2022年01月13日 11:50 掲載

クルマ 苦しみ抜いて成長した一年。
21歳のF1ドライバー「角田裕毅」かく戦えり


文・大串信(モータースポーツライター)

中盤戦でポイントを獲得するも

第6戦アゼルバイジャンGPでの角田裕毅

6戦アゼルバイジャンGPでの角田裕毅 写真=ホンダ

 苦闘する中で、第6戦アゼルバイジャンGPではデビュー戦を上回る7位に入賞、第8戦シュタイアーマルクGPでは10位、第10戦イギリスGPでも10位、第11戦ハンガリーGPでは6位と、シリーズ中盤の角田はポイントを獲得するまで復調。他のF1ルーキーたちはまったくポイントを獲得できないでいたことを考えれば、ルーキーとしては十分な成績だと言える。しかし開幕戦のように話題とはならず、むしろ批判が続いていた。そうなったのはデビュー戦での鮮烈な印象があったからだ。それにより角田はルーキー扱いされず、レギュラー選手と同じ基準で評価されるようになっていたから批判が続いたのだ。

 しかし角田が所属するアルファタウリは、シリーズ中盤である第14戦イタリアGP前に、2022年シーズンチーム体制を早々に発表した。それは2021年と同様にピエール・ガスリーと角田の両名がチーム残留するというものだった。周囲の批判とは裏を返すような発表だったが、この頃から角田の走りが、一段階安定度を上げてきたからだ。その発表後にも、さまざまな状況の変化があったと角田は言う。

「シリーズ中盤に、モノコックを(新品に)交換することになりました。そのタイミングは第16戦トルコGPで、これにより流れが変わってきました。それまでのモノコックは、攻めた走りをするとリアがナーバスになって怖かったんです。それがモノコックを換えると、ナーバスはナーバスだけどコントロールできるようになったんです」

 このモノコック交換以外でも、不調から脱するきっかけはいくつかあった。その1つがF1経験者であるアレクサンダー・アルボンが、コーチ役に就いたことだ。アルボンのアドバイスが、角田自身のF1に対する取り組み方を改善するきっかけとなった。

「1番変えたことは、レースウィークの時間の使い方です。アルボンが就く以前のぼくは最小限のことを終えたら、夕方の6時にはサーキットから出て帰っていました。ところがガスリーなどの先輩ドライバーの仕事を見ていると、22時くらいまで残り、チーム関係者と、どうすれば速く走れるかを話し合っているんです。最初は意地もあって真似はしたくなかったんです。でも経験豊富でチャンピオンになったこともあるドライバーであるフェルディナンド・アロンソが、22時までサーキットに残っているのがF1では当たり前なんです。そのことをアルボンから知って以降は、ガスリーの時間の使い方を見習うことにしました。それだけガスリーの闘いぶりは素晴らしかった」

 これらの努力が噛み合ってシリーズ終盤、角田の状況は急激に改善していった。

最終戦で自己最高の4位で入賞

最終戦アブダビGPでの角田

最終戦アブダビGPでの角田 写真=ホンダ

 そして迎えたシリーズ最終戦の第22戦、アブダビGP。このレースは、今シーズン一杯でF1活動を休止するホンダにとってラストレースであり、ホンダの育成ドライバーである角田にとっても大きな意味のあるレースだった。そこで角田は自身最高位の4位でレースを終えた。その結果、角田はポイントを32点とし、今季レースに出走した21人のドライバー中、ランキング14位でシーズンを終えた。

「アブダビでは、ホンダさんに感謝を示すためにも結果を出して締めくくりたかったので4位になれて良かったです。(シーズンを振り返ると)アップダウンがあってかなり厳しい1年でしたが、いろいろ経験が詰めて良かったと思います」

 2年目のF1に向けて、角田の準備はすでに始まっている。今年、F1では車両規則が大改定されマシンの特性が大幅に変わる。実戦経験が少ない角田にとっては試練ではあるが、ベテランにとっても初体験のマシンとなるので、逆に大きなチャンスが潜んでいるかもしれない。

「今年はチャレンジングな年になると思います。さらなる成長をしなければいけない年なので、死にものぐるいで闘いたい。(新しいレギュレーションの)車から最大限のパフォーマンスを引き出すことを目指して闘い、まずはポイントを取りたいと思います」と抱負を語った。

 そして角田は最後にこう付け加えた。

「コロナの影響で昨年の日本GPは中止になってしまいましたが、2022年はぜひ鈴鹿で日本のファンに会いたいです」

最終戦アブダビGPで角田が装着したスペシャルカラーリングのヘルメット

最終戦アブダビGPで角田が装着したスペシャルカラーリングのヘルメット ⓒGetty Images / Red Bull Content Pool


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