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クルマ最終更新日:2018.04.10 公開日:2018.04.10

80%のドイツの両親が不安と回答。小学生の登下校での交通安全への取り組みとは?

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子供と一緒に通学路を歩き「交通指導」をすることをADACは提案する。(c) Quelle: ADAC

 新学期がはじまり、新1年生が新しいランドセルやカバンを持って通学する姿を目にするようになった。当Park Blogでは、小学一年生の登下校時の交通安全について「歩行中の交通事故は7歳児が最多!もうすぐピカピカの新1年生たちを事故から守るには?」という記事を掲載した。
 今回は海外での小学生の安全な登下校への取り組みについて、ドイツの例を紹介したい。

80%の両親が小学生の登下校に不安を

 独ADAC(ドイツ自動車連盟)は今年3月、小学生の子供を持つ両親1009人に、通学について実施したアンケート結果を発表した。アンケートの内訳は、40%が地方など人口が少ない場所に住む両親で、60%は都市部など人口が集中する場所に住む両親である。
 
 それによると約80%の両親が、「子供が付き添いなしにひとりで通学することに不安に感じる」と回答した。そして不安の要素として以下の項目を挙げている。

・交通事故
・通学路の交通量や安全度合
・ドライバーによるスピードの出しすぎや不注意
・子供が交通状況を正しく判断できないこと

 他にも、子供が知らない人に声をかけられたり、誘拐されたり、性的暴行を受けること、同級生や上級生によるいじめなど社会的な問題による不安が挙げられているが、これらの項目は人口が多い都市部で顕著であった。

都市部は交通量の多さ、地方では道路環境の悪さが問題
 
 都市部においての学童の交通事故への不安の原因は、「交通量の多さ」が圧倒的に多い。それに対して、地方の小学生の登下校の問題は、歩道がない大通りを通わなければならなかったり、歩道や自転車道の状態が悪い、横断歩道や外灯がない、交通の見通しが悪いなど、「交通環境の未整備」が挙げられている。

両親による交通環境の改善への提案

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(c) Quelle: ADAC

 アンケートでは上記の問題点を踏まえた上で、両親が交通環境の改善点を提案している(上の図)。上から要望が多かった順に列記する(グラフの黄色は地方、黒は都市部を示し、複数の回答が可能)。

・横断歩道の設置(地方24%、都市部20%)
・街灯の設置(地方20%、都市部14%)
・交通の監視、思いやり運転の実施(地方11%、都市部12%)
・歩道の設置や整備(地方10%、都市部4%)
・学童による見守り/ 旗振り(地方10%、都市部11%)

 以上の項目は、小学生の交通安全のために両親が外に向かって働きかけていることだが、ADACは子供の安全な登下校のために両親と子供、つまり私たちができることについても提唱を行っている。

→ 次ページ:
「練習がマイスターを生む」とは?

親と子が一緒になす交通安全

 ドイツには「練習がマイスター(親方)を生む」という、好んで使われることわざがある。ADACによれば小学生、特に”交通参加においても1年生”の学童が安全に登下校するには、ひとえに交通安全指導が必要であり、子供が自分で大丈夫だと思うまで親と子が一緒に登下校を繰り返し練習することを薦めている。
 この交通安全指導とは、一緒に通学路を歩きながら子供に危険性を教えることであり、新学期がはじまる前から行うことが望ましいとしている。

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交通指導の様子。(c) Quelle: ADAC

 交通安全指導を行うにあたり、留意すべき点は以下である。

◆危険な場所を教える⇒危険性を強調して不安感を植えつけるのではなく、確認するなど危険な状況での正しい行動を示し、子供が行ったら褒めるようにする。

◆近道について⇒子供は登下校に慣れたら自分で近道を見つける。それに備え、近道が安全な道とは限らないこと、少し遠くても安全なルートを通ることを教える。

◆小学1年生には確認を怠らず⇒1度だけでなく繰り返し練習したり、ひとりで登下校するようになっても「今日はどうだった?」と確認を取ることで、安全な行動を習慣化させるのが大切である。

◆子供の視点に立った指導をする⇒子供は複雑な交通ルールに対応できないこと、クルマの速度や距離の認識が難しいこと、背丈が小さいため他の交通参加者から認識されにくいが、自分が見えていればドライバーからも認識されていると思いがちであることなどを考慮する。

 これらの項目の中には、日本でも参考にすべきことがあるのではないだろうか。自分の命を守るのはなによりも自分自身であるという認識を持つこと、そして交通に参加しはじめる小学1年生の時に交通安全に対する正しい行いを習慣化することが重要だと、ADACは伝えている。

2018年4月10日(JAFメディアワークス IT Media部 荒井 剛)

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