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クルマ最終更新日:2018.10.09 公開日:2018.10.09

平成最後の富士総合火力演習に行ってきた!

今年の目玉はやっぱり「16式機動戦闘車」!

 戦車、装輪車だけでも約80台が参加して公開演習を行う富士総合火力演習。今年は8月26日(日)に開催され、平成最後の夏にふさわしい熱い体験をすることができた。今年の目玉は「16式機動戦闘車」の砲撃が初公開されたことだろう。砲撃時の爆風とマズルフラッシュ(発火炎)の熱気は、報道席はもちろん、一般観客席にも押し寄せてきて迫力満点! 今回は筆者が昨年目にしてからすっかり惚れ込んでしまった「16式機動戦闘車」を中心にレポートしていきたいと思う。

 なお「16式機動戦闘車」に関しては、昨年のレポートでも詳しく紹介しているので、そちらもぜひあわせてご覧いただきたい。

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大迫力の砲撃シーン。爆発の大音量は覚悟していても毎回驚く。(撮影・加藤博人)

16式機動戦闘車の砲撃シーンを初公開

 大口径の主砲を備える姿は戦車のようだがよく見ると、足元は履帯(クローラー)ではなくタイヤを履いている。16式戦闘車(以下MCV)は「戦闘」の名前はつくものの「10式戦車」「90式戦車」のような戦車ではない。このような車両は「装輪戦車」と呼ばれることもあり今、世界の陸戦部隊では主流となりつつあるようだ。16式とは2016年に制式化されたという意味で、同年の中央観閲式や2017年の総火演で試作車は公開されていたが、今年はついに量産型で実際に砲撃するシーンが一般公開された。

 会場で配布されたスケジュールを見ると、前段(午前)と後段(午後)のそれぞれの演習にMCVの名前があり、今か今かと待ちわびていたのだが、なんと、午前一発目に砲撃された瞬間を見逃してしまった…。写真に収めることができず、思わずその場にいた広報担当の隊員に恐る恐る「あの、このあともMCVの砲撃は…」と聞いたところ「大丈夫ですよ! これから午後も嫌と言うほど撃ちますから!」という心強い答えが返ってきて一安心。

 さて、午前中の演習では写真に収めることができなかった16式機動戦闘車の発砲シーンだが、午後の1発目で無事、撮影することができた(トップ画像)。戦車とは違いタイヤを装着しているので、ステージの袖から登場して会場の中央まで来るのがあっという間。そして、とにかく動きが速い。停まったと思いきや、車体上部に搭載された52口径105mmライフル砲から迫力の砲撃! ズドンと火を噴いた瞬間、熱とともに衝撃波が押し寄せてきた。

16式機動戦闘車とはどんな車両?

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MCVはタイヤで動くため、戦車に比べると動作はかなり機敏でコントロールしやすい模様。重量も26トンと戦車と比べるとかなり軽めだ。

●16式機動戦闘車スペック
乗員:4人(操縦手、車長、砲手、総てん手)
全備重量:約26トン
全長:8.45m
全幅:2.98m
全高:2.87m
最高速度:100km/h
エンジン:水冷4サイクル4気筒ディーゼル
最高出力570PS/2100rpm
駆動方式:8輪駆動
サスペンション:8輪独立懸架
武装:105mm施線砲×1、12.7mm重機関銃×1、74式車載7.62mm機関銃×1

 MCVは「戦車」ではなく「装輪車」なので、軽量で機動性に優れているところが最大の特長だ。

MCVが戦車と違うのは?

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こちらは、90式戦車。主に北海道に配備されている戦車なので、本州でみられるのはおそらく富士だけ。16式と違ってタイヤではなく履帯を付けた本物の戦車である。

 では、さらにMCVの戦車との違いを紹介していこう。注目すべき点は、26トンという軽量なボディと570馬力のハイパワー、そして最高速度100km/hという走行スピードである。戦車の重量はどれもだいたい40~50トンあるのに対し、MCVはわずか26トンと軽い。とはいえ、火力は74式戦車と同レベルを確保しており、高度な射撃統制機能によって高レベルの命中精度が期待できるとのこと。簡単に言えば、自走して機敏に行動できる機動力と、戦車並みの火力を両立させた戦闘車両と言えるだろう。

 実際目の前で走っているシーンは、本当に軽やかでいかにもコントロールしやすいように見える。筆者は昨年、公道で遭遇したこともあるが、他の交通を妨げることなく、舗装路でもすいすいと走っていた。ただし、履帯ではないため実際の戦場機動力は戦車に劣るのは致し方ないところであろう。

 MCVは現在、全国の駐屯地に配備が進められており、今後は陸上自衛隊関連のイベントでも見ることができるだろう。また、駐屯地の創立記念行事などで、一般向けに同乗体験を実施することもあるので、興味のある方はぜひ駐屯地の公式サイトなどで確認してみて欲しい。

外部リンク

2018年10月3日(雨輝・加藤久美子)

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