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クルマ最終更新日:2019.11.14 公開日:2019.11.14

【東京モーターショー2019】国内メーカーみどころまとめ!日産・三菱・ヤマハ編

東京モーターショー2019の西展示棟第2ホールに出展された日産・三菱・ヤマハのコンセプトモデルや最新の市販車を取り上げる。

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2台のコンセプトEVを世界初公開した日産、新型「スカイライン」なども

 日産は2台のコンセプトEVを展示したほか、ハンズオフドライブ(ステアリングから手を放しての運転)が話題の新型「スカイライン」、2019年で50周年となる「GT-R」と「フェアレディZ」の特別モデルなどを展示した。まずは、コンセプトEVから紹介しよう。

市販予定のクロスオーバーEV「アリア コンセプト」

日産が東京モーターショー2019で初披露したクロスオーバーEV「アリア コンセプト」。

EVのクロスオーバー「アリア コンセプト」。市販が予定されており、実験的なコンセプトモデルというよりは、市販モデルのプロトタイプに近いようだ。

 まずは、SUVタイプのEV「アリア コンセプト」。同車は市販化が計画されているEVで、今回は量産モデルのプロトタイプに近い。前後に配置したツインモーターによる4輪制御システムを特徴とする。ドライバーの操作に応じて、モーターのトルクやステアリング、ブレーキなどを統合制御することで、舗装路はもちろん、雪道やぬかるんだ悪路などでも思い通りのドライビングを実現するという。

 日産は同車に対し、「デザインとテクノロジーの深い融合によって誕生したクルマで、将来の日産ブランドのデザインランゲージを示したもの」としている。

軽自動車規格のシティコミューター型EV「IMK」

日産が東京モーターショー2019で初披露した軽自動車規格のシティコミューター型EV「IMK」

軽自動車規格EVのコンセプトモデル「IMK」。現在、国内大手メーカー製の軽EVは存在しないため(三菱「i-MiEV」はサイズ変更により軽規格でなくなった)、それを望む声は多い。

 もう1台のコンセプトEVは、軽自動車規格のコンパクトボディが特徴のシティコミューター型EV「IMK」だ。新型EVプラットフォームに低重心パッケージが採用されている。デザインには、都市部の洗練された景観から、日本らしい伝統的な街並みにも自然に溶け込む上質さを取り入れたという。

 「IMK」には、日産の最新運転支援技術「プロパイロット2.0」の次世代版が搭載され、高速道路だけでなく一般道の主要幹線路にまで利用範囲を拡大し、ドライバーをサポートするとしている。そのほか、クルマが自動で駐車し、呼び出し時もスマホの操作により自動でやって来る「バレーパーキング機能」も備えるという。

「プロパイロット2.0」を初搭載した新型「スカイライン」

日産が東京モーターショー2019で出展した新型「スカイライン」。運転支援技術「プロパイロット2.0」を搭載。

2019年9月にビッグマイナーチェンジを受けた13代目V37型「スカイライン」(展示車種は「HYBRID GT Type SP」)。フロントマスクも大きくデザインが変わり、「GT-R」に似せた雰囲気となった。

 2014年に登場した現行車種のV37型で13代目となる、歴史あるスポーツセダン「スカイライン」。V37型は2019年9月にビッグマイナーチェンジを受け、運転支援技術「プロパイロット2.0」を搭載。さらに、フロントマスクなどのエクステリアも変更された。

 「プロパイロット2.0」のハンズオフドライブは、高速道路などの自動車専用道路において「プロパイロット2.0」で設定したルートを走行し、同一車線内で行える。ただし、ドライバーは常時前方に注意を配り、道路・交通・自車の状況に応じてすぐにステアリング操作を確実に行える状態である必要がある。

「GT-R」と「フェアレディZ」は50周年特別モデルなどを展示

日産が東京モーターショー2019で出展した「GT-R 50th Anniversary」。

「GT-R 50th Anniversary」。往年の日産ワークスカラーをイメージした特別なツートンカラーとなっており、そのほかエクステリアとインテリアの専用アイテムが多数装備されている。

