2021年03月20日 13:30 掲載

クルマ ハイエースで全日本ラリーに参戦。
ドライバー国沢光宏が語る参戦への抱負!

全日本ラリー選手権と言えば、ヤリス、WRXなどのレーシングカーが砂煙を巻き上げて疾駆するイメージだが、そこになんと、ハイエースで参戦するチームがある。そのドライバーであるモータ-ジャーナリストの国沢光宏に、参戦経緯と抱負を語ってもらった。

文・国沢光宏(モータージャーナリスト)

ハイエースで全日本ラリーに出場しますが、乗りませんか?

ハイエース,全日本ラリー,国沢光宏,槻島もも

CAST RACING MARUTOKU号。ドライバーの国沢光宏(左)と、コ・ドライバーの槻島もも(右) 写真:丸徳商会

 昨年のクリスマスに「来年ハイエースで全日本ラリーに出場しようと計画しているのですが乗りませんか?」という連絡を受けた。ハイエースといえばラリーカーでなくサポートカーとして人気(笑)。そもそも林道を全開で走って問題ないのか? はたまた全日本ラリーの関係者から嫌がられるのではないのか? いろんな思いが頭をよぎる。

ーーといったことを熟考するのは常識のある人であり、私の場合、面白そうな話だと肯定から始まる。ややこしい話の前に、狭い林道のスペシャルステージを四角いハイエースで走っているシーンを頭に浮かべ「これは興味深い!」。と2つ返事で引き受けた後、理論武装することにしたのだった。「なぜハイエースなのか?」ということです。

ハイエースが全日本ラリーを走る姿を想像してみる

 ラリーファンから「全日本ラリーでなく地区戦にして欲しい」みたいな声は必ず出ると思う。趣味で出場するなら地区戦というチョイスがあるかもしれない。けれどチームに話を聞くと、けっこう真剣モードである。国際格式のラリーに出場できる構造&素材でフル溶接のロールケージを組み、専用開発の足回りや新開発のLSDも作るという。

 ホンキでハイエースを作り込もうとしている。「受け狙い」じゃありませんでした。トヨタの豊田章男社長ことモリゾウさんは「クルマは道が鍛えてくれる」という。ハイエースだって限界特性の作り込みは大切だと思う。そもそも今までハイエースで「走る楽しさ」を追いかけた人たちはいない。全日本ラリーで鍛えたら、新しい「何か」が見えてくる可能性だってある。

 危険性という点から考えたらどうだろう? ターマック(舗装)ラリーであっても晴れと雨で限界は大きく違う。ラリーをやった経験のある人なら御存知の通り、普段クルマが走っていない林道は緑色の苔に覆われており、夜露で濡れていたら雪道より滑る。グラベル(未舗装路)だって同じ。ラリーは路面状況により旋回速度は激しく異なるのだ。

 そういった状況でクルマの限界を引き出すのがラリードライバーであり、クルマ作りの技術だと思う。つまり絶対的なコーナリング限界の低いハイエースであっても、きっちり煮詰めてコントローラブルなクルマにすればいい。とはいえ今シーズン出場を予定しているラリーのうち、最後はグラベル! ハイエースは後輪荷重が少ないFR車なので、とってもチャレンジングになるはず。

 ラリーで勝つには絶対的なスピードが必要だけれど、グラベルではハイエースがむしろ遅くなることを肯定したいと考えている。ラリー界の過去を紐解くと、1960年代後半のモンテカルロラリーはミニが大暴れした。絶対的な出力が低く、スピードだって今と比べれば高くない。だからこそ貧弱な構造のロールケージでも決定的な事故にならずに済んでいた。でも観客を沸かせた。「低いスピードで楽しめる競技」こそ大切。

 しかしハイエースが林道を走ってきたら、きっと観客は「なんだ?」と思うことだろう。いや、プログラムで事前に知っているので「見たいね!」と思っているかも。私が観客だったら、ハイエースがSSに来るまで待つ。そこでどんな走りになるか? でも私自身も現時点でどんな走りか想像がつかないが、テストでミニサーキットを走ったら大ウケでした。どうやら派手に見えるよう。

そこには負けられない勝負がある。ハイエースVSハイエース

 もう1つ。モータースポーツを盛り上げるのに重要なのは「勝負!」だと思う。ハイエースが、同じクラスの86と勝負にならないのはわかっている。けれど今シーズンはハイエースが2台参戦。私と、ハイエースの開発兼ドライバーとして喜多見選手が走るのだ。ナニを隠そう、お互い「自分のほうが速い!」(ラリードライバーあるある。笑)と思っている。

 お互い譲る気持ちなど1ミリも無し! 今、顔は笑っているかもしれないけれど、負けたら超悔しいと思う。やがてハイエースが3台、4台と増えてきたら、これはこれで本物の戦いになる! ハイエースは、ヨーロッパとアメリカを除けば世界規模の人気車! 海外に対するプレゼンテーションだってできるため、参加するショップからすれば魅力的だ。

国沢、ハイエースで頑張ります!

 最後に自己紹介をさせていただきます。私のラリー戦績は『eWRC』というサイトで閲覧できる。私はWRC4戦、APRC(アジア・パシフィック・ラリー選手権)に5戦というように、海外の長丁場になるイベントへの参戦が多い。けれど31戦中リタイアは3回のみ。特に燃料電池車MIRAIと電気自動車リーフで出場したイベントについていえばノークラッシュ。ということで、ハイエースの全日本ラリーでも皆さんに迷惑をかけないよう頑張りたい!

 今年はWRCのラリー・ジャパンもきっと開催になるが、国内ラリーの最高峰である全日本ラリーも絶対楽しめるので、ぜひ見に来てください! ハイエース、頑張ってるな、と感じたらCAST RACINGに声掛けてください!

ハイエース,全日本ラリー,国沢光宏

CAST RACING ハイエースのラリー参戦スケジュール
<全⽇本ラリー選手権>
4月9日〜11日 第3戦 ツールド九州2021in唐津(佐賀県) ターマック
5
21日〜23日 第5 RALLY丹後2021(京都府) ターマック
6
11日〜13日 第6 MONTRE2021(群⾺県) ターマック
9
10日〜12日 第9 RALLY HOKKAIDO(北海道) グラベル

参戦ドライバー/コ・ドライバー 喜多見孝弘/木原雅彦(SANKO)、国沢光宏/槻島もも(MARUTOKU)※第3戦は槻島ももに代わって大西恵理

TOYOTA GAZOO Racing Rally challenge
7月3日~4日 第5戦 渋川伊香保(群馬県) ターマック
10
9日~10日 第10戦 高岡 万葉(富山県) ターマック

参戦ドライバー/コ・ドライバー 板倉麻美/槻島もも(MARUTOKU

※参戦スケジュールは31日現在のもの。

モータースポーツに関する記事