2020年10月18日 22:30 掲載

クルマ スケートリンクでEVカート。次世代スポーツ「SDGs ERK on ICE」を見た

電気レーシングカートが、スケートリンクの氷上をクールに激走。10月3日、新横浜スケートセンターで、第1回「SDGs ERK on ICE~氷上の電気レーシングカートの祭典」が開催された。自動車メディア対抗の電動レーシングカートによるパシュートでは、氷の飛沫を上げながらの熱戦が展開され,「driver」チームがチャンピオンに輝いた。

くるくら編集部 会田 香菜子

インドアでも氷上でも楽しめる、電気レーシングカート

10月3日(土)、新横浜スケートセンターで「第1回「SDGs ERK on ICE~氷上の電気レーシングカートの祭典」が開催された。 103日(土)、新横浜スケートセンターで、第1回「SDGs ERK on ICE~氷上の電気レーシングカートの祭典」(主催:一般社団法人 日本EVクラブ)が開催された。「ERK on ICE」とは、電気レーシングカート(ERK)に特製スパイクタイヤを装着し、スケートリンクの氷上を走行する新しいモータースポーツ。頭についたSDGsとは、国連で採択された持続可能な開発目標のことだ。電動で排ガスの出ないERKを使ったモータースポーツは、環境面でその取り組みの一つとなるため、持続可能な次世代のモータースポーツの提案としてSDGsが冠された。

 屋内のスケートリンクで走るという斬新な発想は、ERKが排ガスも騒音も出さない電気カートだから実現できたものだ。さらに、通常のカート用のタイヤではもちろん氷上を走ることはできない。そこで主催の日本EVクラブではカートで使える冬用タイヤを研究し、海外で販売されているカート用のスタッドレスタイヤなども試した上で、現状ではスパイクタイヤがベストだと考えたという。ちなみに、スパイクでガリガリひっかきながら走るとスケートリンクが傷まないか心配になるが、走行後に通常のメンテナンスをすればまったく問題ないそうである。

第1回「SDGs ERK on ICE~氷上の電気レーシングカートの祭典」開会式の様子

日本EVクラブ、館内端代表理事による開会式スピーチの様子

 ただ、スパイクタイヤを履いているとはいえ、そこは氷上。通常の舗装路を走るようにはいかず、やっぱり滑る。そのため、通常のカートに比べると低速でしか走れないが、だから簡単かというと、コーナーリング時の挙動がシビアに出るため、上手に走るのは意外と難しい。つまり、低速の安全な状態で、高度なドライビング技術を競え、派手なドリフトも安全に楽しむことができるのである。これは、初心者はもちろん、子どもから高齢者まで手軽かつ安全に楽しめるモータースポーツであるともいえる。今回のイベントも、当初はモータースポーツに馴染みがない子どもや女性への普及を目指し、一般参加を募って開催する予定であったというが、新型コロナ対策から、自動車関連メディアの編集者とモータージャーナリストによる対抗戦に変更しての開催となったそうだ。

 競技は、パシュートで行われた。パシュートとは、自転車やスケートのトラック競技で行われているもので、競い合う2選手(あるいは2チーム)が、トラックの反対側からスタートして速さを競う。見た目が追いかけあうようになるため、パシュート(追跡)という呼び名になったようだ。今回は1チーム2台のチーム戦で、チームの2台が先に3周した方が勝ちになる。さらに、2周目以降に最低1回はチーム内でトップ交代をするという条件つきだ。また、相手チームに追い抜かれると、その時点で競技は終了になる。

 参加したのは、「LE VOLANT」「CARトップ」「driver」「Motor Magazine」「EV smartブログ」「Tipo」「くるまのニュース」「ベストカー」の全8チーム。各チーム、各媒体の編集者とモータージャーナリストが一人ずつ乗車した。大会はトーナメント式で進められた。各レースの対戦表は以下の通り。

 今回はトーナメントの仕組みにも特徴があり、決勝戦は、最後まで勝ったチーム(通常のトーナメントでは優勝チーム)と、1回戦で負けたチーム同士のトーナメントで勝ち残った敗者復活チームで行われて、優勝チームが決まる。つまり、1回戦は勝っても負けても、同様に優勝のチャンスがあるというわけだ。

第1回「SDGs ERK on ICE~氷上の電気レーシングカートの祭典」トーナメント表

【第1回戦】
第1レース:「LE VOLANT」×「くるまのニュース」
第2レース:「EV smartBlog」×「Tipo」
第3レース:「driver」×「CARトップ」
第4レース:「Motor Magazine」×「ベストカー」

氷の飛沫を上げた迫力の接戦!

