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クルマ最終更新日:2021.07.05 公開日:2021.07.05

車内置き去りに注意!真夏はわずか10分でも命の危険

真夏の炎天下、車内の温度は急上昇して時には60℃近くにまで達する。そんな環境に子どもだけが残されて熱中症により死亡してしまう事故が絶えない。JAFは2019年8月に、「キー閉じこみ」の救援要請のうち子どもやペットが閉じ込められたケースが全国で144件だったことを発表している。夏本番が来る前に、改めて真夏の車内に子どもやペットを置き去りにするリスクについて知っておこう。

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熱中症指数は15分で厳重警戒レベルに

真夏の炎天下では、車内温度はわずか10分で高温に上昇する。

© Graphs / PIXTA(ピクスタ)

 総務省によると、昨年8月の熱中症により緊急搬送された患者は約4万3千人で前年よりも6千人以上増加したという。コロナ禍においても、熱中症リスクがあることを忘れてはならない。そして、マイカーユーザーは、車内温度上昇による熱中症の危険性についても改めて確認しておきたい。

 特に、乳幼児や幼児は体温調節機能が未発達なため、大人よりも熱中症にかかりやすいという。また、ペットにおいても、例えば犬や猫は汗腺が足の裏などにしかないため、体温調節が苦手で、特に暑さには弱いといわれる。

 2019年8月のJAFの調べでは、「子どもやペットを車内に残したままのキー閉じこみ」による救援要請が144件あったそうだ。緊急性が高く、ドアガラスを割るなどしたケースも9件あった。冷房の効いていない車内は、わずかな時間でも高温になるため大変危険だ。少しの間なら大丈夫、という油断は、熱中症による死亡事故に直結しかねないことを自覚しておきたい。

JAFユーザーテスト「真夏の車内温度」より熱中症指数の推移

 調査は2012年8月22日、23日の午後12時から4時間実施。晴天で気温は35℃であった。

出典:JAFユーザーテスト「真夏の車内温度」

 JAFが実施した熱中症指数(WBGT)の実証実験では、真夏の車内はエアコン停止からわずか5分後には熱中症指数が25を超え警戒段階へ。15分後には31以上となり危険レベルに達した。これは、大人であっても直ちに涼しい環境へ避難しなければならない状態であり、体温調整が苦手な子どもやペットともなればいかに危険であるかということが容易に想像できる。

 ちなみに熱中症指数は「暑さ指数」とも呼ばれており、熱中症予防のための指標だ。単位は「℃」だが、温度とは異なり、人体の熱収支に影響の大きい気温、湿度、日射・輻射熱の3つを取り入れた指標である。「ほぼ安全」「注意」「警戒」「厳重警戒」「危険」の5段階に分類され、気温がそれほど高くない場合でも熱中症指数は高くなる場合があるので注意が必要だ。

ダッシュボードは80℃近い温度になる

JAFユーザーテスト「真夏の車内温度」より、条件別車内最高温度等一覧

出典:JAFユーザーテスト「真夏の車内温度」

 JAFでは、夏の炎天下で車内温度がどのくらい上がるかも調べている。

 ボディカラーが白の車両では、車内温度が50℃前後になり、ダッシュボードの最高温度は80℃近くになったという。これは火傷の危険性さえある温度だ。ボディカラーが黒だとさらに高くなるのは、外装色の黒が光をより吸収しやすい性質を持つためだと考えられる。

 また、サンシェードはダッシュボードの温度上昇を防ぐ効果はあっても、車内温度の上昇を防ぐことはできないということも分かる。ダッシュボードにおける最高温度はサンシェードによりかなり下がるが、車内温度は対策なしの車両と大差がない。

 窓を開けておくと温度が下がりそうだが、上の結果のように車内温度に大きな差はない。エアコンはさすがに効果ありだが、それでもダッシュボードなどは高温になる。車内温度が低くても、日光が当たるダッシュボードや、ドアガラス下のアームレスト、ドアトリムなどは熱せられ高温なりやすいので注意が必要だ。また、エアコンはエンストなどによりいつ止まるか分からない。エアコンをかけておけば車内に子どもやペットを残しても安心というのは、大きな間違いだと覚えておいてほしい。

ペットと同乗するなら、安全と温度にしっかり気配りを

車内ではペットのためにこまめな温度調整をしてあげる必要がある。

© YULILY – stock.adobe.com

 ところで、ペットの熱中症対策について、人間と違う注意点はあるのだろうか。犬の場合、一般的に25℃前後の温度と50%の湿度が快適に過ごせるという。しかし、ペットをクルマに同乗させる場合には、ケージに入れた上で座席やトランクスペースにしっかり固定する必要がある。そうした場所はエアコンの風が十分に届かない可能性があるため、対策として、涼しい風を送れる小型の扇風機を準備するほか、車内温度の調整、こまめな水分補給などをしてあげる必要がある。

 ちなみに、可哀想だからといって膝上にペットを乗せて運転する行為は、ハンドル操作が妨げられる危険性があるため絶対に行ってはならない。助手席や後部座席の同乗者であっても同様で、この行為をすると「乗車積載方法違反」違反となり罰金・罰則の対象となる。

 今年の夏も引き続き、新型コロナ対策と熱中症対策をバランスよく行う必要がありそうだ。そうした対策とあわせて、夏の車内温度上昇の危険性を再認識し、子どもやペットは絶対に車内に残さないことを頭に置いて、夏のカーライフを送りたい。

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