2020年05月21日 14:30 掲載

クルマ 自動車盗難事故実態調査2020。盗難件数1位はランドクルーザー。

警察庁の発表した犯罪統計資料によると、2020年の自動車盗難件数は7143件。2年連続で年間1万件を下回った。減少傾向にある自動車盗難だが、トヨタ・ランドクルーザー、ホンダ・ヴェゼルなど、昨年より盗難件数が増加した車種もあることが分かった。

くるくら編集部 大槻 祐士

自動車盗難件数は減少傾向

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自動車盗難認知件数の推移。 出典:警察庁「犯罪統計資料」をもとに編集部で作成

 警察庁の発表した犯罪統計資料によると、2020年の自動車盗難の認知件数は7143件。昨年の8628件から1485件減少した。自動車盗難件数のピークは2003年の6万4223件。ピーク時と比較すると、実に90%も減少している。また、年間盗難件数が2年連続で年間1万件を下回ったのは1959年以降、60年ぶりである。

盗難件数1位はランドクルーザー

 全体的には減少傾向にある自動車盗難件数だが、昨年より盗難件数が増加している車種もある。一般社団法人日本損害保険協会による第21回自動車盗難事故実態調査の結果から、自動車盗難の傾向を紹介しよう。

【実態調査の実施概要】
調査期間:2020年2月1日~29日
調査対象:損害保険会社18社(損保協会非会員会社を含む)
対象事案:全国で発生した車両本体の盗難事故および車上ねらい(部品盗難含む)で、調査期間内に保険金の支払いを行った事案(車両本体の盗難調査総数は232件、車上ねらいの調査総数は224件)
※同調査は、保険金請求のあった事件・事故データに基づいたもの。あくまで保険金請求実績に基づくため、保険金請求がされていない事件・事故の件数は含まれない。

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車名別盗難状況(車両本体盗難)。※クラウンには、マジェスタ、エステートを含む。ランドクルーザーには、プラドを含む。スカイラインには、GT-Rを含む。マークには、クレスタ、チェイサー、マークX、マークツーを含む。ハイエースには、レジアス、グランビアを含む。レクサスには、レクサス店販売車種全てを含む。 出典:日本損害保険協会「第21回自動車盗難事故実態調査」

【2017年11月調査】
1位:プリウス 62件
2位:ランドクルーザー 32件
3位:ハイエース 28件
その他:156件
合計:278件

【2018年11月調査】
1位:レクサス 66件
2位:プリウス 41件
3位:ランドクルーザー 35件
その他:151件
合計:277件

【2020年2月調査】
1位:ランドクルーザー 42件
2位:プリウス 39件
3位:レクサス(LX) 25件
その他:126件
合計:232件

 過去3年間の車名別の盗難状況を見てみてみよう。2020年の盗難件数の合計は232件。2018年の277件より45件減少した。しかし、車種別にみると順位に変動がみられることが分かる。

 2020年に車両本体の盗難件数が最も多かったのはトヨタ・ランドクルーザー(プラドを含む)で42件。昨年の35件と比較すると7件増加した。

 トヨタ・プリウスは39件。昨年の41件から3件減少したものの、2年連続で2位となった。ちなみに2017年までは4年連続の1位で約60件も盗難されていたので、以前と比較すると大幅に減少している。

 3位はレクサス・LXで25件。一見するとレクサスの盗難件数は大幅に減少したように感じるが、昨年までと集計方法が変わり、車種ごとに集計されていることに留意したい。昨年までの集計方法に準じてレクサス全車種(LX、LS、RX、GS)の盗難件数を合計すると50件となり、昨年と同じ集計なら、本年も1位だったのである。

 3位までの顔ぶれに変化はなく、特定の車種に盗難被害が集中していることがわかる。また、今年の傾向としてトヨタ・アルファード、トヨタ・ヴェルファイア、ホンダ・ヴェゼルなど、乗車定員の多いミニバンやSUVタイプの盗難件数が増加していることも分かる。

 一般的に、トヨタ車は海外でも人気が高く、高値で売買されることが狙われる要因だと考えられている。また、ランドクルーザーなどは、悪路走破性が高いこと。レクサスLXやアルファードなどのミニバンは人や荷物の大量運搬に適していることから発展途上国で人気が高いとも言われている。 

自動車盗難件数1位は茨城

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自動車盗難多発都道府県(車両保険金支払い件数)。 出典:日本損害保険協会「第21回自動車盗難事故実態調査」