スタート前に手を振って観客に応える「CARトップ」チーム

スタート前に手を振って観客に応える「CARトップ」チーム

 第1回戦のスタートと同時に、タイヤに打ち込んだスパイクが氷を削り飛沫を上げた。モーター駆動なので音や振動が少ないと聞いていたが、発進を目の前で見るとやはり迫力がある。屋内で音が反響する影響もあったのかもしれないが、モータースポーツならではのテンションが上がるモーター音が響いた。直線はどのチームも一歩も譲らない走りだった。しかし、難しいのがコーナーでいかに上手くカウンターステアを当てるかということ。上手くいかないと外側に膨らむか、場合によってはスピンしてしまい大きく遅れることになってしまう。さらに、いかにスムーズにトップ交代をしていくのかも勝利の鍵となる。中でも、「EV smartBlog」チームは、手を挙げて合図することでスムーズなトップ交代を行うなど、各チームともに工夫して上手く連携を見せていた。


【第2回戦】
第5レース:「LE VOLANT」×「Tipo」
第6レース:「CARトップ」×「ベストカー」

 2回戦では、ドライバーたちがERKに慣れてきた様子がレースから窺えた。コーナーでのドリフトが決まり、トップ交代も見事な連携ぶりだ。そんな中、第6レースでは「ベストカー」チームの車両がコーナーでインを狙いすぎたせいか盛大にスピン。コースに設置されていたマーカーコーンを跳ね飛ばしてしまったため、失格となった。館内代表理事の解説によると、一回戦の走行によりタイヤのスパイクが抜けて滑りやすくなっていたこともスピンの原因のひとつだったようだ。ドライビングテクニックだけではなく、車両のコンディションも勝敗に影響するというところも、まさにモータースポーツならではである。


【準決勝戦】
第7レース:「Tipo」×「CARトップ」 

 続く準決勝戦は、「Tipo」×「CARトップ」。両チームとも一歩も譲らないレースの中、最終周で「Tipo」チームがリードした。ゴール手前では、トップ車両がチームメイトの車両を待つ余裕を見せて、華麗に2台揃ってゴールインして勝利した。


第9レースの途中で、バッテリーダウンのトラブルに見舞われた「driver」チーム

「driver」チームの車両(赤)が予想外のバッテリーダウンにより、アクセルを踏んでも前に進まなくなってしまうハプニングも。こちらは予備のERKを使って再試合となった。氷上では抵抗が少なく速度も出ないため、舗装路の走行に比べると格段に電池が持つのだが、充電に問題があったようだ。

【敗者復活第2回戦】
第8レース:「くるまのニュース」×「EV smartBlog」
第9レース:「driver」×「Motor Magazine」

【敗者復活準決勝戦】
第10レース:「くるまのニュース」×「driver」

 敗者復活戦側は、1回戦は負けたものの、敗者復活側で勝ち上がった「くるまのニュース」と「driver」チームが決勝戦進出をかけて対戦。しかしレース途中、なんと「driver」チームの女性ドライバー大庭柊子さんが運転する車両のバッテリー残量が無くなり、走行不可になるアクシデントが発生。バッテリーダウンに関わるルールは設定されていなかったため、一時中断のハプニングとなった。協議の結果、ジャーナリストのみが再戦して勝敗を決することになり、「driver」チームがアクシデントをものともしない落ち着いた走りを見せて見事勝利。決勝へと駒を進めた。


【決勝戦】
「Tipo」×「driver」 

 こうして迎えた決勝戦は、常勝の「Tipo」×敗者復活戦を勝ち抜いた「driver」となった。決勝戦の結果、チャンピオンに輝いたのは「driver」チーム。準優勝は「Tipo」チームとなった。ちなみに、初代チャンピオンチームの女性ドライバー大庭さんは、今回がカート初体験だったとのこと。アクシデントに見舞われながらも、コンディションを崩すことなく走り切った勇姿に、会場では盛大な拍手が贈られた。

 最後の最後まで目が離せない白熱したレースで、会場全体が常に盛り上がっていた「ERK on ICE」。主催の日本EVクラブによると、今後は、日本全国のスケートリンクでの開催も視野に入れているという。 "新しいモータースポーツ" 「ERK on ICE」に、今後も注目していきたい。

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