 「GT-R」(5代目までは「スカイライン」の最上位グレード)、「フェアレディZ」と共に1969年に初代が発売され、今年で50周年を迎えた歴史のあるクルマ。今回、「GT-R」は2020年モデルの中の特別仕様限定モデル「50th Anniversary」と、日産のレース/パフォーマンス部門であるNISMOが手がけた「GT-R NISMO」2020年モデルの2台が、「フェアレディZ」は2020年3月まで発売の限定モデル「50th Anniversary」が展示された。

日産が東京モーターショー2019で出展した「GT-R NISMO」2020年モデル。

「GT-R NISMO」2020年モデル。2018年のレーシングカー「GT-R GT3」のターボを採用し、加速レスポンスが向上。また、新型カーボンセラミックブレーキにより制動性能も大きくアップした。そのほか、外装パーツの一部をCFRP製に変更したことなどから、2019年モデルより約30kgの軽量化に成功している。

日産が東京モーターショー2019で出展した限定モデル「フェアレディZ 50th Anniversary」。

現行の6代目Z34型の限定モデル「フェアレディZ 50th Anniversary」。カラーリングは、1970年の米国のスポーツ・カー・クラブ・オブ・アメリカのレースで優勝した「Datsun 240Z BRE」のデザインを新たな形で再現したものだ。また、インテリアにも専用装備がある。

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続いては三菱!

三菱はバギータイプのPHEVや軽ワゴンのコンセプトモデルを初公開

 三菱は今回、PHEV(プラグイン・ハイブリッド)の車種拡充を図る計画を発表。自社の技術だけでなくアライアンスの多様な電動化技術も活用し、2022年までにミッドサイズSUVとコンパクトSUVに、電動化技術を採用した新型車を投入するとしている。それを受けて今回は、コンパクトSUVタイプPHEVのコンセプトモデルが世界初公開された。

 そしてもう1台の世界初公開は、SUV的デザインを施されたトールワゴン型軽自動車のコンセプトモデル。

 この2台に加え、2019年3月のスイス・ジュネーブ国際モーターショーで初公開されたSUVタイプPHEVのコンセプトモデルも展示された。

ガスタービン+4モーターのバギータイプPHEV「MI-TECH CONCEPT」

三菱が東京モーターショー2019で出展したバギータイプのコンパクトPHEV「MI-TECH CONCEPT」。

バギータイプのコンパクトPHEV「MI-TECH CONCEPT」。光センサーを用いて検知したさまざまな情報を、フロントのARウインドーシールドに映し出す新しいヒューマン・マシン・インターフェースを搭載。

 世界初公開の1台である「MI-TECH CONCEPT(マイテック・コンセプト)」は、”ドライバーの冒険心を刺激するデザイン”をコンセプトに、三菱らしさを表現すべくバギータイプの外観を持たされている。

 駆動系には、モーター2基で構成される「デュアルモーターAYC(※1)」を前後輪それぞれに搭載した「クアッドモーター4WDシステム」を採用。その上で、車両運動統合制御システム「S-AWC(※2)」を適用させている。また、ブレーキキャリパーが電動化されていることも特徴で、4輪の駆動/制動力を高応答・高精度で制御できるようになり、旋回性能とトラクション性能を向上させた。そして発電用エンジンとして、軽量コンパクトで出力が高く、環境面でも優れるガスタービンエンジンを搭載している。

※1 AYC:Active Yaw Controlの略。多数のセンサーからドライバーの操作や車両挙動を把握し、ドライバーに忠実な挙動となるよう左右の車輪間の駆動/制動力を制御する三菱のシステム。AYCは同一内容のシステムではなく、クルマごとに合わせた制御機構を搭載する。
※2 S-AWC:Super All Wheel Controlの略。三菱の車両運動統合制御システムで、S-AWCもシステム構成は複数ある(市販車に搭載されたものは3種類)。

