2021年08月04日 06:00 掲載

クルマ デザイナーのガンディーニが語る
カウンタックに宿る“motion主義”とは


文・西川 淳

月面着陸という "emotion"から生まれた

 「スタイルは常にエモーション(emotion)から生まれます。他の何ものからでもありません。カウンタックが生まれた71年当時、世界の人々の関心は宇宙に向いていました。何せカウンタックが生まれる2年前に、人類は初めて月に到達したのですから。巨大なロケットがゆっくりと、力強く発射され、地面から飛び立つシーンに私も含め人類がときめきました。それはまさにおとぎ話が現実になった瞬間だったのです。我々は火を利用することでそれを成し遂げた。それはあたかもプロメーテウスからの人類への贈り物のようなもので、20世紀最大の伝説となったのです。

<マルチェロ・ガンディーニ インタビュー動画>

 これをきっかけに、私自身も考え方を改めるようになりました。何か新しいもの、他とは違ったもの、デザイン的に今までになかったことを成し遂げる方法を根本的に変えなければいけないと感じたのです。それは何もクルマに限った話ではなく、芸術もそうでしょうし、他の全てのことに関しても、自分の関わった印を何か少しでも残したいと思うような人にとってはとても重要なことだと思うようになった。成功するかしないかは時の運。まずは変えなければいけない時代に生きていると私には思えたのでした。

 1971年のジュネーブショーでカウンタックを初めて披露することになったのですが、大勢のジャーナリストを招いたイブニングパーティーの時点で車は間に合っていませんでした。でも、なんとかショーには出展できた。もちろんそれは展示用のスタイルモデルで実際に走るクルマではありませんでしたが、それでもそれまでのカーデザインを根本的に変換し始めたのです。飾ってある限り、それはいっそう写真のように現実感の伴わない存在でした。」

マルチェロ・ガンディーニ談

1971年に発表されたカウンタックLP400のアイディアカー

1971年に発表されたカウンタックLP500のアイディアカー。ドアノブなど各部のデザインが量産車と異なる 写真=ランボルギーニ

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