2020年12月15日 12:50 掲載

クルマ 宇宙に一番近いクルマたち「JAXA編」。H-IIIロケット運搬用の新型56輪車登場!


神林 良輔

巨大なロケットの輸送はまるで建造物の引っ越しのよう 

 続いては、ロケットのパーツや「はやぶさ2」を輸送する様子を紹介する。まずは、H-IIロケットの巨大さがわかる輸送場面から(画像9)。コンテナが巨大なため、まるで建物を運んでいるようなイメージだ。コンテナは高さがあるため、西之表港~種子島宇宙センターや、内之浦港~内之浦宇宙観測所までのルート上の信号機は、信号機を回転させられるよう作られている。

JAXAのH-IIAロケットの輸送の様子。

画像9。2005年10月16日に撮影された、H-IIA8号機のもの。ここまで巨大なものが一般道を走ることはそうそうないはず。

 そして画像10は、内之浦宇宙観測所で打ち上げられている小型の固体燃料ロケット「イプシロン」試験機の第1段モーター(エンジン)を輸送している様子。イプシロンのパーツは海路で内之浦港まで運ばれ、そこから肝付町(2005年7月に内之浦町と高山町が合併して誕生した、内之浦宇宙観測所が所在する町)を抜けて内之浦宇宙観測所まで輸送される。通行止めを実施して上下線を使ってトレーラーが通行する。そのため、一般の交通に支障が出ないよう、輸送は夜間に行われる。

JAXAとIHIエアロスペースで開発したイプシロンロケットの第1段エンジンを輸送する様子。

画像10。画像は「イプシロン」試験機の第1段モーターの輸送の様子。2013年6月2日に撮影されたもの。

 続いて画像11もイプシロンロケットで、こちらは4号機の第1段モーターの輸送の様子。輸送用の大型トレーラーのタイヤの数もさることながら、車軸ごとに角度が異なるなど、かなり特殊な輸送用車両であることが見て取れる。その理由は、内之浦宇宙観測所は山中に切り開かれた特殊なロケーションにあるロケット発射場のため、内之浦港からの陸路には急カーブなどの難所がいくつかある。そうした難所を無事通れるようにするため、特殊な運搬車が用いられているのである。

JAXAとIHIエアロスペースが開発したイプシロンロケットの4号機のパーツが輸送されている様子。

画像11。内之浦宇宙観測所までの輸送は、通常のトレーラーだと難しく、特殊な車両が使われる。2018年9月に撮影されたもの。

  続いては、種子島宇宙センターの施設間でロケットの先端部分の衛星などを収納するフェアリングを輸送する様子(画像12)。ISS用無人補給機「こうのとり」の4号機を格納したフェアリングを、第2衛星フェアリング組立棟から大型ロケット組立棟へ輸送する際に撮影された。これもまた建物の引っ越しレベルのスケール感だ。

国際宇宙ステーション用無人補給機「こうのとり」の4号機を格納したフェアリングを輸送する様子。

画像12。第2衛星フェアリング組立棟で「こうのとり」4号機をフェアリングに格納したあと、大型ロケット組立棟へ向かうところ。そこでH-IIBの先端に接続する。2013年7月20日に撮影されたもの。

 最後は、「はやぶさ2」の輸送の様子だ。「はやぶさ2」は2014年12月3日に、種子島宇宙センターからH-IIA(26号機)で打ち上げられた。それに先立ち、組み立てと点検が行われたJAXA相模原キャンパス(宇宙科学研究所)よりトレーラーで送り出され(画像13)、フェリーでトレーラーごと海を渡り、同年9月22日に種子島北部の西之表港に上陸(画像14)。そこからは国道58号などを利用して、島をほぼ縦断する形で南東部にある種子島宇宙センターへ運ばれた。大型の人工衛星や探査機などを輸送する際、トレーラーの荷台は車高を下げてある低床型が使用されることが多い。これは、コンテナが路上で信号機や標識、電線などに接触しないようにするためだ。

JAXAの相模原キャンパス(宇宙科学研究所)の前に立地する共和小学校前を通過する、「はやぶさ2」を搭載したトレーラー。

画像13。JAXA相模原キャンパスのすぐ前に立地する共和小学校前を通過する「はやぶさ2」を載せたトレーラー。コンテナが信号や標識、電線などと接触しないよう、荷台は低床型が採用されている。

種子島に上陸した「はやぶさ2」を載せたトレーラー。このあと国道58号線などを使い、島を縦断する形で北西部の西之表港から南東部の種子島宇宙センターへ向かう。

画像14。神奈川県から遠路はるばる種子島までやって来た「はやぶさ2」を載せたトレーラー。このあと国道58号などを使い、島を縦断する形で北西部の西之表港から南東部の種子島宇宙センターへ向かう。


 打ち上げの瞬間が印象として強いロケットであるが、しかし、その華やかな打ち上げも、今回紹介したような車両が支えているのだ。次にロケットが飛ぶのを見たときは、そこに至るまでにさまざまなクルマたちの働きがあることをぜひ想像してみてほしい。

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