【盗難多発都道府県】
1位:茨城県 57件
2位:千葉県 32件
3位:愛知県、大阪府 28件

 次に都道府県ごとの自動車盗難件数を見てみよう。2020年に盗難件数が最も多かったのは茨城県で57件。昨年の54件から3件増加し、順位も1つ上がった。

 2位は、昨年5位の千葉県で32件。昨年より盗難件数が11件増加し、一気にワースト3に食い込んだ。

 2018年まで3年連続で1位だった大阪府は28件。昨年の81件と比較すると53件も減少。愛知県と同数で3位となった。順位に変化はないが愛知県も12件減少している。上位3府県を合計すると145件と全体の約6割を占めることもわかる。

 これらの地域の共通点は、国際的な貿易拠点となる大きな港があること。自動車を狙う犯罪組織は、盗んだ自動車をすぐに船で運びだせる場所が狙い目であると考えているのだろう。

盗難発生は深夜~朝に集中!

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自動車盗難の発生時間帯。 出典:日本損害保険協会「第21回自動車盗難事故実態調査」

【自動車盗難の発生時間帯】
・深夜~朝(22時~翌9時)70.3%
・日中(9~17時)14.2.%
・夜間(17~22時)6.9%
・不明 8.6%

 自動車盗難の発生時間帯を見てみよう。昨年の自動車盗難は、約7割が22時~翌9時までの深夜から朝にかけて起こっていることがわかる。どんな犯罪でも言えることだが、暗がりで見つかりにくいことが、犯行には好都合なようだ。また、多くの人が寝ている時間帯なので、長時間自動車が駐車されていて、狙いやすいのだろう。


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自動車盗難の発生場所。 出典:日本損害保険協会「第21回自動車盗難事故実態調査」

【自動車盗難の発生場所】
・自宅(屋外) 51.3%
・契約駐車場(屋外) 22.8%
・自宅(屋内) 8.2%
・契約駐車場(屋内) 7.3%
・その他 10.4%

 次に自動車盗難の発生場所を見てみよう。自動車盗難が最も多く発生している場所は、約5割が自宅(屋外)だとわかる。多数の人が出入りする契約駐車場(屋外)の方が、盗難に遭いそうなイメージがあるが、こちらは約2割である。この傾向は例年変わっておらず、自宅の駐車場だからと言って油断は禁物である。

自動車盗難を防ぐためにプラスワンの対策を!

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©Benjamin Sibuet - stock.adobe.com

 自宅に駐車している自動車が盗まれるとなると、どのように対策をすれば良いのだろう。愛知県警は、以下のようなプラスワンの対策をとるように呼びかけている。

・ハンドルロック、タイヤロック
 ハンドルやタイヤを物理的にロックすることで盗難防止になる。また、視覚的なアピールにもなるので犯人が嫌がるので抑止効果があるという。

・車載GPS装置を取り付ける
 車両純正でGPSが搭載されている車種もあるが、犯人は純正GPSを無効にすることもある。犯人に見つかりにくい場所に、GPSを取り付けることで、車両の位置情報を確認し、発見することができる。

・ナンバープレート盗難防止ネジ
 犯人は、窃盗後にナンバーを付け替えて移動するという。ネジ頭が特殊な形状をしたネジに変更することで、ナンバーの取り外しが難しくなり盗難防止となる。
 
・カギの管理をする。
 玄関先や事務所のキーボックスに入れたカギが盗まれ、自動車も盗まれる被害も多く発生しているという。また、スマートキーシステムの電波を悪用した「リレーアタック」という手口で、カギが開けられることもある。電波を減衰する効果のある専用ケース、ブリキやアルミホイルなどの容器に入れて、分かりにくい場所で保管する。

・車のセキュリティ状態をチェック

 盗難被害に遭っている車種の多くは、ドアのこじ開けなどでクラクションが鳴るようなメーカー標準のセキュリティシステムが装備されている。しかし、システムの設定がオフになっている場合もあるという。ディーラーなどでシステムの状態を確認しておきたい。

 犯人はあらかじめ狙いを定めて下調べをし、犯行の機会を窺っている。車両盗難に遭わないために、普段から防犯対策をしておきたい。特に、大きな港に近い都道府県に住み、屋外に駐車している盗難に遭いやすい車種のオーナーの方々は、より注意が必要だろう。また、狙われる車種は、海外の情勢によって変化しているという。ここに挙げた車種以外のオーナーも十分に注意して欲しい。


 なお、同調査結果は保険金請求のあった事件・事故データに基づいた発表である。これらは、あくまで保険金請求実績に基づくため、保険金の請求されていない事件・事故は含まれないことには注意しておきたい。例えば、車両保険に入っていない車種の盗難や自損事故で対物補償を伴わなかったもの、無保険車の事故などは含まれない。この損保協会の発表する盗難件数は、全盗難件数の一部でしかない。

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