2020年09月11日 17:00 掲載

ライフスタイル 『イタリア発 大矢アキオの
今日もクルマでアンディアーモ!』第8回
とびきりのイタリアをスクロール ! 中部トスカーナ(ヴァーチャル)紀行


文と写真・大矢アキオ(Akio Lorenzo OYA)

4. ジーリオ島 - Isola del Giglio
小さな島の夏

 本土から約1時間。その面積24平方kmは、小笠原諸島の父島とほぼ同規模である。ハイシーズンは車の混雑を避けるため、島の宿に最低5日以上宿泊する人のみ、フェリーに車を載せることが許される。16世紀、北アフリカの海賊の襲撃により、島民の大半が命を落とし、また奴隷として島から連れ出された。しかし、フィレンツェのメディチ家がブドウ栽培の移民を送り込んだことで、島は復興を遂げた。

 読者の皆さんに降りていただくのは、船が着く港ジーリオ・ポルトだ。ここが突如世界の注目を浴びたのは、2012年のクルーズ船座礁事故だった。ストリートビューには偶然にも、同船の解体現場が僅かに映っている。

 いっぽうで幸運なことに、画像は9月に撮影されている。グッズを壁に陳列する土産物店の店員、外の椅子で涼むおばさん、そしてサンダルで歩く少女......といった、まだまだ終わらぬ夏の風景を充分に楽しめる。小さなバールからは、店内に籠りきらないエスプレッソの香りが漂って溢れているに違いない。

本土からの船が着くジーリオ・ポルトを見下ろす。

本土からの船が着くジーリオ・ポルトを見下ろす。

ジーリオ・ポルトから南へ約1.5kmにあるカンネッラ海岸。

ジーリオ・ポルトから南へ約1.5kmにあるカンネッラ海岸。

 今回紹介した街や村に何日か滞在していて面白いのは、その規模からして「同じ人に何度でも会う確率が高い」ことである。とくにジーリオでは、島内に僅か3村であることから、どこに行っても同じ人と会うばかりか、同じ車と何度もすれ違ってしまったりする。それは、かつて大都市東京から移り住んだ筆者にとって、極めて新鮮な体験だった。

 観光客同士だけではない。住む人たちとも頻繁に顔を合わせる。やがてどちらからともなく「チャオ」と挨拶を交わすようになり、気がつけば自分も住民であるかのような錯覚におそわれる。さらに、多くの住民は長年同じ場所の、同じ店で働いている。そのため、あなたが何年か後にふたたび旅をしても、また同じ顔が迎えてくれるのだ。なんと人間的なスケール!

 同じイタリアでもローマやミラノでは得られない触れ合いを想像しながら、しばしGoogleストリートビューでの旅をお楽しみいただきたい。

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