市販間近か? 軽自動車「SUPER HEIGHT K-WAGON CONCEPT」

三菱が東京モーターショー2019で出展した「SUPER HEIGHT K-WAGON CONCEPT」。

トールワゴンタイプの軽自動車「SUPER HEIGHT K-WAGON CONCEPT」。自動車専用道路同一車線運転支援技術「MI-PILOT(マイパイロット)」や、衝突被害軽減ブレーキなどの予防安全技術「e-Assist(イー・アシスト)」も備えている。

 世界初公開されたもう1台のコンセプトモデルが、「SUPER HEIGHT K-WAGON CONCEPT(スーパーハイト軽ワゴンコンセプト)」。アクティブに活動したいドライバーに向けた、三菱らしいSUV的な力強い外観を持たされた軽トールワゴンだ。ただし、同じコンセプトモデルとはいっても「MI-TECH CONCEPT」とは異なり、外観は市販モデルにかなり近い雰囲気だ。新型軽自動車のプロトタイプの可能性も考えられそうだ。

ツインモーター4WD・PHEV「ENGELBERG TOURER」

三菱が東京モーターショー2019で出展した「ENGELBERG TOURER」。

2019年3月のスイス・ジュネーブ国際モーターショーで初公開されたSUVタイプのPHEV「ENGELBERG TOURER(エンゲルベルク・ツアラー)」。

 スイスの山岳リゾート地エンゲルベルクの名を冠したSUVのコンセプトモデル。ツインモーター方式PHEVシステムを搭載し、EVモードでの航続距離はWLTPモードで70km以上だ(トータルの航続距離はWLTPモードで700km以上)。前後にモーターを備えているが、PHEVシステムの小型化と大容量バッテリーを車体中央フロア下に配置するなどのレイアウトの最適化を行い、余裕のある室内空間を確保し、3列シートを実現した。

 ツインモーターによる電動4WDを採用しており、さらに前後左右の駆動力配分をブレーキで制御するタイプのAYCを採用。また「MI-TECH CONCEPT」と同様に車両運動統合制御システム「S-AWC」も備えている。

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最後はヤマハ!

5台+1機を世界初公開したヤマハ

 ヤマハは18台の出展モデルのうち、世界初公開が6台もあり、東京モーターショー2019に対する熱量の高さが感じられた。その内訳は、LMW(※3)が2台、EVスクーターが2台、電動アシスト付き自転車が1台、そして自律ソリューションビークル(車両型ロボット)が1機だった。

※3 LMW:Leaning Multi Wheel(リーニング・マルチ・ホイール)の略。ヤマハでは、バイクのように傾斜(リーン)させて旋回する3輪以上の車両を総称して、LMWと呼ぶ。

シリーズ型ハイブリッドエンジン搭載の次世代LMW「MW-VISION」

ヤマハが東京モーターショー2019で出展したシリーズ型ハイブリッドエンジン搭載のLMWのコンセプトモデル「MW-VISION」。

LMWのコンセプトモデル「MW-VISION」。前2輪・後1輪構成なのでリバース・トライクに見えるかもしれないが、前2輪のトレッドが狭く、傾斜させてコーナリングすることから2輪の扱いになる。

 「MW-VISION(エムダブリュー・ビジョン)」はヤマハが、”人の感性に寄り添うモビリティ”として提案するLMWのコンセプトモデル。取り回しを考慮した全長2.5m弱×全幅1m×全高1.5m強のコクーン(繭型)ボディを採用している。ライダーがマシンと一体化してコーナリングするためのリーン制御技術や、シリーズ型ハイブリッドエンジンを搭載している点が技術的な特徴。またリバース機構も備える。

 人の感性に寄り添うモビリティを実現するのが、”音と光による人とモビリティのインタラクティブなコミュニケーション”だ。音によるインタラクションには、楽器メーカーのヤマハ(ヤマハ発動機の母体)の協力を得て、デジタルサラウンド音響技術「ViReal(バイリアル)」と、音響システムが採用されている。

ヤマハが東京モーターショー2019で出展した「TRICITY300」。

世界初公開のLMWコンセプトモデルのもう1台が都市交通向けの「TRICITY(トライシティ)300」。排気量292ccの単気筒ガソリンエンジンを搭載するなど、「MW-VISION」と比べると公開されているスペックが多く、コンセプトモデルというよりは、市販モデルのプロトタイプに近い模様。

