2020年12月07日 22:40 掲載

クルマ 宇宙に一番近いクルマたち「NASA編」。ロケットもシャトルも運搬はお任せ!

ロケットやスペースシャトル(2011年引退)など、宇宙を目指す乗り物は、トレーラーや特別な運搬車の力を借りて初めて宇宙を目指して飛び立つことができる。ここでは、NASAの巨大なロケットやスペースシャトルを運ぶ巨大な運搬車などを紹介する。

神林 良輔

引退したスペースシャトルを牽引するトヨタの大型ピックアップトラック「タンドラ」。

引退したスペースシャトル(エンデバー号)を牽引するトヨタの大型ピックアップトラック「タンドラ」。

 ロケットやスペースシャトルなど、誰でもテレビなどでそのリフトオフの瞬間を見たことがあるはずだ。カウントゼロとともに爆炎を噴き出しながら、轟音とともに宇宙へと向かって力強く飛んで行く様子は迫力がある。

 しかし、ロケットもスペースシャトルも当然だが、最初から発射場(射点)で組み立てや整備が行われているわけではない。まずはメーカーの工場で製造された各パーツを巨大な組立・整備棟へと運び込み、そこでロケットの場合は立てた状態で組み立て作業が行われる。シャトルの場合は整備が行われたあと、最終的に立てた状態にされる。そしてあとは燃料を入れ、最終点検して宇宙飛行士が乗り込めば発射可能、という状態にしてから発射場まで運搬される。

 つまり、ロケットやスペースシャトルが宇宙へ向かって飛び立てるのも、大型のパーツを輸送するトレーラーや、完成したロケットや整備を終えたスペースシャトルを発射場まで運ぶ特殊運搬車両の活躍があってこそ可能なのである。

アポロ計画時代から運搬を担ってきた特殊車両の新型「クローラー・トランスポーター2」

NASAのロケットを移動式発射プラットフォームごと運搬する「クローラー・トランスポーター」を上方から。

画像1。NASAの新型「クローラー・トランスポーター2」を上方から。

NASAのロケットをモバイル・ランチャー(移動式発射台)ごと運搬する「クローラー・トランスポーター」を運転席側(右側)から。

画像2。クローラー・トランスポーター2の運転席は右側にある。左側面にいる人物と比較するとその巨大さがわかる。

 アポロ計画で開発された大型ロケット「サターンV(ファイブ)」や、スペースシャトルなど、1960年代からNASAの数々の宇宙機を組立・整備棟から発射場まで運搬したのが、「クローラー・トランスポーター」で、現在はその新型の「クローラー・トランスポーター2」が配備されている(画像1・2)。

 「クローラー・トランスポーター2」は、建機のような無限軌道を備えた車両が4台ワンセットで、ひとつのプラットフォームを支えるような構成が特徴だ。そのプラットフォーム上にロケットやスペースシャトルをセットした「モバイル・ランチャー」(移動式発射台)を搭載し、発射場まで運ぶのである(画像3)。

クローラー・トランスポーター2が、フロリダのケネディ宇宙センターにてモバイル・ランチャー(移動式発射台)を搭載して運搬試験を行っている様子。

画像3。ケネディ宇宙センターでのクローラー・トランスポーターでモバイル・ランチャーを39B射点まで運搬するテストの様子。モバイル・ランチャーの高さは115m強。

 最新のモバイル・ランチャーは、火星有人飛行も視野に入れて開発中の有人ロケット「SLS(スペース・ローンチ・システム)」用として新たに開発された(画像4)。そのため、クローラー・トランスポーターも「クローラー・トランスポーター2」が新たに登場。クローラー・トランスポーター2は、モバイル・ランチャーの重量7600トン弱と、SLSの1600トン強、合計9200トン弱を運搬する。そのスペックは以下の通りだ。

全長×全幅:約40×約35m(131×114フィート)
全高:約6~約8m(20~26フィート)
車重:約2993トン(約660万ポンド)
速度:時速1.6~3.2km(時速1~2マイル)
可搬重量:移動式発射台・約7589トン+SLS約1607トン
エンジン:ディーゼル・16気筒(2基搭載)
最大出力:2750馬力(2基合計)
トラクションモーター:375馬力×4

NASAの新型ロケットSLSを搭載したモバイル・ランチャーと、それを運搬するクローラー・トランスポーター2。

画像4。新型ロケットのSLSを搭載したモバイル・ランチャーを運搬するクローラー・トランスポーター2。

画像5。旧型のモバイル・ランチャーに搭載されたスペースシャトルと、それを運搬する旧型のクローラー・トランスポーター。

スペースX社のロケット「ファルコン9」は寝かせた状態で運搬

 日本時間11月16日に、JAXAの野口聡一宇宙飛行士を乗せた「クルードラゴン」宇宙船を搭載して、ケネディ宇宙センターから打ち上げられたスペースX社のロケット「ファルコン9」。スペースシャトルの引退後、有人飛行はすべてロシアのソユーズに頼ってきたが、約9年ぶりに米国製ロケットがケネディ宇宙センターから打ち上げられた。

 ファルコンXは、ケネディ宇宙センターの発射場のひとつである「39A射点」から打ち上げられたが、そこまでの輸送は画像6の通り、寝かせた状態で行われた。NASAのロケットとは異なり、発射台で直立させる方式を採用しているようだ。ファルコン9用のキャリアーは、航空機を牽引するトーイングカーのような車両が担当しているのが見て取れる。

スペースX社のロケット「ファルコン9」を輸送するトーイングカー。

画像6。ケネディ宇宙センターの39A発射台に向けて輸送されるファルコン9ロケット。先端に接続されているのがクルードラゴン宇宙船。第1号に野口聡一宇宙飛行士が乗り込んで11月16日に打ち上げられ、翌日、無事国際宇宙ステーションに到着した。

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ロケットのパーツが輸送される様子を紹介

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