2020年03月14日 09:20 掲載

ライフスタイル 「ギャランGTO」は時を超えて蘇る。【ジオラマ作家・杉山武司の世界:その2】


神林 良輔

プロモ動画後半に登場するジオラマも無国籍系

画像2。JAF通販紀行が公開中の「〈ノレブ〉1/43スケール懐かしの名車シリーズ」プロモ動画「ギャランGTO」編後半のジオラマは、バイク用車庫の小屋。

画像2を再掲載。ハーレーダビッドソンの看板の雰囲気から、アメリカのどこかのようにも見えるが、日本であってもおかしくないだろう。

 続いては、プロモ動画の後半に登場する、「ハーレーダビッドソンの小屋」(画像2)の魅力に迫る。ハーレーダビッドソンというとアメリカンバイクの代表であることから、同作品は看板が見える角度からだとアメリカンな香りがある。しかし画像7のように看板が見えない角度から見ると、日本のどこかにありそうでもある。やはり無国籍系といえそうだ。

画像7。杉山武司氏のジオラマは、どこともいえない無国籍なものも多い。

画像7。別の角度から見ると、普通に日本のどこかにありそうな小屋でもある。

「ハーレーダビッドソンの小屋」のポイント1:ウェザリングによるリアルさ

 「ハーレーダビッドソンの小屋」は、もともとはバイクが主役のジオラマとして製作された。建物の横に止められているハーレーダビッドソンの車庫というわけである。

 このジオラマの見るべきポイントは、杉山氏の真骨頂ともいえる建物のウェザリング(汚し)だ(画像8)。サビの浮き出た屋根、はげたり色あせたりしたペンキ、傷のついた出入口の柱など、まるで実際に建てられてから何年も風雨にさらされてきたような小屋にしか見えない。

画像8。バイク車庫の小屋を題材にした、杉山武司氏のジオラマ。アメリカとも日本ともいえる無国籍が特徴。

画像8。サビた屋根、ペンキがはげて色あせた壁など、何年もの時が経過したことを思わせるウェザリング処理がリアルだ。

 ウェザリングといっても、その表現方法は多様だ。日光や風雨などによる劣化も、建物の材質によって異なるからそれぞれ表現は異なるし、同じ材質でも日の当たる側と当たらない側では厳密には傷み方が異なる。また、何かが流れたように見せるのなら、もちろん重力を考慮しなければいけない。見たときに不自然にならないようにするには、さまざまなことに配慮する必要があるのだ。なおかつ全体で統一感も取れていて初めて、長い間、日に当たり、雨に打たれ、風に吹かれてきた年季を感じられるリアルな存在感を持った建物となるのである。

画像9。山野武司氏のジオラマはウェザリングがリアル。出入口の柱の角の塗装がはげており、人の出入りが定期的にあるのが感じられる。

画像9。出入口の柱は、角の塗装がはげている。人が出入りしている雰囲気が伝わってくる。

「ハーレーダビッドソンの小屋」のポイント2:ハーレーダビッドソン

 小屋の脇に置かれたハーレーダビッドソンは、1/43の「ギャランGTO」とスケール的に違和感がないので、同程度のサイズのスケールモデルと思われるかもしれない。実はこのハーレーダビッドソン、かつて缶コーヒーのオマケとしてつけられていたものなのだという。

 近年の食玩はクォリティが高いため、こうしたジオラマに使えそうなものが入手可能なとき、杉山氏は一通りそろえておくのだそうだ。日頃からリサーチして雰囲気作りのための小物類を集めておき、それらをジオラマに合わせて塗装やウェザリングを施して効果的に配置。すると、よりリアリティを演出できたり、そのジオラマが一層引き締まったりと、完成度を高められるのである。

画像10。杉山武司氏のジオラマ製作のポイントは、普段から小物などを集めていること。小物の効果的な配置で、ジオラマの雰囲気が大きく変わるのだ。

画像10。実は缶コーヒーのオマケだったというハーレーダビッドソン。杉山氏のジオラマには、そうした食玩が使われていることも少なくない。

 こうして完成したジオラマに「ギャランGTO」を置くことで、見る人それぞれのストーリーが生まれる。ハーレーダビッドソンも「ギャランGTO」のオーナーのものなのか、それとも友人を訪ねてきたのか、などなど。「ハーレーダビッドソンの小屋」は、そんな想像も膨らむジオラマなのである。


動画1。YouTube「JAFで買う」にて公開中の「1/43スケール 懐かしの名車シリーズ」のプロモ動画「ギャランGTO」編。再生時間2分52秒。

 なお、今回の「ギャランGTO」編の後半には、もうひとつジオラマ「機関庫」が配されている。こちらは杉山氏の作品ではなく、同じくはが氏に師事した盟友である山野順一朗氏の作品だ(杉山氏、山野氏、そして日本ドールハウス協会会長の相澤和子氏は、はが氏門下の三羽ガラスといわれ、各方面で活躍中だ)。今回のプロモ動画4本を尾形氏が撮影するに際して山野氏と渋谷クラフト倶楽部が協力している。「ハーレーダビッドソンの小屋」がサイズ的に小型のジオラマだったことから、その背景に「機関庫」が配置されたのである。なお「機関庫」に関しては、後ほど別記事にてその魅力や製作のポイントなどをお伝えする。

画像11。後ろに見える機関庫は、杉山武司氏の盟友であるジオラマ作家の山野順一郎氏の作品だ。

画像11。「ハーレーダビッドソンの小屋」の後ろに配置された「機関庫」は、山野順一朗氏の作品だ。

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