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クルマ最終更新日:2017.11.11 公開日:2017.11.11

自動運転が実現したら街はどうなる? 将来の都市デザイン考

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ベンツとボッシュが提案する自動運転が実現した場合の都市の景観。(c) Daimler AG

 産業革命後の鉄道網の発達とともに郊外都市が成り立つなど、モビリティと都市デザインは切り離すことができない関係にある。

政府が推し進める自動運転

 「戦略的イノベーション創造プログラム(SIPプログラム)」とは、内閣府が中心となり、関係府省・機関が連携して推進する科学技術イノベーション実現のための国家プロジェクトである。国民にとって必要な社会的課題の解決や経済再生のため選定した11の課題に取り組んでいる。

自動運転の目的

 その課題のひとつに「自動走行システム」がある。これは高度な自動走行システムの研究開発を促進し、関係者と連帯して、高齢者など交通制約者に優しい公共バスシステムを確立すること、事故や渋滞を削減し、移動の利便性を向上させる自動運転の実現を目的としている。

東京モーターショーでオープンな市民ダイアログが

 Beyond the Motor(モーターを超えて)がテーマだった今回の東京モーターショーでは、このSIPの一環として、次世代モビリティ(移動)社会の受容性についてのシンポジウムが行われた。内容は、「2030年以降を見据えたモビリティと都市デザイン」についての市民ダイアログで、大学生、AI研究者、企業家、鉄道関係者、デザイナーなど10名の市民がダイアログに参加し、自動走行システムのあり方、未来の移動・都市の姿を自由に話し合った。

 「移動しながらお風呂に入れるクルマがあると忙しい朝に便利」など独創的な案が出たディスカッションを聞きながら、各国で着実に実施されている自動運転バスのニュースを見るに(記事はこちら)、遠い未来のことと思っていた自動運転が予測可能な範囲になってきているのを感じた。
 そういった空気を感じとっている自動運転推進派のパネラーからは「自動運転社会の実現に一番必要なのは、SFの世界のこととして捉えるのではなく近い将来がそれが可能になる、自分たちが可能にしていくというひとりひとりの意識の転換である」との意見もあった。

 自動運転社会の都市デザインの一例として、ディスカッションでも言及されていたのが、冒頭に紹介した独メルセデス・ベンツとボッシュが共同で提案している「未来のモビリティ社会における都市デザイン」である。

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スマートフォンでタクシーを呼び目的地に到達するまでを時間軸で示した図。(c) Daimler AG

 ここに描かれている都市の未来図は、自動運転レベル4とレベル5が実現した、運転手なしの自動運転が普及した社会の都市の景観であり、スマートフォンを通してオーダーされたタクシーが次のカスタマーに引き継がれていく交通の流れが示されている。

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都市モビリティの未来:自動運転タクシーが個人の移動手段として使われる例。(c) Daimler AG

 ビジュアルとしての斬新さはないかもしれないが、タクシー、バス、電車などモビリティの全ては運転手なしの自動運転装置として想定されている。手前には自動運転タクシーが待機しており、レンタル電動バイクのタワーステーションがあったり自動運転バスが走っていたり、近い将来こうなり得るだろうという具体性が見える。実際、ベンツとボッシュはこういった交通社会の実現に向け技術開発を行っている。

2017年11月11日(JAFメディアワークス IT Media部 荒井 剛)

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