は特殊な充電器を用意することで解決した。電流は6~35アンペアまで対応し、アダプターを交換することでさまざまな電源から4~5時間で充電が可能という充電器だ。これを使うことでEV専用の充電スタンドがない場所でも、ガソリンスタンドなど電気が来てさえすれば充電できた。市街地に限らず僻地にも意外と電気は来ていたそうだ。

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 走路は舗装路だけでなく未舗装路もあった。ロシアやモンゴルのダート路などの過酷な環境下でも彼を支えたのが、運転支援技術の「プロパイロット」だった。特にその作動時の”省エネ”性能は長距離ドライブにおいて「非常に効果があった」という。

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 総距離1万6000kmのうち、1回の平均走行距離は250kmで最長が493km、トータルの充電回数は53回だった。なお、カミンスキ氏は東京からポーランドへもリーフに乗って帰る。「帰りはルートを変更し、ウラジオストクを経由するようだ」(広報部)ということなので、北回りのより過酷なエリアを通っての帰路になるのかもしれない。

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 車両を提供した日産では、「旅全体をサポートしたわけではなく、今回のプロジェクトを今後国内マーケティングに利用する予定もない」(広報部)としている。しかし今回のプロジェクトは、EVに懐疑的な人々の考え方を改めさせるきっかけになるかもしれない。EVはこれまで、限られた地域の中でのみ利用できると思われがちだったが、しかし工夫によっては超長距離の走破も夢ではないことが証明されたからだ。少なくともカミンスキ氏の挑戦は、多くのEV乗りの冒険心に火を点けたのは間違いない。

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