EVスクーターのラインナップが拡充しそうな予感の「E01」と「E02」

ヤマハが東京モーターショー2019で出展した従来の125ccクラス相当のEVスクーター「E01」。

従来の125ccクラスに相当するEVスクーター「E01」。都市間の移動が可能な航続距離を有するようだ。

 ヤマハはEVスクーターをすでに市販しており、現行車種としてシリーズ第4弾となる「E-Vino(イー・ビーノ)」がある(50ccスクーター扱いの車種)。そして今回は、2台のEVスクーターが世界初公開された。「E01」が従来の125ccクラスに相当し、「E02」が従来の50ccクラスに相当。どちらも乗車定員は2名だ。

 「E01」は急速充電に対応し、バッテリーはリチウムイオン電池で、固定式となっている。一充電走行距離は発表されていないが、”都市間を快適に移動できる余裕を持つ”としている。モーターには空冷のDCブラシレスタイプが採用されている。

 一方の「E02」は都市内の移動を目的としている。リチウムイオン電池のバッテリーは着脱式で、バッテリーの交換を前提としているようだ。モーターには空冷DCダイレクトドライブタイプが採用されている。

ヤマハが東京モーターショー2019で出展した従来の50cc相当のEVスクーター「E02」。

従来の50ccクラスに相当するEVスクーター「E02」。都市内向けで、バッテリーは着脱式を採用。

競技用電動アシスト自転車のコンセプトモデル「YPJ-YZ」

ヤマハが東京モーターショー2019で出展したレース用電動アシスト自転車のコンセプトモデル「YPJ-YZ」。

競技用電動アシスト付き自転車のコンセプトモデル「YPJ-YZ」。ペダルの付け根とフロントフォークをつなぐロワーフレームに取り付けられている黒いパーツの内側にバッテリーがある。

 ヤマハは、陸海空のさまざまな乗り物・無人機を市販しており、電動アシスト付き自転車もそのひとつ。今回は、その競技用コンセプトモデルが世界初公開された。ヤマハのオフロード競技用バイクである「YZ」シリーズの設計思想に倣っており、センターマスコンセプト(※4)を採用。重量物であるバッテリーを、車体中心に近いロワーフレーム下側に装備している。そしてデザイン面でも「YZ」シリーズに合わせてあるのも特徴だ。

※4 センターマスコンセプト:車体の重心近くに重量を集中させることで、乗り物の運動性能を高める設計思想のこと。

人との共同作業を行うための自律ソリューションビークル「Land Link Concept」

ヤマハが東京モーターショー2019で出展した自律ソリューションビークル「Land Link Concept」。

自律ソリューションビークル(車両型ロボット)「Land Link Concept」。

 ヤマハは産業用ロボットメーカーでもあり、そして各種無人機などの開発も行っている。また倒れないバイク「モトロイド」や、ロボットライダー「MOTOBOT」の開発も有名だ。そんなヤマハが、”呼応し合う・LINK”をコンセプトに開発した自律ソリューションビークル(車両型ロボット)が「Land Link Concept(ランド・リンク・コンセプト)」だ。

 AIによる画像認識で進行方向の障害物を検知し、自ら避けて走行できる機能を有する。4WD・4WSを採用しているので、方向を問わない移動を行うことが可能だ。


 東京モーターショー2019で、日産からはEVのラインナップと運転支援技術「プロパイロット2.0」搭載車の拡充が、三菱からはSUV路線でのPHEVのラインナップの拡充が、そしてヤマハはEVを含めた電動化とLMWの拡充が見て取れた。

 電動化に関してはこの3社に限ったことではなく、今回は複数の国内メーカーがEVを発表した。2020年代半ばには内燃機関のみのクルマの販売を終了し、プラグインを含むハイブリッド車、EV、FCV(燃料電池車)のみをラインナップすることを発表しているメーカーもある。次回の東京モーターショーは2021年の開催。電動化に加えて自動運転技術の進展も気になるところで、2年間でどれだけクルマが変わるのか見守りたい。

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