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ライフスタイル最終更新日:2017.05.10 公開日:2017.05.10

レシピ02:「雨の日のおむかえ」の作り方

雨の日でも楽しい、親子のドライブを演出

間もなく梅雨入りの季節。ミニチュア写真家の私、田中達也は、スタジオに籠ることが多いので影響は少ないのですが、それでも気分は↘。じとじとしていて、運転する気分にはならないかもしれませんが、雨だからこそ楽しいドライブもあるのです。今回は、そんな情景を作ってみました。

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僕は学校が自宅の近くにあったので記憶にないのですが、雨の日に、友達の親が迎えに来てくれる……そんな光景をうらやましく思っていました。

「親子の原風景」とも言えるその情景をジオラマにしようと、積み重ねた本や緩衝材を使って表現しました。

付箋は、雨宿りするには頼りない昇降口の庇(ひさし)。
たたきつけるように降る土砂降りの雨は、梱包用の緩衝材。
緑のフォルクスワーゲン ビートルで迎えに来たお母さんは、娘お気に入りのピンク色の傘を持って待っている。
そして、あたかも「ママ!」と小さく叫んで駆け寄る女の子。
どんよりとした空と打って変わり、女の子の表情が晴れやかになった瞬間だ。実に微笑ましい。

→次ページ: 「雨の日のおむかえ」を表現した材料

「雨の日のおむかえ」を表現した材料

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京商 1/64 フォルクスワーゲンビートル1303 1974 グリーン (2,592円)

ドイツの自動車メーカー・フォルクスワーゲンが1938年から2003年まで生産したタイプ1をモデル化。「カブトムシ」の愛称で知られていますが、アマガエルっぽいので梅雨らしいなと思いこれにしました。お母さんが学生時代から乗っている愛車という設定です。渋いですね、奥さん!

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数冊の本と自作のブックカバー

学校を想起させるモノを考えたとき、最初に浮かんだのが本。勉強するのに教科書は欠かせないですからね。それを3冊積み重ねて、3階建てをイメージさせる校舎を表現。装丁がそのままだと美しくないので、青や緑、黄色など、カラフルなカバーをかけてみました。

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梱包用の緩衝材

宅急便などで使う緩衝材は、プチプチ潰す暇つぶしだけじゃなく、土砂降りの雨の表現にも使えます(笑)。撮影で使ったのは、自宅で保存していたものを再利用。プチッと潰せる凸部分に照明が反射して、あたかも地面で跳ね返っているようにも、水溜りのようにも見えて面白いですよね。

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色鉛筆と付箋

色鉛筆は電柱をイメージ。雨のシーンとは直結していませんが、ジオラマの手前や奥側に配置することで奥行きを出せるのです。付箋は昇降口の庇。校舎の表現に本を使ったので、付箋は親和性を高めました。ちょっと垂れ下がった感じが、激しい雨の表現を強調してくれたかも!?

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女の子/女性/傘のフィギュア

別々で販売されている人形なのですが、このシーンを再現するためにセレクト。もともと子供の人形のランドセルはオレンジ色、傘は真っ白でした。なので、目立つようにピンクで塗装。お母さんの傘の色も黄色に塗装しました。というのは、作品がブルーを基調としているので、相性のいい色にしたかったからです。

→次ページ:いよいよ撮影!

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(1) デジカメのライブビュー機能を使って調整

ジオラマの撮影で難しい点はいくつかありますが、そのひとつが構図。わずかな角度の違いで、作品の雰囲気や奥行き感が大きく変わってしまう。
そこで私が活用しているのが、多くのデジカメに搭載されている「ライブビュー機能」です。ビデオカメラのように撮影物を液晶に映し続けてくれるので、いちいちシャッターを切らなくてもOK!
映像を確認しながら、ちょっとずつフィギュアなどを動かせば、効率良く思い通りの構図を作り込めるのです。

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(2) 梱包材と青い紙を張り合わせる

梱包材は透明なので、テーブルなどの天板の色が透けて見えてしまいます。そこで梱包材の下に青い紙を貼り付けることでその問題を解消。紙の色が透けるので、より「雨の日」らしくなりました。

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実はブックカバーも自作!

女の子が背負うピンクのランドセル、お母さんが差している黄色の傘を強調するため、校舎の表現に使った本のブックカバーは自作しました。
全体を寒色にすることで、暖色のランドセルと傘が際立つのです。ちょっとこだわるだけで雰囲気がグンと高まります。ぜひ参考にしてください。

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ミニチュア写真家:田中達也(たなか たつや)

1981年、熊本県生まれ。 鹿児島に移り、広告関連のアートディレクションに携わりながらInstagramにアップしていたミニチュア作品が大人気に! 「ミニチュア写真家」へと転身する。ハリウッド映画『アントマン』に作品を提供するなど、世界的にも活躍する。現在放映中のNHK連続テレビ小説『ひよっこ』のタイトルバックも手がける。

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写真集『MINIATURE LIFE』『MINIATURE LIFE2』(水曜社)を上梓。
彼の作品は、http://miniature-calendar.comをチェック!

企画構成・文/寺田剛治

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